RightTouchのCGPチームにおけるエクスパンションの向き合い方
最近特に、「CSはエクスパンションを担うべきか?」という議論をよく目にしますし、私も相談をいただくことが増えてきました。
かじさん、川村さんが実際に議論をさせていただいた内容をnoteに書いてくださっているので、エクスパンション責務の分類や、イネーブルメントについてはぜひ以下の記事をご参照ください。
SaaSにおいてNRRが重視される中で、この問いは避けて通れないものになっていますし、特にエンタープライズ向けの拡大を進めていくSaaSも出続けているのでエクスパンションというテーマは切っても切り離せないかと思っています。
私はRightTouchで、Customer Growth Partner(以下、CGP)として既存顧客と日々相対しながら仕事をしています。
CGPとしてエクスパンションにどのように向き合っているかという試行錯誤を、おふたかたのnoteへのアンサーに近い形で(書ける範囲で)具体的に今回は書いてみようと思います。
RightTouchにおけるエクスパンション
RightTouchはDay1からエンタープライズ向けに事業展開をしており、Land&Expandの戦略をとっているので、会社として、事業として成長をしていくためにはNRRが非常に重要なKey Factorとなっています。
そのため、既存顧客との取引拡大=エクスパンションが重要です。
以下のイベント登壇後のnoteにも書きましたが、RightTouchのCGPチームは導入・アダプション・リニューアル・エクスパンションといった「既存顧客との関わり」の一連のプロセス全てを担っています。
つまり、「顧客とのお取組において、取組内容の進化・拡大がエクスパンション(=結果)になる」という解釈が我々の認識です。
目的とストーリーが伴ったエクスパンションでなければ、意味がありません。
どちらかにとって利己的なものになってしまいます。
そのために以下のような問いに答えられるような設計、思考を持つことは重要で、「きちんと狙って、きちんと合意する」が是だと考えています。
なぜその顧客と、その取り組みをすべきなのか?
トレンド、優先順位、重点テーマ(中経など)、課題の大きさ
我々は顧客にどのような価値を提供できるか、顧客と共創できるか
なぜ我々と取り組むべきなのか
これらを前提にして、とはいえ1人のCGPメンバーが全部見るのっていけるのか?や、どうやってそれは社内で育てていくのか?といった問いが起きえると思っているので可能な範囲で具体的に書いていきます。
CGPにおいて、エクスパンションを持つ難しさ
結論、難しいポイントは2つです。
トレンド・顧客・プロダクトの3つの把握が必要である
短期中期のプロジェクト達成と中長期の実現テーマの思考両立
トレンド・顧客・プロダクトの3つの把握が必要である
3つの領域の解像度がそれぞれもし低いと、以下のような問題が発生します

トレンドの解像度が低い
顧客の話す課題、テーマと、そこに何がフィットするかのプロダクト選定がベースになるので「マーケットイン」に閉じた提案になる
顧客の解像度が低い
業界内でこれがトレンドだから、というのとそこにフィットするプロダクト選定がベースになるので、「押しつけ」になりやすい
プロダクトの解像度が低い
トレンドと顧客がそれをどこまで重視しているかは把握をしているので提案はできるが、プロダクトQAやユースケースが分からないので具体解像度が上がらずにクロージングできない
エンタープライズ向けの提案を前提とした時に、以下のような状態が大前提になるので、1回の提案で終わらない&深さが必要になり、どこかしらが欠けていることによってなかなか進まないという状態が起きます。
・関係者が非常に多い(コンセンサスを取る面が広い)
・基本的にどこからしら競合することが多い(比較される)
・導入タイミングは定まりやすいが明確なテーマにない場合決まりにくい(予算決定時期でいつ入るかは目処がたつが、それがないとコンペリングイベントを作りにくい)
日頃CSMとしての活動を中心にしていると「トレンド」「プロダクト(導入して担当していないもの)」が理解不足になりやすく、アカウントマネージャーとしての活動を中心にしていると「顧客」と「プロダクト(特にユースケース)」の理解不足になりやすいです。
これらを習得していく上では、もちろんバックグラウンドなどですぐトライできるケースもありますが、基本的に時間がかかります。
NRR/エクスパンションの話を中心に組織内でも会話・目標設計をしているので、なかなか短期的な成果は出せないこと、が新しく入るメンバーにとってはもどかしかったり、しんどい面もあるだろうなと思っています。
この、「時間軸」と「できるようになるロードマップ」が非常に重要なため、日頃のコミュニケーションにおいても「急ぐけど焦らない」ということはよく伝えていたりします。
短期中期のプロジェクト達成と中長期の実現テーマの思考両立
CSMとしては、「基本的に1年間の導入プロダクトの成功」をメインに考えて取り組んでいくべきだと考えています。
その中で、エクスパンションを進めていくには「xxについてなんで取り組んでいないんだろう?」「xxの領域はどこがどうやって進めているんだろう?」といった、取り組みプロジェクトの外にある顧客のIssue、ストーリーを考える必要があります。
よくある考え方として、「今取り組んでいる内容で成果がある程度見えてないのにエクスパンションの話なんてできない」「まずは足元の成果でしょ」というのがあるのですが、これは正解でもあり、不正解でもあります。
かじさんのnoteを踏まえて整理をします。
例えば、「同じ部署の同じお財布」で同テーマに対して拡張をするのであれば、それはおっしゃる通り「まずは今の成果」が重要です。
逆に「別の部署の別のお財布」で、異なる部門のKPI/テーマに対して異なるお財布で取り組んでいくのであれば、今の取り組みの成果がどうこうではなくそのテーマに対し、予算を出す価値があるかどうかが重要です。
ですので、エクスパンションを責務分担フレームに落として考えてみると、プロジェクトの延長線上で提案できるものと、そことは別なので並行して動かすべきものに分けることができます。

もはや懐かしい。
RightTouchにおけるCGPのエクスパンションは正直どっちもあるのですが、より取り組みが大きくなっていくに従いクロスセルが重要かつ、難易度も高くなるので、案件によっては以下のようにサクセスマネージャーとアカウントマネージャーを分ける分担も進め始めています。

色々プロジェクト進行させるべきものもあるよね、という話
RightTouchは25年の10月からOKRの運用を全社・チーム単位で実施しています。
そのため、CGPチームとしてはNRRはもちろん、その他の指標や組織としてより強くなるために推進していくべきプロジェクトも存在します。
アカウントマネジメント、サクセスマネジメントをする中で、すぐには数字に反映されにくい中長期のための仕込み・取り組みを並行して動かすことの難しさもあります。
それらについてもKRリーダーやプロジェクトリーダーを決めて運用をし始めました。(これまではよしなにやってましたが…笑)
特に、「採用」「社内向けオンボーディング」「プロダクト連携」は今後の中長期を見据えて非常に重要と考えているので、それぞれプロジェクトリードを立てて推進をしていきます。
こうしたプロジェクトベースのものを1人に集約せずにリードを分担することで、各々の工数バランスが取れるのは結果論そうなのですが、組織に対しての自意識・責任感をより持ちやすくするということが重要と考えています。
私もRightTouch4年目でサクセス歴もそこそこになってきましたが、特定の担当顧客と向き合う時間が長くなるほど、「その人なりの暗黙知」が形成されて、成功や失敗の事例が組織に浸透しづらくなります。
かくいう私ももちろんその暗黙知化をしてしまっている1人なわけですが…
顧客にはしっかり向き合い切る。でもチームで強くなろう。というのを12月頃から大事にして、CGPでのオフサイトも実施をし、表面的な団結力だけではなく一丸となって高い目標に挑めるチームに今後もしていこうと思っています。

これからニューメンバーも入社する予定があったり、その中でも様々なプロジェクトがCGPの中だけでなく進行をしていたりするので、組織としての強さをどう、オーナーシップ、適切な役割分担で作っていけるかは拡大において重要だと思っているので、取り組みが落ち着いたらまた成果と苦悩についてnoteに書きたいと思います。
おわりに
4月以降、色々とイベントを実施予定で、サクセスの方々にとどまらず様々な方とお話をさせていただきながら自分自身の知見を広げていきたいと考えています。
4/15にはカミナシさんとCSテラコヤというイベントを実施予定で、今回は自分はモデレータとして、POのメンバーとそこをみているCGPのメンバーが話します。
4月末には、アカウントマネージャーの方限定でもイベントも実施予定です(詳細気になる方は自分宛にご連絡ください)。
RightTouchとしても、サクセスにとどまらずプロフェッショナルサービスなども含めて「顧客と、エンドユーザーの価値に向き合う」ポジションがたくさんあるので、気になる方はぜひお声掛けください。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
