実践ゼミ#9:血圧を「自分で整える」─ 家庭血圧の測り方・記録・減塩のコツ
📗 実践ゼミ #9
初めての方 → 実践ゼミ#1「食後10分ウォーク」
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入門講座#12で血圧の基本を、⚠️ぜんぶ代謝のせい#2で「なぜ糖尿病と血圧がつながるのか」を見てきました。
「仕組みはわかった。で、具体的に何をすればいいの?」
今回はその答えです。家庭血圧の測り方、記録のつけ方、そして日本人がいちばん苦労する「減塩」の実践テクニックを、すぐに使える形でまとめます。
まず、血圧計を1台買う
持っていない方は、まずここからです。
選ぶべきは「上腕式」。 手首式は手の位置によって誤差が出やすく、ガイドラインでも上腕式が推奨されています。
メーカーはオムロン・テルモ・パナソニックなど国内メーカーが安心。 家電量販店やAmazonで5,000〜10,000円程度で手に入ります。
カフ(腕帯)のサイズを確認。 腕が太めの方は「太腕用カフ」が必要なことがあります。合わないカフで測ると正確な値が出ません。
血圧計は「一生モノ」ではありません。精度が落ちることがあるので、5年程度を目安に買い替えを考えてください。
正しい測り方──7つのステップ
血圧は測り方で10〜20mmHg変わることがあります。正しい手順で測ることが、正確な値への第一歩です。
ステップ1:座る
椅子に深く座り、背もたれに背中をつける。足は組まない。
ステップ2:安静にする
座ったら1〜2分そのまま安静に。座った直後はNG。テレビを見たり、スマホを触ったりしない。
ステップ3:カフを巻く
上腕にカフを巻く。カフの中心が心臓の高さになるように。テーブルの上に腕を置くとちょうどいい高さになることが多い。
ステップ4:測定する
ボタンを押して測定。測定中は話さない、動かない。
ステップ5:2回測る
1回目を測ったら、そのまま1〜2分待ってもう1回。2回の平均を記録するのが理想的。
ステップ6:記録する
血圧手帳、アプリ、またはノートに書く。上の血圧、下の血圧、脈拍を記録。
ステップ7:毎回同じ条件で
同じ椅子、同じ腕、同じ時間帯。条件を揃えることで「傾向」が見える。
いつ測る?── 朝と夜の2回
JSH2025(最新のガイドライン)では、家庭血圧を朝と夜の1日2回測ることが推奨されています。
朝の測定:
起床後1時間以内
トイレを済ませた後
朝食を食べる前
薬を飲む前
夜の測定:
寝る前
入浴直後は避ける(入浴後30分以上あける)
「毎日が無理」でも大丈夫。 週5日以上の記録があれば、医師にとって十分な情報になります。完璧を目指して続かなくなるより、「だいたい毎日」を長く続けるほうがずっと価値があります。
理想的には朝夕各2回×7日以上の平均で評価します。ただし初日の測定値は緊張で高くなりがちなので、初日を除いた平均を見ることもあります。

記録の仕方──「見せる」記録をつける
記録は「自分のため」でもありますが、**「外来で医師に見せるため」**でもあります。
血圧手帳(紙派)
多くの病院や調剤薬局で無料でもらえます。日付、朝の値、夜の値、脈拍を書くだけ。外来に持っていけば、医師がパッと見て傾向を掴めます。
スマホアプリ(デジタル派)
オムロンの「OMRON connect」やテルモの「ヘルスプラネット」など、血圧計と連携できるアプリがあります。自動でグラフ化してくれるので、傾向が視覚的にわかりやすい。
どちらでもいいので、「続くほう」を選んでください。 大事なのはツールではなく、記録を続けることです。
記録するときのコツ
数字だけでなく「いつもより高い理由」に心当たりがあればメモする(寝不足だった、塩辛いものを食べた、イライラした、など)
血圧が高い日を責めない。「なぜ高かったか」を知る材料にする
目標値を知る
家庭血圧の目標:125/75mmHg未満(JSH2025)
高血圧の家庭血圧基準:135/85mmHg以上
この間の「125〜134 / 75〜84」の範囲は「高値血圧」と呼ばれ、まだ高血圧の診断はつきませんが、生活習慣の改善が推奨される領域です。
「いきなり125/75を目指さなくていい」。今の値から5mmHg下げるだけでも、脳卒中や心筋梗塞のリスクは確実に下がります。
減塩の実践テクニック
血圧管理でいちばん効果があり、いちばん難しいのが減塩です。
日本人の平均食塩摂取量は約10g/日。ガイドラインの目標は6g未満。つまり、4割近く減らす必要がある。
「味が薄くなるのは嫌だ」——わかります。でも、いきなり6gを目指す必要はありません。まず1g減らすことから始めましょう。
すぐ効く「引き算」テクニック
① ラーメン・うどんの汁を残す。 麺類の汁には塩分が4〜6g含まれています。汁を半分残すだけで2〜3g減。これがいちばん手軽で効果が大きい。
② 漬物を半分にする。 漬物1皿で塩分1〜2g。毎食食べている方は、1日1回に減らすだけで1〜2g減。
③ 醤油をかけない、つける。 かける量は自分でコントロールしにくい。小皿に出してつけるだけで、使用量が半分以下になります。
④ 加工食品を意識する。 ハム、ソーセージ、かまぼこ、ちくわ、即席麺、レトルト食品。「しょっぱくないのに塩分が多い」食品を知っておくことが大事です。
「足し算」テクニック──カリウムを増やす
JSH2025では、減塩だけでなくカリウムの摂取を増やすことも推奨されています。カリウムは体内の余分なナトリウムを排出する働きがあります。
カリウムが多い食品:
野菜:ほうれん草、ブロッコリー、トマト
果物:バナナ、キウイ、アボカド
海藻:わかめ、ひじき
豆類:納豆、大豆
ただし、腎機能が低下している方はカリウムの摂りすぎに注意が必要です。 主治医に確認してください。
塩分を「見える化」する
「減塩しているつもり」なのに実際は塩分が多い——ということはよくあります。
JSH2025では、尿中Na/K比(ナトリウムとカリウムの比率)を測定して、実際の食塩・カリウム摂取状況を評価することが推奨されました。これは病院で簡単に調べられるので、外来で聞いてみてください。

運動──有酸素+筋トレの両方
入門講座#12でも触れましたが、運動は血圧を下げる確実な方法です。
目安:1日30分以上、または週180分以上の有酸素運動(ウォーキング、自転車など)
これに加えて、週2〜3回の筋力トレーニングも血圧を下げる効果があるとJSH2025で明記されました。
「いきなりジム」ではなく、スクワット10回×2セット、かかと上げ20回など、自宅でできる自重トレーニングから始めてください。
糖尿病の方にとっては、血糖と血圧を同時にケアできる「一石二鳥」です。詳しい筋トレメニューは、実践ゼミ#13で扱う予定です。
1週間チャレンジ──まずはここから
「全部やらなきゃ」と思うと、何も始められません。まずは1週間だけ、以下を試してみてください。
Day 1: 上腕式血圧計を用意する(すでに持っている方は説明書を読み直す)
Day 2: 朝、起床→トイレ→座って安静→測定。記録する
Day 3: 朝に加えて、寝る前にも測定
Day 4〜7: 朝・夜の2回を続ける。ラーメンの汁を1回残してみる
1週間の記録が手元にあれば、次の外来の景色がまったく変わります。 医師が見える情報量が格段に増え、より的確な治療方針を立てられます。
まとめ
血圧計は上腕式を1台。 5,000〜10,000円の投資が、脳卒中を防ぐかもしれない
朝と夜の2回測定。 起床後1時間以内(トイレ後・食前・服薬前)+寝る前
2回測って平均を記録。 手帳でもアプリでも、続くほうを選ぶ
目標は家庭血圧125/75未満。 まずは今の値から5mmHg下げることを目指す
減塩は「引き算」から。 ラーメンの汁を残す、漬物を半分に、醤油はつける
カリウムは「足し算」。 野菜・果物・海藻・豆類を意識的にプラス
運動は有酸素+筋トレ。 自宅でスクワットから始められる
明日の朝、起きてトイレに行ったら、座って血圧を1回測ってみてください。その数字が、血圧管理の第一歩です。
参考情報
・日本高血圧学会『高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)』
📗 次の実践ゼミ → #10「ぐっすり眠る技術」
📘 血圧の基本を学びたい方 → 入門講座#12「血圧って何?」
⚠️ なぜ糖尿病と血圧がつながるのか → ぜんぶ代謝のせい#2
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※この記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の治療については主治医にご相談ください。
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