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「困った人」への対処法4~思考スタイルを知ることで人間関係を楽にする 具体的知識2✕抽象化能力2

個々人の思考スタイルは、「具体的知識」と「抽象化能力」の組み合わせで決まると私は考えています。
「具体的知識」にも「抽象化能力」にもそれぞれ0~4までのレベルがあり、たとえば具体的知識レベル3✕抽象化能力レベル1、具体的知識レベル4✕抽象化能力レベル3、などのように、バランスによってその人の思考スタイルが決まります。

自身の思考スタイルを知ること、コミュニケーション相手の思考スタイルを知ることは、円滑な人間関係、効果的なコミュニケーションを実現するためには重要です。

具体的知識と抽象化能力のレベルが2以下の組み合わせの思考スタイルだと誤解が生じたり、話が噛み合わなかったりとミスコミュニケーションが発生しやすくなります。レベル2以下同士の場合はなおさらです。

今回は具体的知識レベル2✕抽象化能力レベル2の思考スタイルについてご紹介します。

具体的知識レベル2✕抽象化能力レベル2

具体的知識2×抽象化能力2の思考スタイルの特徴

思考の利き手は具体、抽象の両方にあるバランス型です。

具体的知識レベル2ということは、特定のある対象については全体像をしっかりと理解できている状態と言えます。ただし、その対象に外部から影響を与える要素や、その対象が含まれる系(システム)にまでは視野は広がっていません。その結果、外部要因による影響を見逃してしまうリスクがあります。対象を本当の意味でしっかり理解できているとはいえない状態です。

抽象化能力レベル2ということは、複数の具体的な事例から、適切な抽象化の軸に従って、パターン認識、概念化をすることができます。自身が持っている具体的な知識を広く活用することも可能です。

自身も抽象化能力に自信を持っていることが多く、また、周囲もそれを認めています。抽象化能力レベル2以上あると、学習の効率も高くなります。

ただし、抽象化能力レベル2というのはまだ中レベルの抽象化能力であることを忘れてはなりません。

この思考スタイルの人の多くは、自信を持って行動することで、周囲に安心感を与え、強いリーダーシップを示します。標準的な手法やフレームワークも使いこなし、多くの場合は一定の成果を出すことができます。その結果、一般的には「仕事ができる人」、「しっかりした人」との評価を受けていることが多いでしょう。

一方で、適用判断力が不十分なため、自説を強引に推し進めた結果、大きな失敗をしてしまうことがあるのがこの思考スタイルです。

具体的知識1✕抽象化能力1、具体的知識1✕抽象化能力2、具体的知識2✕抽象化能力1の思考スタイルの人が、重要な仕事を任せられることは稀ですが、具体的知識2✕抽象化能力2の人は重要な仕事を任せられる可能性が高まります。

また、この思考スタイルの人は周囲にも認められているために、口を挟む人も少なく、異議を唱える人も少ないため、失敗の火種が小さい時に手を打つことが難しくなります。

さらに、この思考スタイルの人は、自身を具体的知識3以上✕抽象化能力3以上という自己認知をする傾向があります。

適用判断力がまだ不十分なのに、自身の能力に過剰な自信を持ち、周囲も忖度してしまうことで、結果として大きな失敗に繋がってしまうわけです。

ある程度高いレベルで思考できるのは間違いないのですが、以下のような「困った人」になってしまうこともあります。

「自分のやり方が正義な人」

  • 自分の経験から独自の理論を作り上げ、それを普遍的な法則だと思い込む傾向

  • 似たような状況と判断した場合では過去の成功パターンをそのまま適用しようとする

  • 口ぐせは「私の経験では〜」「これは〜のパターンですね」「前にも同じようなことがありました」

やりとりの例:営業部のSさん

商談後のミーティングにて:

Sさん:「この案件、前に成功した○○社のときと同じパターンですね」

同僚:「でも今回は規模も業界も違いますよ」

Sさん:「いや、本質は同じです。あのときと同じアプローチで必ず成功します」

同僚:「しかし、お客様の要求事項が...」

Sさん:「大丈夫です。私の経験から言って、このパターンなら絶対に上手くいきます」

「自分のやり方が正義な人」の特徴

このタイプの人は、ある程度の経験と知識を持ち、そこから自分なりのパターンを見出すことができます。しかし、そのパターンをいつでも適用できると考えがちで、状況の違いを適切に判断できるとは限りません。

過去の成功体験に強く影響を受け、その時の方法が普遍的に通用すると信じています。そのため、条件が異なる場合でも同じアプローチを試み、失敗することがあります。

また、確信に満ちた説明が周囲の意見を封じるというリスクがあります。この思考スタイルの人の言葉には、一見、説得力があるため、周囲も「この人は分かっている」と錯覚し、意見しづらくなります。結果として、誤った判断が修正されにくいわけです。

また、自説を強く主張するあまり、異なる視点や意見を受け入れにくいという特徴もあります。

その主張がユニークなものであればあるほど、それに固執してしまい、結果として周囲の理解を得られないまま強引に進めてしまい混乱を招くリスクもあります。

 

「自分のやり方が正義な人」の取り扱い説明書

このタイプの人は、マネジメント層に多く存在し得ます。社内や組織内で高く評価され、本人も自信を持っていて、強いリーダーシップで組織を率いていることも多いと思われます。

また、部下にこのタイプがいる場合、鍛えがいがあると言えます。

このタイプには、抽象化能力は中程度あるため、現在進めている活動の目的を明確にし、それを満たすことの重要性の再確認をすることは容易です。まずは、そこをスタートポイントとした上で、現在とろうとしているアプローチの是非を検討することが重要です。

その際、過去の成功事例と現在の状況の違いを具体的に示すことが重要となります。

「前回のケースでは確かにそのアプローチは有効だった」と認めつつ、現在のケースでは何が異なるのかを詳しく説明します。また、対象に影響を与える可能性のある要素を洗い出すのもポイントです。この思考スタイルの人は、対象に対してはしっかり理解できていますが、外部要因に対しての考慮が足りないことがあるからです。

また、チームでの検討の機会を増やし、多様な視点からの意見を聞く場を設けることで、自分の経験則を絶対視する傾向を和らげることができます。

状況が異なれば結果も変わる可能性があることを認識してもらい、より柔軟なアプローチを考えられるよう促すことが大切です。


今回は具体的知識レベル2✕抽象化能力レベル2の思考スタイルについてご紹介いたしました。


「困った人」が多い思考スタイル~まとめ

参考
1 なぜ、あの人との会話は噛み合わないのか?
2 会話の「噛み合わなさ」の正体
3 「同じミス」を繰り返す人は、「同じミス」だと思っていない
4 質問にきちんと答えられない人
5 思考にも「利き手」がある
6 「茶色い毛玉」か、「うちのミースケ」か?~「具体的知識」のレベル
7 「視野を広げる」ための4つのアプローチ
8 多角的な情報収集~「解像度を上げる」ためのアプローチ(1)
9 何がわが子に起こったか? 「観察」と「記録」と「分析」~「解像度を上げる」ためのアプローチ(2)
10 「抽象化能力」のレベル
11 活躍し続けるベテランは「パターン認識力」が優れている~抽象化能力を支える力1
12 「新入社員が辞めていくのは、新人教育が不十分だから」では、不十分な理由
13 上司の“武勇伝”には、「適用判断力」が欠けている~抽象化能力を支える力2
14 「工場長、本当にその方法で大丈夫なのでしょうか?」適用判断力~抽象化能力を支える力2
15 なぜ、上司によってこんなに評価が異なるのか?抽象化調整力~抽象化能力を支える力3
16 思考スタイルは抽象化能力と具体的知識の組み合わせで決まる
17 「困った人」への対処法1~思考スタイルを知ることで人間関係を楽にする 具体的知識1✕抽象化能力1
18 「困った人」への対処法2~思考スタイルを知ることで人間関係を楽にする 具体的知識1✕抽象化能力2
19 「困った人」への対処法3~思考スタイルを知ることで人間関係を楽にする 具体的知識2✕抽象化能力1
20 「困った人」への対処法4~思考スタイルを知ることで人間関係を楽にする 具体的知識2✕抽象化能力2
21 「知っている」と「理解している」の決定的な違いとは


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