現役ライターが商業出版した時の苦労とは?みくまゆたん×編集担当の岡本さんとスペースでぶっちゃけてきた【第3話】
先日、私の自著の出版記念として、編集担当の岡本さんと「商業出版の苦労について」をテーマにスペース対談を開催しました。
第1~2回目で公開した記事では、あえて現場の息遣い(生々しさ?)が残るように、文字起こしにやや近いインタビュー形式でお届けしました。
今回は、いよいよ続編の第3回目です。文字起こしは、『ヒトもAIも仕事は“引き受け方”が9割 断らずに信頼されるための仕事整理術』を出版されている 渋谷亜也さん が担当してくださいました。
出版後の「その後の心境」が、私にも思い当たるところがあり、読みながら首がもげるほど共感していました。さらに、編集の岡本さんへ最初に送ったメールまで公開されていて、『こうやってアプローチすればいいんだ!』と目から鱗。チャンスを掴みたい人には、ぜひチェックしてみてください。
余談ですが、まだ文字起こしの記事化が半分も終わっていません……今週ずっとこの連載だったらすいません(笑)
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みくまゆたん×岡本さんスペースイベント「【出版記念対談】商業出版の苦労について(みくまゆたんさん×岡本)」
元旦から原稿
みく:岡本さんからは、発売日のかなりギリギリまで……。いや、年末(ほぼ大晦日?)の時期にも『まだいけるはずです』って、何度も連絡をいただいたじゃないですか。
ここまで自分の原稿のために最後まで粘ってくださるんだと思うと、本当に嬉しかったです。同時に、「この期待に応えなきゃ」とも思いました。
だから私、実は年末年始は実家に帰っていないんです。正月は夫と娘が義実家へ挨拶に行き、私はひとり黙々と原稿を修正していました。
岡本:すみません、ご家族の時間を奪ってしまって……。
みく:全然大丈夫です。むしろ、“ここで応えなきゃ”って腹をくくりました。
岡本:でも、最後の一粘りで、さらによくなったと思うんですよ。
みく:私もそう思います。最後の一粘りで、かなり詰められましたよね。
岡本: そうですよね。Webの仕事だと、最後の方は編集側が『じゃあこっちで直しておきますね』って、細かいところを調整して出しちゃうことも多いんです。でも、本の“最後の粘り”って、やっぱり本を書かないと身につかないなと思っていて。
何冊も出している作家さんって本当にすごいんですよ。3回くらいの構成直しが普通で、多い方だと7回直してきた方もいました。
まだ編集歴が浅い頃にそういう著者さんとご一緒したんですが、「ああ、こんなに最後までこだわるんだ」って衝撃でした。
みく: すごいんですね。
岡本: 経験を積んだ売れっ子の作家さんは、細かい文章のところまで気を配るんですよね。みくさんの原稿も、最後に変えた部分が結構ありましたが、最終的にとてもいい原稿になったと思います。
リアルな体験を盛り込んでみた
みく: そうですね。年末には大阪でライター忘年会を開催したんですが、そこで出た貴重な意見も取り入れたり、何気ない会話からヒントを得たりして、最後までしっかり詰めました。
岡本: まさに“体験型”というか、みくさんがその場で得た体験が、どんどん原稿に反映されていくのを感じました。
みく: そうですね。ちょうど人とたくさん会っていた時期でもあったので、その時の息遣いやリアリティが、すごく原稿に反映されたなと思っています。
岡本: 本当に一次情報だらけの原稿でしたよね。「ここまで出していいんですか?」みたいなコメントも、Xか何かで見かけましたよ。
ライターの田中さんからも、たくさんお褒めの言葉をいただきました!なんと、田中さんの本を読んで買ってくださった方もいらっしゃるということで、本当にありがたいです。
みく: たしかに、ここまで赤裸々で具体的に書いた“ライター向けのビジネス書”って、あまりないと思うんです。実は、駆け出しのころに「こういう本があったら助かるのに」と思っていたものを、そのまま形にした感じですね。
岡本:うん、確かに。ライター初期のタイミングでこの本があったら、めちゃくちゃありがたいですよね。
みく: ありがたいと思います。あと、ビジネスのB to Bのくだりで「〇〇〇を意識するといい」という話を書いていると思うんですが、あのエピソードも他の人はあまり触れていない気がしていて。
岡本: そうかもしれないですね。そもそもB to Bのライターさんって、あまり表に出てこないですし。
みく:報酬のことを考えても、ビジネス領域の仕事は外せないと思ったんです。もちろん報酬だけじゃなくて、「こういう仕事がしたい」という思いも書きたかったというか。やっぱりそういう“根っこ”ってありますよね。
たとえば、「こういうジャンルの仕事に憧れがある」とか。そういう意味も含めて「ジャンル別の書き方」を紹介しました。いろいろ書けるようにしておくと助かりますし、ライターって結局“人にわかりやすく伝える”のが仕事なので。
岡本: たしかに。あとは、本の中にもありましたけど、「恋愛コラムの市場が昔より減った」という話も興味深かったというか。
みく: 減りましたね。もちろん今でも恋愛コラムを書いている方はたくさんいますが、昔より今は「その道(恋愛コンサルくらいの方というか)で売れている人」が長く書き続けている印象です。
岡本: なるほどね……。あと本の話に戻りますが、サブタイトルや帯コピーも僕の方で考えたじゃないですか。ぶっちゃけどうでした?
みく:めちゃめちゃ好評でした。
岡本:あ、本当ですか。よかったです。
みく:仲のいい友達からも「このコピーすごくいいね」って褒められて。「すごいでしょ?」って返した気がします(笑)。
「私が考えたわけじゃなくて、岡本さんっていう方が全部考えてくれたんだけど……」って説明したら、みんな「すごいねぇ」って。コピーだけじゃなく、表紙デザインも可愛いってすごく好評で。ほんと、お褒めの言葉しか聞いてないです。
岡本: いい感じですよね。僕も「あ、これはハマったな」という感覚がありました。バチッと決まったというか。
みく:構成をかなり整えていただいた時も、「原稿ってこんなに見違えるように変わるんだ」と感動して。最初にもらった時、泣いちゃったんですよ。
岡本:横書きから、縦書きになりますもんね。通常の本は縦書きのWord原稿を使うんですが、僕はGoogleドキュメントが好きで。ただGoogleドキュメントって、縦書きができないんですよね。
縦書きと横書きでも、印象ってだいぶ変わりますよね。
本の形になっていくのに感動
みく:本の形になっていくこと自体にまず感動しましたし、こういう経験が初めてだったので。
岡本:普通はないですよね。
みく: 「ああ、こんな風になるんだ」と、驚いたというか。キャッチーな見出しもつけてもらって、「こんなにセンスよく変えてもらえるんだ」と目を丸くした記憶があります。
コピーを初めて見た時も「え、こんなのすごい」と思って。私には、到底思いつかないから。
岡本:それは初耳ですね。
みく:センスよく見出しも変えてもらって、文章もすごくいい感じに直していただいて。「え、プロって本当にすごい」と思いました。
このプロセスを通じて、編集の力に感動したんです。編集って本当にすごい仕事だなと。だからこそ、その凄さをちゃんと私が伝えていかなきゃいけないなと思っていて。
(本は一体どうした)
岡本:嬉しいです。ありがとうございます。やっぱり編集って黒子なのでね。編集者が直す前の原稿って、基本的に世に出ないんですよ。
みく: ですよね。携わった人が伝えていかないと、その良さって伝わらないと思うんです。
岡本: まあ、でも著者さんって、あんまり「編集の人に直してもらいました」って言いたくないものじゃないですか。
めっちゃ〇〇言いたい
みく: それが……私、めちゃ言いたいんですよ。
岡本: そうなんですか。あんまり「こんなによく直してくれた」って言ってくださる著者さんって、多くはないというか……。
みく: 私、言いすぎなんですかね。
岡本: いや、逆にこちらとしては都合が良いのでありがたいです。極端な話、原稿ってこだわろうと思えばいくらでも直せちゃうんですよ。無限にこだわれるのが原稿なので。だから、なんというか……まだまだやれるぐらいの気持ちは常にあるんです。
みくさん、今回の原稿だけを見たとき、自分の評価では100点満点中どれくらいだと思いますか。
私は120点だけど、岡本さんの評価は〇〇点だった
みく:自分の中で過去最高に一番苦労したので、私の中では120点なんですけど。
岡本:120点なんですね。
みく:でも、岡本さんから見たら120点じゃないかもしれない。
岡本: 僕は95点かなと思っていて。もちろん、ダメという意味では全然ないんですけど。
みく: おお! そうなんですか。
岡本: 正直、削った部分も結構たくさんありましたしね。
みく: そうですよ。だって、初校から丸々……構成ほぼ変わってますもんね。最初、自伝みたいなの入れてたし。
岡本:自伝的な内容は確かにありましたね。あれ全部削りましたし。最初の頃の原稿って、読後感としては「ためになりました」みたいなイメージだったんですよ。「ライターの実務が垣間見えて、ためになりました」という感じというべきか……読み終わった後の心の動きが、そういう方向だったんです。
でも、みくさんがこのタイミングで本を出すのであれば、「ためになりました」で終わらせちゃダメだと思ったんですよ。
ゴールをそこに置いちゃいけない、と強く感じていて。だから心を鬼にして、
「みくさん、この原稿は確かに綺麗にまとまっています。けれど、人の心を動かすところまでは、まだ至っていません」
とお伝えしたんです。
みく: そうですね。ライター歴8年目とかになると、周囲からの期待もありますしね。
岡本: そうなんですよ。だから、みくさんの“ヤバさ”というか、“狂気”みたいな部分を前面に出してほしくて。特に「はじめに」と「おわりに」は書き直してもらえませんか、とお願いしたと思います。もちろん中身も変えましたけど。
みく: 「感動が来る感じって何だろう」と悩みましたね。
全部の原稿が終わったタイミングで、「人生がこれを読んで変わった、ってAmazonのレビューがつくレベルを目指してください」と言われた時は、本当に「えっ!」って驚きました。
岡本: ははは。まあ、そうですよね。自分でも高いハードルを課している自覚はありました。でも、みくさんはそのレベルを遥かに超えてきたと思っています。
みく:その“超えるまで”が本当に大変でした。正直「どうしよう」と思っていた時期に、タキアユミさん(エッセイ部門でメディア賞を受賞)の創作大賞の振り返り記事を読んだんです。
その瞬間、人生がまるっと変わるような感覚があって──あ、これだ、と。
そこからタキさんの記事をイメージしながら「はじめに」を書き直したら、バチッとハマったんです。
岡本: おー、すごいですね。
みく: ちょうどそのタイミングで、「創作大賞受賞者にヒアリングしてみた」というイベントにも協力していただいたんですよ。
岡本: あ、そうなんですか! たしかに、みくさんからは“取材者魂”みたいなものをすごく感じます。急に、今まで関わりのなかった人にも突撃しますよね。
みく:本当はめちゃめちゃ怖いんですよ、声をかけるの。
岡本:(意外と)みくさん、慎重なタイプですよね……。
みく: 慎重ですよ。だから「声かけて大丈夫かな」とか、過去の記事や投稿も全部チェックして、「この人に声をかけても大丈夫か」を考えてから連絡するようにしています。
岡本: で、その経験が「はじめに」や「おわりに」に活かされたんですね。
みく: そうですね。最初はすごくあっさりしてましたもんね。
「はじめに」が初稿の5倍に
岡本: 5倍ぐらい増えましたよね……。
みく: 5倍くらいですね。書いている途中で、ちょっとおかしくなりそうでした。
岡本: でも編集者って、著者の苦労を考慮して読んでしまうと情が移ってしまうので、原稿に影響が出るんですよ。
みく: ああ、そうですよね。
岡本: だから、そこはフラットに読むように気をつけていました。専属編集者の方ともセッションしていただいてましたし、毎月1〜2回のペースでお話ししてましたよね。
みく:お話ししましたね。でも本当に、その“客観的な視線”に助けられました。こう言うとあれなんですけど、私、ファンが多いじゃないですか。
岡本:ははは……はい……。
みく:ファンの存在はすごく嬉しいんですけど、何でも褒めてくださるので、「客観視してくれる人」がいたらいいなと思っていたんです。このままだと、どこかで自分がダメになるなと感じていて。だから、パーソナル編集者も利用しようと思っていたんですよ。
ズルズル何もしないまま過ごしていたら、岡本さんに「本を書きませんか?」って声をかけてもらって。初稿でかなりフィードバックをいただいた時に、「あ、これ自分の力だけじゃ無理だ」と思って、専属編集者のサポートも受け始めました。
岡本: ああ、そうだったんですね。
みく: そういう経緯があったんです。
岡本: 編集者って、ちょっとおかしいところがあるなと自分で話しながら思いました。そんな経緯で書かれた原稿をフラットに読むって、なかなか……冷徹な心を持っていないとできないんですよね。
みく: フラットな目線が、すごい助りました。その客観的目線があって、アドバイスも結構してもらってたじゃないですか。月に1回ぐらい。
岡本: うん、うん。
みく: すごい助かったんですよね。自分にはない視点を得るって、原稿にとって本当に大事なので。その視点があったから考え方も変わったし、noteを書くときの向き合い方も変わりました。
今までは、自分の半径1メートルくらいの“大切な人たち”に届けるつもりで書いていたんです。でも、岡本さんからは「もう少し遠くの人に向けて書いてください」って言われましたよね。
岡本:はい。最初の原稿は、仲のいい方向けの文章になっていたので。
みく:普段からお世話になっている、noteの読者さん向けに書いちゃってたんですよね。それを「もっと遠くの人に向けて書いてください」と教えてもらって、「あ、これじゃいけないんだ」と気づきました。
それでnoteを書くときも、半径1メートルの人に向けていた意識を変えて、もっと遠くの人に向けて書くようにしたんです。そもそも私はプロとして書いているんだから、そういう意識でやっていかなきゃいけないな、と考えが大きく変わりました。
岡本:なるほど。確かに書き手として、有益な指摘を受けるって意外と難しいんですよね。批判とか誹謗中傷は別として、本気でその人のためにフィードバックするって、めちゃくちゃ気合がいることなんです。
原稿でも触れていましたけど、ここで妥協するとその人のためにならない。「ああ、いいじゃん」って通してしまうと、結局その方が後で苦労することになる。
そういう“本気のフィードバック”って、今はあまり多くない気がします。特に僕はWebライターをやっていたので、そういうフィードバックをもらったことがほとんどなかったんですよ。
みく:なかなか、ないですよね。
【第4話へ続く】
今、渋谷さんからいただいた「文字起こし」を確認したところ、実はまだ半分くらいかな……。なんとかレポートの続きの執筆、頑張ります。次回もお楽しみに。
【告知①】
現在、 #書く人生のはじめかた という書籍を発売中です。
もし読了いただけましたら、Amazonレビューやnote・Xなどに感想いただけると泣いて喜びますー!
【お知らせ】
『書く人生のはじめかた 文章力より大切な“書き続ける”ための心構え』が、おかげさまで実売100部(電子書籍込み)を突破しました。(※2/6までの速報値)

一冊一冊、手に取ってくださった皆さまのおかげです。
読んでくださったこと。感想やレビューを届けてくださったこと――そして大切な時間をこの本に預けてくださったことに、心から感謝しています。
「書きたい気持ち」をそっと守りながら歩いている方、書くことに迷ったり、立ち止まりながらも前へ進もうとしている方――そんな皆さまに支えられて、この本は今、少しずつ旅を続けています。
これからも、書く人の側に静かに寄り添える一冊でありますように……。
引き続きあたたかく見守っていただけたら嬉しいです。改めて、この度はご愛顧いただき、本当にありがとうございます。
【出版関連のXスペースはこちら】
他の著者さんや、私の他のXスペースはこちらで紹介されていますので、気になる方はぜひリマインダーの設定を宜しくお願いします。
なんと今度、ブログ飯で有名な染谷さん、ライター講師としても活動されているなつみとさんともスペースで登壇します。
【奇跡の対談、ついに実現!】
— みくまゆたん (@mikumayutan) February 7, 2026
2/16 13:00〜 染谷昌利さん✖︎なつみとさん✖️みくまゆたん✖︎岡本雄太郎さん(編集担当)で、スペース対談します。@masatoshisomeya @NatsumiToshi @oka_motti
まず、ここで染谷さんとなつみとさんの凄さを紹介させてください。
染谷さんは株式会社MASH…
凄い展開になってきました。今後の展開にもこうご期待ください。
【告知②】
作家の渋谷さん、編集担当の岡本さんと、2/10 12:00〜スペースイベントを開催します。テーマは「書くのがしんどいけど、どうしたら苦しまずに書けるのか」といった内容です。
「書くのしんどいわ……」という方は必見です!(多分)お楽しみに!!
