MVP ARCHIVE HISTORY|Energy : Energy History SPECIAL 09 : Steam Generator / 蒸気発生器


蒸気発生器
原子力発電所では、原子炉で生まれた熱によって水を蒸気へ変え、その蒸気でタービンを回して発電する。
しかし、加圧水型原子炉では、原子炉を流れる水がそのままタービンへ送られるわけではなく、別の水へ渡し、発電に使う蒸気をつくる。
それが、Steam Generator( 蒸気発生器 )である。
二つの水の流れ
加圧水型原子炉では、水の流れが大きく二つに分けられている。
原子炉の炉心を通る水は、一次冷却水と呼ばれ、燃料集合体から熱を受け取り、高温になって 蒸気発生器 へ向かう。
蒸気発生器 の内部では、その熱が二次冷却水へ伝えら、二つの水は直接混ざらず、金属製の伝熱管を挟み、熱だけが一次側から二次側へ移動する。
一次冷却水は沸騰しない
炉心を通過した一次冷却水は、非常に高い温度になっている。
通常の圧力であれば沸騰する温度だが、加圧水型原子炉では一次系に高い圧力をかけることで、水の状態を保っている。
この高温高圧の水が、配管を通って蒸気発生器 へ流れ込む。
一次冷却水は伝熱管の内部を通過し、熱を二次側の水へ渡したあと、再び原子炉へ戻るという循環を繰り返すことで、炉心の熱が継続して運び出される。
伝熱管を通して熱を渡す
蒸気発生器 の内部には、多数の細い伝熱管が配置されている。
多くの加圧水型原子炉では、伝熱管は下部で折り返すU字形をしており、一次冷却水と二次冷却水を隔てているのは、薄い伝熱管の壁である。
そのため伝熱管には、高い熱伝導性に加え、高温、高圧、腐食へ長期間耐える性能が求められる。
水から蒸気へ
伝熱管から熱を受け取った二次冷却水は、蒸気発生器 の内部で沸騰する。
生まれた蒸気には、タービンの羽根を傷める可能性のある小さな水滴が含まれている。
そのため 蒸気発生器 の上部には、水滴を取り除く気水分離器などが設けられ、水分を減らした蒸気は主蒸気配管を通り、タービンへ送られる。
蒸気がタービンを回す
蒸気発生器 から送られた蒸気は、タービンの羽根へ力を加えて回転させる。
タービンに接続された発電機も回転し、電気が生み出される。
その後蒸気は復水器で冷やされ、再び水へ戻り、給水ポンプによって蒸気発生器へ送られ、再び熱を受け取って蒸気になる。
二次側の水も、発電所の中を循環しながら繰り返し利用されている。
二つの系統を分ける
原子炉を通る一次系は、運転中には放射性物質を含む可能性があるため、タービンを動かす二次系を物理的に分離している。
蒸気発生器 によって二つの系統を分けることで、通常運転では一次冷却水がタービン設備へ流れ込まない構造となっている。
蒸気発生器 は熱交換器であると同時に、原子炉系統と発電系統の境界でもある。
伝熱管の健全性
一次系と二次系を隔てる伝熱管には、常に大きな圧力差がかかっているため、長期間使用すると、腐食、摩耗、振動などによって伝熱管が劣化する可能性がある。
そのため定期検査では、伝熱管の状態を詳しく調べ、異常が確認された管は使用を停止するなどの対応が行われる。
蒸気発生器 の性能は、熱を効率よく伝えられるかだけでなく、二つの水系を確実に分離できるかによっても評価される。
沸騰水型原子炉との違い
蒸気発生器 は、主に加圧水型原子炉で使われる設備である。
加圧水型原子炉は、一次系と二次系を蒸気発生器によって分ける。
沸騰水型原子炉は、原子炉の内部で直接蒸気をつくる。
沸騰水型原子炉では、炉心を流れる水を原子炉圧力容器の内部で直接沸騰させ、そのままタービンへ送られるため、独立した 蒸気発生器 は必要ない。
Archive Point
Steam Generator は、加圧水型原子炉で一次冷却水の熱を二次冷却水へ伝え、タービンを動かす蒸気をつくる大型の熱交換器である。
一次冷却水は伝熱管の内部を流れ、二次冷却水はその外側で熱を受け取って沸騰する。
蒸気発生器 は、原子炉の熱を発電設備へ受け渡す装置であると同時に、原子炉を循環する一次系と、タービンへ続く二次系を分ける重要な境界である。

