MVP ARCHIVE HISTORY|Energy : Nuclear Energy 07 : Generation I–IV Reactors / 原子炉技術の世代


原子炉技術の世代
原子炉は、核分裂 の連鎖反応によって生まれる熱を利用する装置である。
1950年代に最初の発電用原子炉が建設されて以来、安全性、経済性、資源利用、廃棄物管理などを改善しながら発展してきた。
この技術の変遷は一般に Generation I〜IV の四世代に分類されるのだが、この区分は年代ではなく、設計思想の変化を示すものである。
Generation I
原子力発電の実証
Generation Iは1950〜60年代に建設された初期の発電用原子炉である。
Obninsk、Calder Hall、Shippingportなどでは、燃料、減速材、冷却材、炉心構造など様々な方式が試された。
この時代は、核分裂 による発電が実用化できることを示し、その後の 商用原子力発電 の基礎を築いた。
Generation II
商用原子炉の時代
1970年代以降、原子力発電は本格的な商業利用へ移行した。
中心となったのは軽水炉(LWR)であり、世界中へ普及した。
・PWR(加圧水型)
・BWR(沸騰水型)
各国ではPWR、BWRのほか、CANDU、VVER、RBMK、ガス冷却炉など、それぞれの事情に応じた炉型が発展、大量建設によって原子力は国家の基幹電源となったが、重大な原子力発電所事故は、安全設計や組織運用を見直す契機となった。
・Three Mile Island(1979)
・Chernobyl(1986)
・Fukushima Daiichi(2011)
Generation III
改良型原子炉
Generation III は Generation II を発展させ、安全性、運転寿命、信頼性を高めた原子炉で、いくつかの代表的な改良点があり、設計寿命は約60年が想定されるようになった。
・長寿命化
・デジタル制御
・格納容器の強化
・燃料利用効率の向上
・保守・建設の合理化
Generation III+
さらに受動的安全機能を強化した設計は Generation III+ と呼ばれ、外部電源やポンプに依存せず、重力や自然循環を利用して一定時間炉心を冷却する設計思想が採用された。
・AP1000
・EPR
・VVER-1200
・APR1400
・ABWR
Generation IV
次世代原子力システム
Generation IV は、従来炉の延長ではなく、原子力利用全体を再設計する構想である。
2001年にはGIF( Generation IV International Forum )が設立され、さまざまな側面からの目標設定として研究が進められている。
・持続可能性
・経済性
・安全性・信頼性
・核拡散抵抗性
六つの原子炉システム
GIFでは次の六方式が研究対象となっている。
・SFR(ナトリウム冷却高速炉)
・LFR(鉛冷却高速炉)
・GFR(ガス冷却高速炉)
・VHTR(超高温ガス炉)
・SCWR(超臨界圧水冷却炉)
・MSR(溶融塩炉)
高速炉は燃料資源の有効利用や長寿命核種の低減、高温ガス炉は産業用高温熱、水素製造への利用など、それぞれ異なる目的を持つ。
Generation IV は一つの炉型ではなく、多様な技術を研究する総称である。
発電から総合エネルギーへ
Generation IV では、電力だけでなく様々な高温熱利用も想定されている。
原子炉は発電設備から、総合的なエネルギー供給システムへ。
・水素製造
・化学工業
・製鉄
・海水淡水化
・地域暖房
・合成燃料
実用化への課題
Generation IV はまだ研究・実証段階が中心であり、すべてが商業化されたわけではない。
また、Generation分類は技術思想を整理するための目安であり、実際の安全性や性能は個々の設計や運用によって決まる。
歴史的意義
Generation I は発電を実証し、Generation II は商業利用を確立した。Generation III は安全性と信頼性を向上させ、Generation IV は資源利用、廃棄物、安全性、産業利用まで含めた原子力システム全体の最適化を目指している。
原子炉の進化は、より大きな出力を求める歴史ではなく、核エネルギーをより安全に、より効率よく、より持続的に利用する方法を追求してきた歴史である。

