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現代国際金融 - 国家の通貨から、世界を結ぶ金融ネットワークへ
現在の国際金融は、一つの条約によって作られた単一の制度ではない。
通貨、中央銀行、金融市場、民間銀行、国家、国際機関、企業、投資家が国境を越えて接続された巨大なネットワークである。
Gold Standard|金を基準とした世界
19世紀後半から20世紀初頭にかけて、主要国の 国際通貨制度 を支えたのは Gold Standard|金本位制 だった。
各国通貨を一定量の金へ結びつけ、通貨同士の交換比率も安定する。
第一次世界大戦、戦後の混乱、1929年からの 世界恐慌 を経て、この制度は崩壊、各国は通貨切り下げ、為替管理、貿易制限などを採用する。
経済危機が国際協調を弱め、国家ごとの防衛政策を強めていった。
Bretton Woods System|戦後秩序
1944年、第二次世界大戦 がまだ続くなか、44か国の代表が Bretton Woods に集まり、ここで設計された 戦後国際経済秩序 では、米ドルが中心に置かれ、各国は自国通貨とドルとの為替レートを一定範囲に維持する。
IMF|International Monetary Fund
IBRD|International Bank for Reconstruction and Development
通貨・国際収支の安定、戦後復興と開発のためが設立さた
世界経済は、通貨制度と国際機関を組み合わせた新しい秩序へ移った。
Dollar|世界へ広がる通貨
戦後のアメリカは巨大な経済力と金融力を持っていた。
世界貿易が拡大すると、ドルは世界各地で保有されるようになった。
しかし、この拡大そのものが Bretton Woods System へ圧力をかけた。
世界経済が成長するためにはドルが必要になる。
国際金融の拡大と、固定された通貨制度との間に緊張が生まれていった。
Nixon Shock|1971
1971年8月15日、Richard Nixon大統領はドルと金との交換停止を発表した。
Nixon Shock|ニクソン・ショック である。
Bretton Woods System を支えていた、ドルと金の接続が切れ、同年12月には Smithsonian Agreement によって 固定相場制度 の再構築が試みられた。
しかし圧力は避けられず、1973年、主要国は相次いで Floating Exchange Rates|変動相場制 へ移行する。
通貨の価値を市場が動かす
変動相場制 では、主要通貨の交換比率は固定されない。
外国為替市場 で、さまざまな情報を受けながら価格が変化する。
世界中の通貨が常に相対的な価格を持ち、その価格が動き続ける。
国際金融は、固定された制度から連続的に価格が変化する市場へ大きく移行した。
Capital Flows|国境を越える資本
同時に重要なのが、資本移動である。
海外へ工場を建設するForeign Direct Investment|直接投資、
外国企業の株式を購入する証券投資、
政府や企業が海外で発行する債券、
国境を越えた銀行融資、
世界の金融市場が拡大するにつれて、資金はより大規模に国境を越えるようになった。
資本を必要とする場所と、運用したい場所を国際金融市場が接続する。
国家や企業は、自国内に限定されず資金へアクセスできるようになった。
Interest Rates|金利が世界を動かす
現代国際金融 では、一国の中央銀行の金融政策がその国だけで完結しない。
特に大規模な金融市場を持つ国の金利変更は、世界の資本移動へ影響する。
連鎖は、為替、株式、債券、企業の資金調達、政府債務へ伝わっていく。
中央銀行 は国内経済を対象として 金融政策 を行う。
しかし金融市場は国境を越えている。
ここに 現代国際金融 の重要な特徴がある。
US Dollar|金から離れても残った中心
1971年に金との交換が停止されても、ドルは世界の中心から消えなかった。
むしろドルを中心とする巨大な金融ネットワークが形成され、多くの領域でドルが使われ続けた。
ドルは、アメリカ経済の規模、金融市場の厚み、制度への信用、既存の国際取引網、ドル建て資産と債務 によって世界へ深く組み込まれている。
使用され続ける巨大なネットワークそのものが、その通貨の国際的役割を支えている。
Euro|新しい巨大通貨圏
1999年には、新たな 国際通貨構造、Euro|ユーロ が生まれた。
複数の国家が単一通貨を共有するという大規模な通貨統合だった。
参加国は独自通貨と独立した金融政策を手放し、European Central Bank を中心とする共通金融政策へ移行した。
これは Bretton Woods とは異なる方法で、国家と通貨の関係を組み替えた制度だった。
現代国際金融 では、ドルを中心とする世界的ネットワーク。ユーロという巨大な共通通貨圏。円・ポンド・人民元など主要通貨、多数の地域通貨が同時に存在している。
IMF|危機を支える制度
国際化による連鎖に対応する国際制度の一つが IMF で、Bretton Woods System そのものが終わった後も IMF が存続した理由はここにある。
固定相場を支える機関から、国際収支、通貨危機、金融危機などに対応する国際金融制度 へ役割を変化させた。
Asian Financial Crisis|1997
現代国際金融 の特徴が鮮明に現れた出来事の一つが、1997年のアジア通貨危機だった。
東アジアでは急速な経済成長とともに海外資本が流入していた。
しかし市場の見方が変化すると、資本の流れは反転し通貨が売られる。
為替が下落、外貨建て債務の負担が拡大、企業や金融機関が不安定になり、さらに資金が流出、危機は一国に留まらず、複数の国へ波及する。
資本を高速で国境越しに移動できることが成長を支える一方、その流れが反転すれば危機も急速に拡大するという構造だった。
Global Financial Crisis|2008
2008年には、さらに別の形で 国際金融 の接続性が表面化した。
アメリカの住宅金融市場から始まった問題が、銀行、証券化商品、短期金融市場などを通じて世界へ波及、一つの市場で生じた損失が、ネットワークを通じて別の市場へ伝わった。
危機への対応では各国政府だけでなく、中央銀行同士の協力も重要にであり、現代国際金融 では、接続されていること自体が効率性を生むと同時に、危機の伝播経路にもなる。
Central Bank Network|中央銀行も接続される
世界金融危 機以降、注目されたのが中央銀行間の通貨スワップである。
市場でドルが不足すると、アメリカ国外の金融機関であってもドル資金を確保できなくなることがあるため、中央銀行同士が通貨を交換し、それぞれの危機時には、国家ごとに存在する中央銀行も、国境を越えて協調する必要が生じる。
Sovereign Debt|国家も市場から資金を得る
現代の 国際金融市場 では、国家も巨大な資金調達主体である。
政府は国債を発行し、国内外の銀行、年金基金、投資ファンド、中央銀行などがそれを購入する。
この仕組みによって政府は税収だけでは賄えない資金を調達できる。
しかし債務が拡大し、返済能力への信用が低下すれば、金利が上昇することがあり、さらに外貨建て債務を抱える国では、自国通貨の下落が債務負担を急激に増加させる場合もある。
現代国際金融の構造
現在の世界には、かつての 金本位制 のような単一の物理的基準はない。
Bretton Woods のように、固定為替制度へ組み込んでもいない。
Currencies・Foreign Exchange Markets・Commercial Banks・Capital Markets・Central Banks・Governments・IMF / World Bankなどの国際機関・Companies / Investors / Households
相互に接続されたネットワークである。
安定と自由の交換
金本位制 では、通貨を金へ接続した。
Bretton Woods では、各国通貨をドルへ、ドルを金へ接続した。
変動相場制 では、その固定された接続を外した。
資本移動の自由化は、さらに国境を越える資金の移動を拡大した。
しかし同時に、為替変動・急激な資本流出・金融危機・債務危機・市場間の危機伝播、という新しい不安定性も生まれた。
From Gold to Global Network
Gold Standard → Wall Street Crash / Great Depression → Bretton Woods System → IMF / World Bank → Nixon Shock|1971 → Floating Exchange Rates|1973 → Capital Market Expansion → Globalization of Finance → Asian Financial Crisis|1997 → Global Financial Crisis|2008 → Modern International Finance
MVP ARCHIVE HISTORY|Economic
金という一つの基準で通貨を結んでいた世界から、国家・市場・制度・信用によって世界中が相互接続された金融システムへ。
固定された基準によって安定を作ろうとした世界が、変化そのものを内部に取り込みながら安定を維持しようとする世界へ移ってきた歴史である。
国家、通貨、企業、資源、貿易、中央銀行、そして私たちの日常生活が、どのように一つの世界経済へ接続されているのかを見ることである。

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