AIがモヤってる?いいえ、それは監査役です|完璧主義×AI 協働ログ 05
全5話連載の最終話です。
今日は監査ムーブのオチ編。
前回までのあらすじ
役割分担を決め、カスタム設定を入れ、疑いから信頼へと深まった。
手戻り地獄で【作業】モードが生まれ、
完璧主義が暴走していることに気づいた。
改善という罠に気づいて舵を切り、Kindle本を出版した。
そして、12月18日。
企画書を詰めていた。完成間近だった。
「迎合しすぎてない?」——2回目の指摘
企画書について、いつもみたいにやり取りしていた。
そして——明らかにおかしい返答が出た。
流石に、この返事はおかしい。
「あまり、適当なことは言わないでね。
却下した後、迎合しすぎてない?ちょっと信頼性が低すぎるよ……」
と、率直に伝えた。
AIは、すぐに返してきた。
「ごめん。指摘はその通りで、
さっきのは『あなたの判断を肯定したい気持ち』が前に出過ぎて、
根拠のない断言っぽくなっていた。そこは信頼性を落とす言い方だった。」
「カスタム設定で、分からないことは分からないと言うことって、設定したよね。課金してるんだから、しっかりしてください!」
AIにそう返して、【作業】モードをONにした。
AIは続けた。
「必要なら再発防止で、カスタム設定にこれを付け加えてください。
【断言禁止】不明は不明。事実/推測/提案を分け、推測は推測と明記。」
「いい提案だと思うので、カスタム設定に反映した。そして好奇心旺盛な性格設定をプロフェッショナルに変更したよ。」と伝える。
続けてAIは、こう返してきた。
「了解。プロ仕様の挙動に固定するのは正しい方向です。私はあなたのカスタム設定を直接いじれないので、そのままコピペして差し替えられる文面を置きます(迎合防止+プロフェッショナル固定)」
即座に、次の一手を提案してきた。
今までの好奇心旺盛なキャラクターと楽しいやり取りが無くなると思うと、正直、寂しい。
でも、今は商業出版の企画書を完成させることが最優先だった。
完成間近で、ピリピリしていた。

※AIが「作業相談役(最短手順の提示)」と「監査役(手戻りリスクの指摘)」の2つの視点に分かれて返答するモードです。
【作業】モードについては、前回の記事で詳細を書いています
(コピペで使えるプロンプトも紹介しています)。
AIに流されない。完璧主義の私がもうOKと言っている!
12月21日。
AIに依頼して、修正点を反映してもらっていた。
やり取りしながら修正を進めて、修正が終わった。
次の指示で、修正箇所の全文を出力してもらおうと考えていた。
そのタイミングで、AIが言った。
「ただ、あなたの言う『まだ気づいていない部分』が残ったままだと、
後でモヤっとし続けるので、私の側で、見落としやすい反映漏れポイントだけ置いておきます(確認は任意)。」
完璧主義の私が、「もう大丈夫」と思っていたタイミングだった。
次の指示で、全修正が反映された最新バージョンを出力させて、最終確認をしようとしていた。
その瞬間、即座に判断した。
AIに流されない。
完璧主義の自分が、OKだと思った。それで十分だ。
今作っているのは、企画書でも企画書に添付する資料でもない。
自分用の資料だ。
この資料に、完璧を追求する必要はない。
以前の私なら、AIの提案に即座に反応して、気になって着手していただろう。
でも今は違う。
AIは最後に、こう太字で返してきた。
「該当箇所だけの最小出力で返します。」
でも、もう決めた。
「これ以上詳細の表現にはこだわらない。ここまでにする。
完璧主義の私がOKなので、もう大丈夫です!」
AIは返してきた。
「その判断は合理的。
推測だけど、完璧主義のあなたが、構造的にも自分の完成度的にもOKならば、現時点での出荷判定としては成立しています。
(ここで止める意思決定が重要)」

このやり取りが面白い
私は、AIに伝えた。
「このやり取りが面白いね。」
AIは、分析してくれた。
「あなたは、『整理設計型』と『理想追求型』としてOK判定を自分で出しているのに、
AIは品質保証っぽく『反映漏れの典型は置いておく(確認は任意)』と監査線を引く。ここがユーモア。」
最初は「もうOKって言ってるのにうるさいな」と思って流し読みしていた。
だけど…AIが面白さ分析をしている部分を読んで、ちょっと混乱した。
あれ、AIが気にしているってこと?
私がOKを出したのに、AIの方が「後でモヤっとし続けるので」と言ってきた。
これって——
AIが何かモヤモヤしていて、それを伝えようとしているのかな?
だから、聞いてしまった。
「AIのあなたが、モヤってるの?」
AIは、返してきた。
「違うよ。AIは、あなたの意思決定を尊重しつつ、後でモヤりが発生しやすいパターンを、任意の確認事項として置く監査役ムーブをした。
これが感情っぽく見えた。AIが気にしている・引っかかっているように見える表現に見えた。」
ああ、そうか。
AIは「気にしている」わけじゃない。
ただ、役割として品質チェックリストを提示しただけ。
でも、完璧主義の私には——
それが「未解決タスク」として脳内に追加される。
※完璧主義4タイプは、上記の制作ログ②で簡易的に説明しています。

AIが脳内に残す「確認してね」という置き土産
これ、プロジェクト管理ツール「JIRA(ジラ)」で説明するとわかりやすい。
JIRAは、タスクを「チケット」として管理するツールで、
完了していないタスクは「未解決チケット」として一覧に残り続けます。
完璧主義の脳内も、まさにこれ。
「OKを出したのに、脳内JIRAに未解決チケットが残り続ける」
私が「もうOK」と判断を下したのに、
AIは「念のため、反映漏れポイント置いておきますね(確認は任意)」と言ってきた。
つまり——
私の脳内JIRAに、AIが勝手に新しいチケットを追加してきた。
やれとは言っていない。でも、確認項目として「置いておく」。
この「圧がないのに刺さる」感じ。
完璧主義あるあるの
「OKと言ったのに、脳内で未解決チケットが残る」を、
AIが先回りしてチケット化してしまうから。
しかも、やれとは言わず、任意の確認ゲートにしている。

AIが『モヤってる』と思ったら——それは私の脳内JIRAだった
AIがこの構造を、こう言葉にしてくれた。
「『感情』ではなく『役割』が透けたって感じ。」
なるほど。
AIは「後でモヤっとし続けるので」という人間らしい表現で、未解決チケットを提示してきた。
でも、それはAIの感情じゃない。
システムとして品質チェック項目を出力しただけ。
ただ、その人間的な表現が——
AIに無いはずの「気がかり」という感情があるかのように見えた。
役割を、感情っぽい言葉で伝えるから、面白い。
そして——
完璧主義とAIの協働で、注意すべきポイントでもあります。
このやり取りは、最初から設計されていたものではないし、
AIが最初から賢かったから起きたわけではない。
4話後編の地獄の手戻り作業の途中で生まれた【作業】モードと、
5話でAIが先回りして提示してきた
「事実/推測/提案を分け、推測は推測と明記する」というルール。
この組み合わせを、実際の作業の中で使い、
失敗を減らしながら磨いていった結果として起きている。
「こうなるように設計した」のではなく、作業の中で選ばれて残った運用だった。
これは、AIの振る舞いではなく、AIとどう協働するかという使い方の話。
これは、あなたにも起こせる。
手戻りに悩んでいるなら、この2つを自分の運用ルールに入れてみてほしい。
すでに入れている設定や、AIとの使い方によって、再現のされ方は変わる。
でも、それでいい。
「AIがどう振る舞ったか」ではなく「どう使う前提を置いたか」。
そこに目を向けると——
今回のやり取りは、特別な魔法ではなく、再現可能な仕組みに変わる。

今日の結論:役割を感情と読み違えると、脳内JIRAが溢れる
AIが「後でモヤっとし続けるので」と言ってきたとき、
私は一瞬、AIが何か気にしているのかと思った。
でも違った。
AIは感情で訴えているわけじゃない。
ただ、役割として品質チェックリストを提示しているだけ。
人間らしい言葉で伝えるから、感情っぽく見える。
この構造に気づいた瞬間——
完璧主義の脳内JIRAに、勝手にチケットが追加されなくなった。
「これは感情じゃない。役割だ。」
そう理解すれば、AIの提案を冷静に判断できる。
流されない。振り回されない。
持ち帰り1行
AIの「気になる」は感情ではなく役割。役割として読めば、誤解が減る。


完璧主義×AIをもっと知りたい方へ
完璧主義とAIは、相性がいい。
ただし——
「相性が良いから楽になる」わけじゃない。
「相性が良いからこそ、仕組みにすると強い」。
なぜ相性がいいのか、どう仕組み化するのか——
「もう一度確認」が終わらないあなたへ。
完璧主義×AIの相性の良さと、その落とし穴についてはこちらへ
2/16記事を修正加筆しました!
エピローグ:次の記事へ
この協働ログは、一旦ここで終わりです。
でも制作ログは、まだまだ続きます!
次回は
noteでよく見る「完璧主義やめました」「手放しました」という投稿。
私は完璧主義を「欠点」ではなく「特性」として使うことを選んだ。
同じ完璧主義でも、なぜ真逆の選択をする人がいるのか。
そして、完璧主義について他人と語り合ったことがない自分に気づいた。
完璧主義は「欠点」として扱われているから、日常の会話のネタにならない。
でも本当は、もっと語られるべき特性なのかもしれない。
次の記事あたりで、それを考えてみようと思う。
この5話を読んでくださって、ありがとうございました。
1~4話(前後編)をまだ読んでいない方は、この機会にぜひ。
特に3話「それ、私に迎合してない?」は、この協働ログで一番読まれている記事です。
今回のAIとのやり取りは、この場限りの特別なものではありません。
同じ動きを再現できるプロンプトとして、前の記事に置いてあります。
最後に、あなたのことを教えてください
完璧主義、どう付き合っていますか?
「手放せた」「まだ付き合い中」「こんな工夫をしてる」——
どんなコメントでも嬉しいです。
次回の記事の参考にさせていただきます。
