家の呼吸法:「ストロー」か「深呼吸」か。リスクを語る僕が「屋根断熱」を選んだ理由
こんにちは、はぐれゴリラです。
前回の「招き屋根」の記事、一晩で信じられないほどのアクセス(8万ビューくらい)をいただき、正直僕自身が一番ビビっています(笑)。
チョットナニガオコッテルカワカラナイ…
でもそれだけ、みんな「自分の家を守りたい」という切実な思いで情報を探しているんだなと、身が引き締まる思いです。
さて、前回長くなりそうだったので先延ばしにした、僕がもう少し主張したいことの続きです。
今回はもう少し踏み込んだ話をしましょう。
「屋根の形」が決まった後に待っている、屋根の「中身(断熱と通気)」の真実についてです。
「シンプル=安全」という思い込みが家を殺す
でも中身の話をする前に、前回の補足を少しだけ。
家づくりにおいて、よく「形はシンプルなほど雨漏りしない」と言われます。
そして僕もこのシリーズの記事で同じことを言ってきました。
一見、正しいように聞こえますよね?
でも、統計上、最も雨漏りリスクが高いと言われている屋根。
それは、おしゃれな注文住宅で大人気、そしてザ・シンプルの「片流れ屋根」です。
僕の記憶では以前、住宅保証機構(JIO)だか日経クロステックか何かのデータで、
「雨漏り事故の約7割が片流れ屋根だった」
というようなエグい数字を見た記憶があります。
建っている割合に対して、異常な事故率です。
(今まで僕は物理法則に基づいてハッキリと断言してきましたが、今回ばかりは自分で一次データを確認できていないので少し曖昧に逃げさせてもらいます笑)
なぜ漏れるのか?
理由は、「一番高い場所が傘がひっくり返った形になってしまうから」です。吹き込みに弱いんです。
台風の時、壁にぶつかった暴風は雨水を巻き上げ、屋根と壁の隙間から「下から上へ」雨水を強烈に押し込みます。
また、傘が裏返ってる形になるので、外壁も濡れやすいです。

雨仕舞いの難易度はSSクラス
じゃあ、雨漏りに一番強い「最強の屋根」は何か?
外壁を守るという一点突破なら、そして統計上は間違いなく「寄棟(よせむね)」が最強です。
家の四方すべてに帽子のように「軒(のき)」が出るため、外壁や窓に直接雨が当たるのを物理的に防いでくれます。
でも、僕は寄棟を採用しませんでした。
真四角(総二階)の家ならいいですが、少しでも複雑な形の家で寄棟にすると、必ず屋根同士がぶつかる「谷」ができ、そこが雨漏りの弱点になります。(L字型の間取りとかね。)
さらに、太陽光パネルを大容量で載せにくく、てっぺんの棟が短いため「換気(排気)効率」も落ちてしまう。
だからこそ、雨を防ぎつつ、しっかり換気して、太陽光も載せられる「招き屋根(または切妻)」が、僕の中では最適解だったわけです。

一歩間違えると公民館なのはご愛嬌
「ストロー」で息をするか、「深呼吸」するか
さて、形が決まれば次は「断熱と通気層」です。
屋根の断熱方法には大きく分けて2種類あり、これが「家の呼吸(湿気の抜けやすさ)」を決定づけます。
① 屋根断熱 = 「ストロー呼吸」
屋根(野地板)のすぐ下に断熱材を詰める工法です。
この場合、空気の通り道(通気層)はわずか30mm程度の「薄い隙間」になります。
いわば、細いストローで呼吸している状態です。
現場で少しでも隙間が潰れたり塞がったりすると、即座に「窒息」して内部結露を引き起こします。
一度湿った木材は、その狭い隙間ではなかなか乾きません。
② 天井断熱(桁上断熱含む) = 「深呼吸」
天井のすぐ上に断熱材を敷く工法です。
この場合、断熱材から上の「小屋裏(屋根裏)という巨大な空間全体」が丸ごと通気層として機能します。
空気がたっぷりある「深呼吸」状態なので、多少の湿気なら吹き飛ばす圧倒的なキャパシティがあります。

天井断熱だと圧倒的キャパ
点検口から見える真実
ここで、僕の職業である歯科医師の目線でいくと、目視でのメンテナンス性というのはとても重要です。
その、「メンテナンスの確実性」だけを突き詰めれば、②の天井断熱(小屋裏換気)が最強です。
なぜなら、点検口から頭を突っ込めば「野地板の裏側」が丸見えだからです。
雨漏りや結露があるか「視診」だけで完結します。
異常があれば自分の目で早期発見できる。この「点検のしやすさ」こそ最強のフェイルセーフです。
逆を言えば、①の屋根断熱は「銀歯をガチガチに被せて、中が見えない状態」です。レントゲンを撮るか、銀歯を外す(天井を壊す)まで、中の虫歯(雨漏りや結露)には気づけません。
そして気づいた時には手遅れかもしれません。
リスクを嫌う僕が「屋根断熱」を選んだ理由
ここまで読んだ皆さんは、当然、
「リスクを憎むゴリラは、当然『メンテナンス性の良い天井断熱(あるいは桁上断熱)』を選んだんだろうな」と考えることでしょう。
……いいえ、違います。
我が家の仕様は、「屋根断熱」です。
「は? お前あんなにストローは窒息と結露リスクあるっディスってたやんけ!」
と言われそうですがなぜ僕があえて、中身が見えなくなるリスクのある「屋根断熱」を選んだのか?
その最大の理由は……
「僕が選んだ工務店の、標準仕様だったから」です(笑)。
拍子抜けですよね笑
でも、家づくりってそういう側面がありますよね。
ただし、僕の言う「標準だから」と言うのは単純な話ではありません。
そもそも僕は最初から天井断熱の工務店は選択肢から外していたのです。
屋根断熱の弱点をねじ伏せた「狂気」のスペック
① 圧倒的な「気密」の取りやすさ
昔ながらの天井断熱は、ダウンライトの穴や配線、間仕切り壁が邪魔をして、気密(C値)を取るのが現場の職人さんにとって発狂レベルの難作業です。
しかし屋根断熱なら、屋根の面で一気に気密シートを貼れるため、障害物が少なく、圧倒的にC値(すきま風の少なさ)が安定します。
いくら天井断熱で小屋裏のキャパがあるからって、気密が取れてなかったら何の意味もなく結露まみれになります。
僕の家を建てていただいた工務店は気密保証がありました。
屋根断熱にすることで気密ラインの連続性を保ちやすいから保証できる、と言うのが大きな理由だと思います。
屋根断熱の技術があるところでわざわざ天井断熱にする理由もありませんからね。

ダウンライトなどを設置しないといけない。
② ネオマフォーム「90mm+30mm」の付加断熱
ここが我が家の狂気のルーツです。
僕は、断熱材の中でもトップクラスの性能(と価格)を誇る「ネオマフォーム」を、
屋根に90mm、
さらに付加断熱で30mm
「合計120mm」という変態的な分厚さでぶち込みました。
(ドヤってるけどこれからのスタンダードになる時代が来るだろう…)
この分厚い断熱と完璧な気密によって、室内からの湿気が屋根裏に侵入するのを完全にシャットアウトし、また躯体の温度変化を少なくすることで、結露のリスクを回避しています。
結論:リスクを知り、金(スペック)と物理でねじ伏せる
欠陥や劣化が見えないと言う屋根断熱の最大のリスク。
それを僕は、「絶対に結露させない圧倒的な断熱・気密性能」というスペックでねじ伏せる決断をしました。
どんな工法にも、一長一短があります。完璧な魔法はありません。
大事なのは、「なんとなく」や「標準だから」で選ぶのではなく、「その工法が持つリスク(弱点)を理解し、それをどうカバーしているか」を自分の頭で考え、納得することです。
それが、一生の資産と家族の健康を守る「家づくり」なのです。
次回は少し視点を変えて、基礎の話などをしていきたいと思います。
(また気が変わるかもしれませんが。ゴリラだもの)
そしてそのうち狂気の家づくりエピソードも記事にしていきたいので震えてお待ちください。
どうも気が変わってしまってずっと下書きで眠っていたサーマルカメラで遊んでみた記事を仕上げました。ゴリラだもの。
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