見出し画像

5.渦潮と経済のアナロジー     日本の可能性について

このノートは、渦潮と経済のアナロジー(統合版)の一部です。
未読の方はまずそちらもご覧ください



日本の将来に向けて

前編では、日本経済が「巨大な慣性モーメント」によって、そこそこ安定しながらも停滞し続けているという観方を述べた。

では、それを前提に日本人は今後どうしていくべきなのか。

1. 現役層の「仕事率(パワー)」を最大化する

物理学において、仕事率・馬力(P)は
「トルク(t)」 X 「角速度(ω)」で表される。

社会を更新するには、現役層が新しい技術や仕組みを生み出し、社会に押し込む「馬力(パワー)」が必要だ。

今の社会に必要なのは、社会の仕組みを変えるパワーだろう。

その為には、速いスピード(ω)で強い力(t)をかける必要があるわけで、これは若い人の試行錯誤のエネルギーが重要な役割を持つということは言うまでもないだろう。

新しいことだから、当然リスクもあるし、成功率も高いとは言えないだろう。

しかし、それを乗り越えるために、”速いスピード” と ”強い力” が必要なのだろう。
つまり、試行錯誤の回数を増やすことだ。

それにより、社会の摩擦(R)が浮き彫りになる。
そしてその摩擦をいかに解消するか工夫することにより、「もっと楽に回せる仕組み(変換効率 ef )」が創造されることになるのだ。

その新しい仕組みによる(改善された ef)が、社会基盤や資産となり、次世代の「良質な慣性」へと編入されるようになる。

2. 「中心核(コア)」の再構築とバリアの形成

外部からの干渉を防ぎ、自国のエネルギーを散逸させないためには、国家の「中心核」を明確に言語化する必要がある。

強固な核を持つ渦は、外部の経済的圧力を受けても回転軸がブレない。

言語化された価値観は、外部からの干渉を防ぐ「表面張力」として機能し、自国のエネルギーが他国の渦に奪われるのを防ぐはずだ。

3. 個人の人生における「慣性モーメント」の管理

この力学モデルは、国家だけでなく、私たち個人のキャリアにも当てはまるだろう。

若年期:
慣性モーメント( I )が小さいため、小さなトルクで比較的身軽に方向転換が可能だ。

壮年期:
専門性や資産、家族など「守るべきもの」が増え、( I )が増大する。
安定感は出てくるが、人生の方向転換にはそれなりに莫大なエネルギーが必要になる。

つまり、「人生が停滞している」と感じるなら、それは( I )(執着や不要なストック)が重すぎて、手持ちのトルクでは動かせなくなっているのかもしれない。

いったん( I )を小さくする(身軽になる)ことで、比較的小さな決断(トルク)でも大きな「人生の相転移」を起こすことが可能になるかもしれない。

勿論、個人にとっての安定・停滞が普遍的真理として「悪い」とは全く思わない。
(ここに、個人の幸せ・充実感と、社会全体の幸せ・充実感をいかに整合させていくかという政治的なスマートさが必要になってくると考えている)

4. 最小の努力で最大の勢いを生む「フライホイール効果」

理想的な状態とは、最初は必死にトルクをかけて回していた渦が、ストック( I )の積み上がりによって、やがて「自分の意志をさほど使わなくても、周囲を巻き込んで勝手に回り続ける」状態になることであろう。

日本という巨大な渦を再起動するために必要なのは、全員が一律闇雲に頑張ることではないはずだ。

ただ全体の方向性として、最低限下記のことは言えるのではないか。
1.個々人が身軽になり、新しい方向へトルク( t )をかける。
2.そのエネルギーを効率よく伝えるために、社会の抵抗( R )を取り除くこと。
3.そして、回った勢いを資産( I )として蓄積し、次世代へ繋ぐこと。

これらが、具体的に何を意味するかは、人によって違うはずだ。
しかし国全体として、このような方向性をしっかりと中心軸に据え、国政に反映させるか否かで、日本の将来は大きく変わるのではないだろうか。

纏め

ここでは詳細まで書かないが、
1.日本(国民)が大切にする「中心軸」になる価値感を言語化する。
( dir )の明確化と共有。

2.上記に基づく「日本の国富」の明確化。
「日本の国富」には、GDP などカネの尺度だけで測れない、歴史・文化・民度・教育レベル自然の豊かさなども含める。
(現在の政策に決定的に抜けてる。あるいは、分離している):価値( V )の再定義

3.前例踏襲の金権政治の残骸から訣別する為の意識改革と、本物の「身を切る改革」・・・
政府が一部の有権者に左右されるような二元論的な(欧米的な)政治の仕組みからの脱却も意味すると考える。:
本来求めるべき価値 ( V )(国富) を増大させるには阻害要因 ( R ) となる要素の低減・排除。

4.新しい技術を積極的に取り入れ、一部の国民ではなく、国民が求める価値の全体像 ( V ) dir の可視化と、政策立案・施行の効率化( ef )

5.上記の全体像についての、政府の率直なメッセージと、国民からの信頼回復による ( k )(共鳴・共感・感動・・・)の向上。

上記を軸に、具体政策を議論していく必要があるのではないだろうか。
・「国富」に関しては、別ノート「日本の国富とは」に記述してみた。
・高齢化というが、高齢者の役割と若い人の役割を一律に語るべきではないだろう。
高齢者の経験や資産をいかに次世代への投資に繋げるか。
政治家はこれを明確に意識して実施する必要があるのではないだろうか。

日露戦争という緊急事態で制定した、世界一高い「相続税」を思考停止状態のまま前例踏襲で引きずっているのは、政治の怠慢としか思えない。

2,200兆円もの国民の貯蓄を、次世代の投資に有効活用する道を拓くべきではないだろうか。

「日本国民の貯蓄2,200兆円の威力」にその価値を、それを有効に「国富」を護る力として利用する具体的な案を「次世代投資債権」(案) に記してみたので、関心があれば是非覗いてみて欲しい。


 4.日本の現状 へ戻る  序 へ戻る 

序 経済は「数字」ではなく「渦」である。
1.外部構造:渦潮の径、深さ、その境界領域は、経済とのアナロジーに
       おいてはそれぞれ何に対応するのか。
2.内部構造:VEMのモデル式の各パラメーターの意味について、低気圧
       という渦と経済を対比させてみた。
3.動的特性渦の回転力学、トルク、慣性、角運動量は、経済活動では
       それぞれ何に相当するか。
4.日本の現状(高齢化社会に注目して)上記1~3を念頭に、現状の
       日本経済の特徴はどう見えるか(私見)
5.日本の可能性:更に4の認識を前提に、日本の将来に向け、どう考える
       べきか(私見)



いいなと思ったら応援しよう!

miroc ありがとうございます! 少しでも何らかのお役にたてれば幸いです