三題噺ショートショート_ダイヤモンド
落語家もすなる三題噺といふものを、コジも、してみむとてするなり。
企画もの、大の苦手なのである。
どんな親しい人の企画ものでも、なかなか素直には乗れない。
私は、「ルール」とか「決まり事」とか「期限」とか「締め切り」とかという制限事項が世の中で一番嫌いなのだ。
いくつになろうが、聞かん坊の悪ガキ。それが、私、kojuroだからである。
え?落語?三題噺?ヤスさん?

心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、別名、天の邪鬼四朗だろ。「もし書けなかったとしても、それはそれでOK。でも、やってみなきゃ、もったいない!」なんてこと言われたら、逆に書きたくなるんじゃないの?
なんのはなしですか。

わかったよ、書くよ。書く書く。書けば良いんでしょ、リトル。それで、いいんだろ?
ブラックホールよりも重い重い重い腰を上げて、半ば自暴自棄に筆を執る。
さて。では、三題噺ショートショート「ダイヤモンド」まいりましょうか。

剛は、長島の熱烈なファンだった。
何でも三にこだわっていて、試合前に必ずおにぎりを三個食べた。
ある日。剛はおにぎりを忘れてきたことに気づいた。
項垂れていると、マネージャーの薫がおにぎりを差し出した。
だが。
それは小さめで。なおかつ、四角かった。
剛は半ばやけくそのように四つ頬張って試合に臨み。見事、代打満塁サヨナラホームランをかっ飛ばした。
剛は卒業すると、薫の実家の小さなコンビニでバイトするようになった。
ある日、万引きがあった。少年は強く否定したが、監視カメラにはバッチリ映っていたのだ。
剛は少年の頭を撫ぜて言った。
「そんなに腹、減ってたのか」
そして逆に、薫特製の四角いおにぎりを四つ手渡した。
その後剛は店のおにぎりを全て入れ替え、四角いおにぎりを「ダイヤモンドおにぎり」と銘打って売り出した。
今や、全国から大勢の客が買いに来る。
レジにはどこかで見たような青年が、店員として真面目に働いている。
これぞ、大ヒット御礼である。


ヤスさんの三題噺企画の、そんなこんなを家内と語らおうとしてソファーに目をやると、家内が脚を指さしてニッコリと笑って言った。
まだ三題噺続けてるの?じゃ、それにちなんで、マッサー(注1)三倍返しと参りましょうか。ぺぺペン、ペンッ!
……。
マッサージをすると、家内は上機嫌になる。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。


