富士山登山、天気で中止する基準【初心者向け・風速10m/s】
夏山シーズンが始まりました。
「今年こそ富士山に登ってみたい」という方も多いと思います。
でも、いざ登山計画を立てると、こんな悩みにぶつかりませんか。
天気予報は晴れなのに、登っても大丈夫か不安
風が強いって聞くけど、どのくらいから危ないの?
中止するかどうか、当日まで決められない
私も同じでした。
このnoteに書いてあるのは、気象の本で覚えたものではなく、山で痛い目を見て、その後に手探りで作り上げた基準です。
今回はその基準を、登山経験があまりない方にもわかるように書きます。
私が「中止」を決める風速の目安
先に結論からお伝えします。
初心者を連れて富士山に登るとき、山頂付近の風速が10m/s以上と予報されていたら、私の場合は中止にします。
風速の数字だけ見てもピンとこない方が多いと思うので、感覚で説明します。
傘をさすのが大変、帽子が飛ぶ、歩くのにふんばりが必要…そのくらいの風が山頂付近で予報されているとき、というイメージです。
山の稜線では、平地よりもはるかに強い風を受けることがあります。
経験のない方は、その風の中でバランスを保つことに全神経を使ってしまい、足元への注意が散漫になります。
しかも富士山は独立峰なので、風から身を隠せる逃げ場がありません。
ここから先は、この基準に至った理由と、他にどんな条件を見ているかを詳しく解説します。
富士山の天気判断は「誰と登るか」で変わる
まず大前提として、私の中止基準は、一人で登るときと初心者を連れるときでまったく別物です。
山によっても条件が変わってきますが、今回は富士山を登るときを基準にお話しします。
初心者と登るとき:この4つのどれか一つでも当てはまったら中止
注意点として、街の天気と山の天気はまったく違うことが多いです。必ず、山の天気予報を確認してください。
①風速10m/s以上
先ほどお伝えした通りです。
傘がさせない、帽子が飛ぶくらいの風が山頂で予報されているときは私の場合は中止を検討します。
②当日雨マーク
富士山は火山の砂礫(ざれ)でできた山です。雨で濡れると一瞬で滑ります。
加えて、雨の中を数時間歩くと、本人が気づかないうちに体が冷え、判断力が落ちます。
休憩を長く取ろうとしても、一度体温が下がるともう一度上げるまでにかなりのエネルギーが必要なので、体温が下がらないように長時間行動を続けざるを得なくなります。
「寒いけど大丈夫」と言いながら、実は低体温症の入口にいる…そういうケースが多いです。
雨マークが出ていたら私は中止を考えます。
③富士山より西の海や空に低気圧がある
天気図を見て、富士山より西側に低気圧(「L」マーク)があるときです。
日本の天気は西から東へ動きます。
つまり富士山の西にある低気圧は、数時間後には富士山の上を通過します。「今は晴れている」でも、午後には一気に荒れる…そのパターンです。
天気予報アプリだけ見ていると見落としがちですが、天気図を一枚確認するだけで気づけます。
④関東の東の海に台風がある
「遠くにある台風は関係ない」と思いがちですが、そうではありません。
台風が関東の東海上にあると、本州の山岳域では大気が不安定になり、雷雨が発生しやすくなることがあります。
秋に多いパターンで、「送り雷」と呼ばれるものです。
山で雷に遭うことは、登山の中で最も危険な状況のひとつです。
台風が関東の東の海にあると、雷予報を調べます。
そして、雷の危険性が高い時は、私は中止にしています。
一人で登るとき:風速20m/s以上が唯一の基準
一人のときは、私自身は雨や雪の予報だけでは中止にしないことが多いです。
レインウェアと防寒があれば、濡れながらでも帰ってこられるからです。
でも、風だけは別です。
私の基準では、風速20m/s以上で中止を検討します。
「立っていられない、歩くたびによろける」くらいの風です。
転んで動けなくなったとき、助けを呼べる人が誰もいない…それが一人登山のリスクだからです。
実際、過去に風速24m/sの中で出かけたとき、体が浮き、20kg程度の荷物が崖の下へ落ちていきました。
この経験から、この基準を決めました。
初心者向け:富士山の天気予報の見方
「基準はわかったけど、そもそもどこで確認すればいいの?」という方向けに、確認方法もまとめます。
天気図で低気圧の位置を確認する
気象庁のサイトやアプリで「地上天気図」を検索すると、日本周辺の天気図が見られます。富士山より西に「低」や「L」のマークがあれば、低気圧接近のサインです。
富士山より西に低気圧があり、東進している場合は注意しています。
Windyで風速を確認する
Windyのアプリを開いて富士山を検索し、標高を3,000m以上に設定して風速レイヤーを確認します。色が赤やオレンジになっていたら要注意です。
Windyの詳しい使い方は、こちらの記事でまとめています。
また、地上は晴れなのに、山上だけ霧や雨の時があります。
天気予報が晴れなのに富士山が見えない・雲がかかる現象については、こちらで解説しています。
2026年はヤマテンという、山の天気を扱う専門会社のYouTubeで、富士山の予報をしてくれています。
もっと詳しく知りたくなった方はこちら
まとめ
数字で決めておくと、「引き返す」と言い出しやすくなる
初心者向けの富士山登山では、
・風速10m/s以上
・当日雨
・富士山より西に低気圧
・関東の東に台風
のいずれか一つでも当てはまったら中止。
これが私の基準です。
中止基準を事前に言語化しておく理由は一つです。
現場で「引き返す」と言い出しやすくするためです。
数字や基準がないと、「せっかく来たし」「みんな登ってるし」という心理に負けてしまいます。
でも事前に「この条件なら中止」と決めておくと、判断ではなく確認になります。
登れなかった日は失敗ではありません。
何よりも優先すべきは、怪我なく安全に自分の足で帰ってくることです。
中止基準を事前に言語化しておく理由は、現場では判断力が落ちるからです。
登山では疲労や天候の変化によって余裕がなくなり、普段なら選ばないような判断をしてしまうことがあります。
だからこそ私は、元気なうちに決めた基準に従うことが、安全に下山するための助けになると考えています。
この基準は、あくまで私自身が経験から作った基準です。
もともと、私も最初は全然登れなく、山のこともわからず、苦労しました。
初心者で迷いも多い中の、参考の基準にして下さい。
こういった「絶景を撮る(登る)ための天気の読み方」を継続して書いています。
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