【Advent企画】12/10:ローストチキン【410字小説】
「バレエダンサーでも、クリスマスはローストチキンとか食べるんだ?」
と、美吉に言ったことがある。
学生時代、クリスマス間近な頃だ。
学校から駅までの間にコンビニがあって、クリスマス用のケーキやローストチキンの広告が貼られていた。一緒に歩いていた美吉が、歩きながらの横目に、そのポスターをちらりと眺めた。
目の前のほっそりとした美少年が、コンビニのローストチキンや、子供っぽいデコレーションのケーキを食べるーー
(なんか、似合わない……)
そう思って、思わず出た言葉だった。
茶化したつもりはなかったけれど、振り返った美吉は、不機嫌そうに目を細めた。
仕事帰り。
そんな昔を思い出しながら、家の最寄りの改札を出ると、そこに、美吉が立っていた。
真っ白のダウンコートに埋もれた美吉が、コンビニの袋を高々と掲げる。
「バレエダンサーもクリスマスはローストチキンを食べる」
時間が逆戻りしたかと思った。
「けど今日は焼き鳥な、クリスマス当日じゃねえから」
--------------------------
本文410字。
#いつきちゃんのアドベントカレンダー
妹尾は美吉に夢見がち。
美吉は妹尾の夢を壊しがち。
この二人の話です。
Advent:0日目
Advent:1日目
Advent:2日目
Advent:3日目
Advent:4日目
Advent:5日目
Advent:6日目
Advent:7日目
Advent:8日目
Advent:9日目
Advent:10日目
