心と言葉の日本語文法(14)日本語文の分析(6)「いつもお世話になります。」「どうぞよろしくお願いします。」には「内容」はなく「気遣い」だけがある
【例題4】
いつもお世話になります。
どうぞよろしくお願いします。
【解説】
うえに述べた「認識」「判断・態度」の表現を
「伝達」(気遣い)へと転用している日本語人の言語使用の究極の例が、
「いつもお世話になります。」
「どうぞよろしくお願いします。」
といった表現である。
これらの表現を分析するとすれば、次のようになる。
「認識」(=命題):なし
「判断・態度」(=対事的モダリティ):なし
「伝達」(対人的モダリティ):いつもお世話になります。
どうぞよろしくお願いします。
つまり、
こうした日本語表現には、
「認識」「判断・態度」にあたる内容(命題・対事的モダリティ)は含まれておらず、
たんに「伝達」の一形態として相手への気遣い(対人的モダリティ)が含まれているにすぎない。
当然ながら、これにそのまま対応するかたちでの英語や中国語へと翻訳することは不可能である。
それにしても、会ったこともない人にはじめてメールを送る際でさえ「いつもお世話になっております。」ではじめるというのは、(もちろん会社としてお世話になっているという意味だろうが)いかがなものか。
わたしのようなひねくれ者は、そんなメールが届くと
「べつにお世話なんか、してないぞ!」
などと、ついつい思ってしまう。
(つづきは↓)
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