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物流DXで差がつくのは、投資額ではない。使える制度の前に、現場の詰まりを言語化できるかだ

物流DXと聞くと、少し身構える。

大きな会社が、大きな投資で進める話だろう。

うちのように、毎朝の配車調整、人手不足、急な依頼、ドライバーのやりくりに追われている会社には、まだ早い。

そう思って、話を閉じてしまう。

ただ、物流DXで遅れる会社は、投資余力がない会社とは限りません。

現場で何が詰まっているのかを、言葉にできていない会社です。

もっと言えば、補助金を探すところから始める会社です。

制度があるから何かを入れる。

補助金が使えるなら、システムを検討する。

この順番で始めると、だいたい遠回りになります。

なぜなら、制度に合わせて課題を探すことになるからです。

本来は逆です。

現場で何が詰まっているのか。
どの作業に人の時間が取られているのか。
何が見えないせいで、判断が遅れているのか。
何が変われば、ドライバーや配車係が少し楽になるのか。

そこを先に決める。

その後で、その改善に使える制度があるかを調べる。

物流DXは、大きな投資の話ではありません。

現場の詰まりを見つけ、改善の形に変えられるかどうかの話です。


DXは、紙をスマホに変えることではない

日報を紙からスマホに変える。

配車連絡を電話からチャットに変える。

こうした取組は、DXの入口にはなります。

ただ、入れただけでは何も変わりません。

日報をスマホで入力しても、結局は事務員が転記している。
チャットを入れても、配車係の電話が減らない。
システムを導入しても、使える人が一人しかいない。
データは集まるが、誰も経営判断に使っていない。

これでは、紙が画面に変わっただけです。

DXとは、デジタルを入れることではありません。

人の手間を減らす。
判断を早くする。
属人化した仕事を見えるようにする。
現場の負荷を減らす。
利益が残る判断を増やす。

こうした変化を起こすことです。

補助金から考える会社は、使われない仕組みを残しやすい

使える補助金はありませんか。

この問い自体が悪いわけではありません。

ただ、その前に決めるべきことがあります。

何を改善したいのかです。

配車係が、毎朝2時間以上電話と連絡調整に追われている。
帰り荷の情報が担当者の頭の中にしかない。
荷待ち時間や待機時間が記録されず、荷主との交渉材料がない。
日報の集計が月末まで終わらず、車両別や荷主別の採算が見えない。
急な変更に対応できる人が限られ、休めない。

こうした現場の詰まりが先です。

課題が整理されていれば、必要な仕組みも見えてきます。

運行状況を共有したい。
荷待ちを記録したい。
配車情報を一元化したい。
荷主別の利益と負荷を見たい。
帰り荷情報を担当者だけに持たせたくない。

ここまで言語化できれば、制度を調べる意味が出てきます。

制度は、会社の課題を代わりに決めてくれるものではありません。

課題が決まっている会社を、後押しするものです。

最初に見るべきは、現場で消えている時間である

物流DXを考える時、最初に見るべきはシステムではありません。

現場で消えている時間です。

配車係は、何に時間を使っているのか。

電話か。
確認か。
変更連絡か。
ドライバーへの説明か。
荷主への報告か。
紙やExcelへの転記か。

管理者は、何に追われているのか。

事故対応か。
勤怠確認か。
日報の集計か。
現場トラブルか。
ドライバーとの調整か。

社長は、何を自分で抱え続けているのか。

採算確認か。
荷主対応か。
配車判断か。
車両稼働の確認か。
資金繰りか。

ここを見ないままDXを進めると、使われない仕組みだけが残ります。

逆に、現場で消えている時間を特定できれば、投資すべき場所が見えてきます。

制度に乗せる前に、改善後の姿を決める

制度を調べる前に、社内で最低限この3つを決めるべきです。

1つ目は、何を減らしたいのか。

配車係の電話時間を減らしたい。
日報集計の時間を減らしたい。
荷待ち時間を減らしたい。
社長しかできない判断を減らしたい。

2つ目は、何を見えるようにしたいのか。

荷主別の採算。
コース別の負荷。
車両別の稼働。
ドライバーごとの拘束時間。
荷待ちや待機の実態。
帰り荷の情報。

3つ目は、何の数字を変えたいのか。

配車調整にかかる時間。
残業時間。
荷待ち時間。
空車距離。
帰り便の確保率。
荷主別の利益率。
ドライバーの定着率。

ここまで決めて初めて、投資の意味が出ます。

DXは、便利そうな仕組みを入れることではありません。

会社が変えたい数字と現場行動を決めることです。

制度が使えるかより、導入後に回るかを見なければならない

補助金が使える。

ここで安心してはいけません。

補助率があっても、自社負担は残ります。
導入後の月額費用もあります。
現場に教える時間も必要です。
運用ルールを決める人も必要です。
入力されなければ、データは残りません。
数字を見て判断する人がいなければ、経営も変わりません。

制度を使って導入した仕組みが、半年後に誰も開かなくなっている。

これは一番もったいない状態です。

本当に見るべきは、補助金が出るかどうかではありません。

その仕組みが、現場の負荷を減らすか。
管理者の判断を早くするか。
荷主交渉の材料になるか。
利益が残る仕事を増やす判断につながるか。

ここです。

制度は、投資の後押しです。

投資判断の代わりにはなりません。

差がつくのは、制度を知っている会社ではない

物流DXで差がつくのは、制度をたくさん知っている会社ではありません。

現場の課題を、短い言葉で説明できる会社です。

配車係の朝の電話調整を減らしたい。
荷待ちを荷主別に見えるようにしたい。
帰り荷情報を個人依存にしたくない。
車両別、コース別の採算を早く見たい。
ドライバーの拘束時間を早めに把握したい。

こうした課題が整理されている会社は、必要な仕組みを選びやすい。

そして、その課題に合う制度も探しやすい。

逆に、DXをやりたい。
補助金を使いたい。
システムを入れたい。

この状態では、何を選んでも現場に定着しにくいです。

物流DXは、大きな投資の話ではありません。

現場の詰まりを見つける。
改善後の姿を決める。
必要な仕組みを選ぶ。
そのうえで、使える制度を調べる。

この順番を守れるかどうかです。

まとめ 物流DXは、制度探しではなく、現場の詰まり探しから始まる

物流DXに必要なのは、大きな投資への覚悟ではありません。

まず、自社の現場で何が詰まっているのかを見ることです。

どこで人の時間が消えているのか。
何が見えないせいで判断が遅れているのか。
誰に仕事が属人化しているのか。
どの数字を変えたいのか。

ここが決まれば、DXは急に現実的になります。

使える制度を知ることは大切です。

ただし、制度から始めてはいけません。

制度に自社を合わせるのではなく、自社の課題に合う制度を探す。

この順番です。

物流DXで進む会社は、補助金に詳しい会社ではありません。

現場の詰まりを言語化し、改善の形に変えられる会社です。

制度は、その会社を前に進める後押しになります。

※制度の対象、補助率、公募時期、申請要件は年度ごとに変わります。導入判断の前に、必ず国・自治体・事務局の一次情報を確認してください。

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