特許出願における誤記など
1.明細書等を見ていて見つけた誤記
1.1.発明の名称が「職権入力」
特開2006-109830では、発明の名称が「職権入力」になっていました。
もしかしたら、出願時の発明名称が、公序良俗に反する内容であったため、「職権入力」になっていたのかと思いました。
念のため、特許庁に確認したところ、
①本件は書面による手続きであり、明細書中に【発明の名称】の欄がなかったため、特許庁の職権により欄名を追加したこと、
②その際、【発明の名称】の欄の挿入箇所を誤ったため、指示事項である「職権入力」との文言をデータエントリーしてしまったと思われること、
が分かりました('23/02/03に回答を頂きました)。
意外な回答ですが、書面による手続き(紙の書面による手続き)だと、そういうことがあるんですね。
1.2.特開2009-116108
出願公開公報を見ていると、たまに、出願前に入れたコメントを消し忘れたと思われる内容が残っていることがあります。
殆どの場合、そのコメント部分は削除しているとは思います。
しかし、特に出願を急いでいる場合等に、削除漏れ(削除忘れ)が生じるのだと思います。
例えば、特開2009-116108では、以下のようなコメントの削除漏れと思われる記載が見つかりました。

想像ですが、この出願の請求項2及び3は、請求項1では権利化が難しいと考えた弁理士が自ら主体的に作成したものと思います。そして、企業及び弁理士の両方のチェック漏れにより、そのまま出願されたものと思われます。
一番簡単なのは、
①一定の書式でコメントを記載する、
②出願前チェックの一環としてコメント削除マクロを実行する、
ことだと思います。
1.3.特開2021-153445
今回見つけた案件(特開2021-153445)も誤記と思われる記載です。
【請求項2】
前記主流路は、前記基板の一方の面に形成された第1溝と、前記第1溝を塞ぐ前記フィルムの一部とにより構成されており、
前記第1シース液流路は、前記基板の前記一方の面に形成された第2溝と、前記第2溝を塞ぐ前記フィルムの一部とにより構成されており、
前記第2シース液流路の前記主流路との合流部は、前記基板の前記一方の面の一部および前記第1溝の開口部の一部と、前記フィルムの前記湾曲部とにより構成されている、
請求項1に期待の液体取扱装置。
もちろん、請求項1は特許されると思います。特許されるでしょう。期待しています。
1.4.転落
この前、明細書で配線が転落するという記載(誤記)を見付けました。
実際に配線が転落(物理的に落ちる)することはあるでしょうから、確認漏れもあり得ると思います。
しかし、ここでの正しい記載は配線が「天絡」するです。
(誤)配線が「転落」する
(正)配線が「天絡」する
天絡とは、配線や端子等が電源にショートすることです。
(電源が乾電池の場合、+-のうち、+側にショートすることです)
あまり手間がかからなくて、効果的な確認方法をご存知でしたら、是非、教えてください。
なお、電源が乾電池の場合、+-のうち、-側にショートすることは、地絡といいます。
2.誤訳防止
装置などに複数のブロックが含まれる場合、その説明には複数の方法があります。
例えば装置Xに複数のブロックが含まれる場合には、
①装置Xは、Aと、Bと、Cと、を含む、
②装置Xは、AとB、Cを含む、
③装置Xは、A、B、及び、Cを含む、
のような書き方があるようです。
私は、上記の装置Xであれば、「①装置Xは、Aと、Bと、Cと、を含む」「③装置Xは、A、B、及び、Cを含む」のどちらかで記載します。
①で書くのは、請求項の構成要件列挙型と同じ書き方だからです。
③で書くのは、英訳の時に誤訳が減るからです(中国語訳でも誤訳が減るとの意見もある)。
一方、②で書くと誤訳が増えるイメージです。誤訳が生じるのは、訳しにくい文章だからかもしれません。
3.明細書のコメント消し忘れ対策
定期的に明細書に記載したコメントを消し忘れて出願してしまった、という話題が現れます。
現状では、このミスへの対策は、
①出願データに反映されない形でコメントを記載する、
②出願前に、出願ソフト等でコメントの消し忘れを検出できるようにする、
の2つしかないと思います。
出願ソフト等でコメントの消し忘れを検出できるようにする手法としては、
②-1 出願ソフトでは取り扱うことのできない文字(機種依存文字など)を、コメント前後に入れておく、
②-2 出願ソフト以外のソフトを使ってコメントの消し忘れを検出する、
などが多いかと思います。
よく聞くのは、
「★」をコメント前後に入れておく手法
「【】」でコメントを囲う手法、
ですね。
他にいい方法があれば、是非、教えてください。
●過去の記事
・特許法 発明の名称が「職権入力」
・特許法 特許請求の範囲におけるコメントの消し忘れ
・請求項1に期待!
・特許法 明細書での誤記例「転落」
・特許法 明細書におけるコメント消し忘れ 特開2015-146264号
・特許法 特許明細書の中に入れたコメントの削除漏れ防止
・明細書のコメント消し忘れ対策
・特許法 誤訳防止 複数のブロックを含む装置の表現
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