裁かれるのは誰か――“判断基準不存在”という深い闇を照らすルポルタージュ
■序章 「裁判所から届いたのは、裁判官の署名がない“調書”だった」
最高裁判所から一通の封筒が送達された。封筒の内部には「調書(決定)」と題する文書が収められていたが、当該文書は民訴法上の決定書として要求される形式的要件を備えていなかった。裁判官の署名欄は空白であり、押印もなく、決定書原本の存在を示す外形的特徴も確認できなかった。書記官名義で「これは正本である」と記載されているものの、裁判官が当該判断を行ったことを示す形式的証跡は存在しない。
民訴法は、裁判官が行う決定について、署名押印を伴う決定書原本の作成を予定している。しかし、送達された文書は、裁判官の判断を示すべき形式的要件を欠いたまま「決定」として送達されている。この形式が法令上どのような位置付けを持つのか、また、決定書原本が存在しないまま書記官が「決定」を作成し送達するという形式は、憲法および民訴法の基本構造に照らして到底許容し得ないものであり、その適法性は根本的な疑義を免れない。
さらに、当該文書に記載された理由部分は、次の一文のみで構成されていた。
「違憲をいうが、その実質は単なる法令違反である」

しかし、この「実質」という語が何を指すのか、どの判断基準に基づいて「実質」を評価したのか、どの要素を検討した結果その結論に至ったのかについては、一切記載されていない。判断過程を示す記述が存在しないため、当該判断がどのような審査手順を経て行われたのかを確認することはできず、理由付記義務(民訴法253条・122条)の充足性を検証することも不可能である。
原告は、当該文書の形式および理由付記の構造が、法令上予定されている決定書の要件を満たしているか否かについて検討を進める必要が生じた。特に、「実質」という語の使用が、裁判所内部に存在する判断基準に基づくものなのか、それとも基準が存在しないまま抽象語として使用されているのかについて、検証を要する。
以上の形式的事実を踏まえ、当該文書が法令上の決定書としての要件を充足しているか否か、また、理由付記としての適法性を備えているか否かについて、以後の章において一次資料に基づき検討を行う。
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■第1章 「不満」「実質」「その存否」――判断基準が存在しないまま使われる言葉
原告が複数の事件で受け取った最高裁・高裁の決定には、次のような語が繰り返し用いられていた。
「単なる不満にすぎない」
「その実質は法令違反である」
「その存否を問題とするまでもなく」
「民訴法337条2項所定の事項を含むとは認められない」
これらはいずれも裁判所が判断の理由として用いる文言であり、形式上は「理由付記」の体裁を備えている。しかし、これらの語がどのような内部基準・審査手順に基づいて使用されているのかは、決定文からは一切読み取れない。抽象語が並置されているだけで、判断過程を示す具体的記述は存在しない。
民訴法253条および122条は、裁判所に対し「理由を付記する義務」を課している。理由付記とは、単に結論を述べることではなく、どの事実を認定し、どの法令を適用し、どの判断基準に基づいて結論に至ったのかを示すことである。しかし、原告が受け取った決定文には、判断基準の存在を示す記述がなく、判断過程を確認することができない。
原告は、これらの語が裁判所内部の判断基準に基づいて使用されているのか、それとも基準が存在しないまま抽象語として使用されているのかを確認する必要が生じた。そこで、情報公開法に基づき、最高裁事務総局に対して行政文書開示請求を行った。開示請求の対象は、裁判所が判断に用いるとされる内部基準・審査手順の存否である。
開示請求の結果、最高裁事務総局は次のように回答した。
「不満」基準 → 作成・取得していない(不存在)
「実質」基準 → 作成・取得していない(不存在)
「その存否」基準 → 作成・取得していない(不存在)
民訴法337条2項判断基準 → 作成・取得していない(不存在)
これらの回答は、裁判所が判断に用いるとされる基準が行政文書として存在しないことを示している。行政文書として存在しないということは、裁判所内部においても、当該判断基準が文書化されていないことを意味する。判断基準が文書化されていない以上、判断過程を検証することは不可能であり、理由付記義務の充足性を確認することもできない。
裁判所は、判断基準が存在しないまま「不満」「実質」「その存否」「所定の事項を含むとは認められない」といった抽象語を用いて判断を行っていたことになる。判断基準が存在しない以上、判断過程も存在しない。判断過程が存在しない決定は、理由付記義務を満たさず、裁量行使の前提を欠くものであり、裁量権の逸脱濫用に該当する可能性が高い。
これらの事実は、個別事件における判断の瑕疵にとどまらず、裁判所内部の制度的欠陥(組織的過失)を示す一次資料である。判断基準が存在しないまま抽象語を用いて判断を行うという構造は、司法の透明性を根本から損なうものであり、国民が裁判所の判断過程を検証することを不可能にする。
つまり、裁判所は
存在しない判断基準を理由として決定を行っていた
ということになる。
これは、司法の根幹を揺るがす重大な問題である。
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■第2章 「調書(決定)」という形式の問題
―裁判官署名なし・原本なし・書記官名義
原告が受け取った「調書(決定)」には、裁判官の署名押印が存在しない。民訴法は、裁判官が行う決定について、裁判官自身が決定書原本を作成し、署名押印を施すことを法定要件として定めている。 これは、裁判の真正性、判断主体の特定、文書の成立過程の検証可能性を担保するための基本的要件であり、裁判手続の構造を形成するものである。
しかし、送達された文書は、裁判官の署名押印を欠いたまま、書記官名義で「これは正本である」と記載されているのみであった。決定書原本の存在を示す外形も確認できず、裁判官が当該判断を行ったことを示す形式的証跡は存在しない。裁判官が作成した原本が存在しない以上、文書の成立過程を検証することはできず、民訴法が要求する決定書の法定要件を満たしていない。
この形式について、裁判所が依拠し得る規定としてしばしば挙げられるのが、民訴規則50条の2である。同条は、裁判所が「相当と認めるとき」に、書記官が調書を作成することを認めている。しかし、同条は 下位規範である民訴規則 に属し、上位法である民訴法が定めた決定書原本・裁判官署名押印の法定要件を変更することはできない。
民訴規則が民訴法の要件を実質的に緩和・変更することは、憲法41条・76条の法体系構造に照らして到底許容されない。したがって、民訴規則50条の2が「調書で代える」ことを許容しているように見える部分は、民訴法の法定要件を無視しており、規範として無効である。
さらに、仮に民訴規則50条の2が有効であると仮定したとしても、同条は「裁判所が相当と認めるとき」という要件を明示している。調書作成が許容されるためには、裁判所がどのような事実関係・法令解釈・審理状況を踏まえて「相当」と判断したのかを示す必要がある。
しかし、原告が受け取った「調書(決定)」には、裁判所が調書作成を「相当と認めた理由」が一切記載されていない。行政文書開示請求においても、当該基準の存在を示す文書は開示されていない。
したがって、 裁判所が「相当と認める」と判断したとされる要件は、いずれも満たしていない。 同条の適用要件を満たしていない以上、民訴規則50条の2を根拠として調書を作成することはできず、仮に同条が有効であるとしても、当該調書作成は適法になり得ない。
私はこの形式の違法性について、 複数の note 記事で一次資料をもとに検証してきた。
「調書(決定)」とは何か
民訴規則50条の2との関係
「相当と認める基準」が行政文書として存在しない問題
裁判官署名押印の欠如
決定書原本の不存在
これらはすべて、 裁判所内部の制度的欠陥(組織的過失) を示す一次資料である。
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■第3章 民訴法337条2項――「所定の事項を含むとは認められない」の問題
許可抗告の決定において、高裁はしばしば次の一文のみで却下を行う。
「民訴法337条2項所定の事項を含むとは認められない」

この一文は、許可抗告制度の核心部分に関わる判断であるにもかかわらず、判断過程・判断基準・審査手順を示す記述を一切欠いている。どの事実を検討し、どの法令を適用し、どの基準に基づいて「所定の事項を含むとは認められない」と判断したのかは、決定文からは読み取れない。
民訴法337条2項は、許可抗告の判断において「所定の事項」を含むか否かを審査することを要求している。しかし、裁判所が「所定の事項」をどのように解釈し、どの基準に基づいて判断しているのかは、決定文からは確認できない。抽象的な結論のみが記載されており、判断過程を示す理由付記の体裁を備えていない。
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原告は、この判断がどのような基準に基づいて行われているのかを確認するため、情報公開法に基づき、最高裁事務総局に対して行政文書開示請求を行った。開示請求の対象は、民訴法337条2項に基づく許可抗告判断の内部基準・審査手順の存否である。
行政文書開示請求の結果、最高裁事務総局は次のように回答した。
民訴法337条2項判断基準 → 作成・取得していない(不存在)
この回答は、裁判所が許可抗告の判断に用いるとされる基準が行政文書として存在しないことを示している。行政文書として存在しないということは、裁判所内部においても、当該判断基準が文書化されていないことを意味する。判断基準が文書化されていない以上、判断過程を検証することは不可能であり、理由付記義務(民訴法253条・122条)との整合性を確認することもできない。
したがって、裁判所は、
判断基準が存在しない
判断過程も存在しない
理由付記も存在しない
という三重の不存在状態のまま、「所定の事項を含むとは認められない」と述べていることになる。
判断基準が存在しない以上、裁判所がどのような基準に基づいて「所定の事項」を判断したのかを確認することはできず、判断過程を示す理由付記も存在しないため、民訴法253条・122条が要求する理由付記義務を満たしていない。理由付記義務は、裁判所がどのような判断過程を経て結論に至ったのかを示すことを要求するものであり、単なる結論の記載では足りない。
したがって、当該決定は 理由なし決定 に該当し、民訴法253条・122条に反するものである。理由なし決定は、裁量行使の前提を欠き、裁量権の逸脱濫用に該当する可能性が高い。
■第4章 「裁判官の良心」基準も存在しない
―忌避申立ての一次資料から見える構造的問題
忌避申立てにおいて、裁判所はしばしば次のような文言を用いて却下を行う。
「単なる不満にすぎない」 「裁判官の良心に基づく判断である」
これらの文言は、忌避申立ての理由を排斥する際に繰り返し使用されるものであり、形式上は「理由付記」の体裁を備えている。しかし、これらの語がどのような内部基準・審査手順に基づいて使用されているのかは、決定文からは一切読み取れない。抽象語が並置されているだけで、判断過程を示す具体的記述は存在しない。

特に「裁判官の良心」という語は、憲法76条3項に由来する概念であるが、裁判所がどのような基準に基づいて「良心」を判断しているのか、また、どの要素を検討した結果「良心に基づく判断である」と結論付けたのかは、決定文からは確認できない。判断主体の内心を理由として忌避を排斥する以上、その判断がどのような基準に基づいて行われているのかを示す必要があるが、当該基準は決定文に記載されていない。
原告は、これらの語が裁判所内部の判断基準に基づいて使用されているのか、それとも基準が存在しないまま抽象語として使用されているのかを確認するため、情報公開法に基づき、最高裁事務総局に対して行政文書開示請求を行った。開示請求の対象は、忌避申立てにおける「不満」基準および「裁判官の良心」基準の存否である。
行政文書開示請求の結果、最高裁事務総局は次のように回答した。
「不満」基準 → 作成・取得していない(不存在)
「裁判官の良心」基準 → 作成・取得していない(不存在)
この回答は、裁判所が忌避申立ての判断に用いるとされる基準が行政文書として存在しないことを示している。行政文書として存在しないということは、裁判所内部においても、当該判断基準が文書化されていないことを意味する。判断基準が文書化されていない以上、判断過程を検証することは不可能であり、理由付記義務(民訴法253条・122条)との整合性を確認することもできない。
したがって、裁判所は、
判断基準が存在しない
判断過程も存在しない
理由付記も存在しない
という三重の不存在状態のまま、「単なる不満にすぎない」「裁判官の良心に基づく判断である」と述べて忌避申立てを却下していることになる。
判断基準が存在しない以上、裁判所がどのような基準に基づいて「不満」や「良心」を判断したのかを確認することはできず、判断過程を示す理由付記も存在しないため、民訴法253条・122条が要求する理由付記義務を満たしていない。理由付記義務は、裁判所がどのような判断過程を経て結論に至ったのかを示すことを要求するものであり、抽象語の羅列では足りない。
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つまり、裁判所は
存在しない内部基準を理由として、忌避を却下していた
ということになる。
これは、 裁判官の独立性ではなく、 裁判所内部の運用の不透明性 を示す一次資料である。
■第5章 「Web審理」問題――民訴法87条の2の読み替え
原告は別件において、Web会議方式による審理を求めた。民訴法87条の2は、次のように三つの構造を持つ。
(1)口頭弁論の期日におけるWeb会議方式の許容 裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴き、最高裁判所規則に従い、裁判所および当事者双方が映像と音声の送受信により相互に認識しながら通話できる方法によって、口頭弁論の期日の手続を行うことができる。
(2)審尋の期日における音声のみの同時通話方式の許容 裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴き、最高裁判所規則に従い、裁判所および当事者双方が音声の送受信により同時に通話できる方法によって、審尋の期日の手続を行うことができる。
(3)出頭したものとみなす効果 前二項の方法で手続に関与した当事者は、期日に出頭したものとみなされる。
条文は、
「裁判所は、行うことができる」
「相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて」 と明確に規定しており、文言上「裁判体」や「合議体」といった限定は存在しない。 したがって、条文の自然な解釈としては、Web審理の可否は 裁判所(司法行政) が判断する構造である。
しかし、実務では、民訴法87条の2の「裁判所」を「裁判体」と読み替える運用が行われている。すなわち、裁判体がWeb審理の可否を判断するという構造が形成されており、条文の文言とは異なる運用が行われている。この読み替えにより、裁判体がWeb審理を拒否する例が生じている。
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この読み替えは、条文の文言を逸脱した運用であり、法令解釈としての合理性を欠く。民訴法は「裁判所」と規定している以上、Web審理の可否を判断する主体は裁判所(司法行政)である。裁判体が裁判所を代替し、裁判所の判断を形式的に代行しているのであればまだ理解可能であるが、裁判体があたかも独立した主体として条文の文言を読み替え、Web審理の可否を自ら判断する構造は、法体系上許容されない。
裁判体は裁判所の内部機関であり、裁判所の権限を超えて独自に条文を変更することはできない。条文の変更は立法権の範囲に属し、裁判体が文言を読み替えることにより、裁判所の権限構造を実質的に変更することは許されない。
原告は、裁判体がWeb審理を拒否する際に用いた「相当と認められない」という判断基準がどのような内容を持つのか、また、どのような審査手順に基づいて判断されているのかを確認した。
原告は東京高裁に対し、民訴法87条の2における「相当と認めるとき」の判断基準の存否について行政文書開示請求を行った。開示請求の対象は、裁判体がWeb審理を拒否する際に用いる内部基準・審査手順である。
現時点では、当該基準の存在を示す行政文書は開示されていない。民訴法87条の2は「相当と認めるとき」という要件を明示している以上、裁判体がWeb審理を拒否するためには、どのような理由に基づき「相当と認められない」と判断したのかを示す必要がある。裁判体には、正式に理由を述べるよう上申書を提出したが、裁判体からは返答がない。
したがって、裁判体は、
判断基準が存在しない
判断過程も存在しない
理由付記も存在しない
という三重の不存在状態のまま、Web審理を拒否している可能性が高い。
理由を示すことができない裁判体は、民訴法253条・122条が要求する理由付記義務を満たしておらず、理由なし決定に該当する。理由なし決定は裁量行使の前提を欠き、裁量権の逸脱濫用に該当する可能性が高い。
さらに、裁判体が理由を示すことができない場合、原告としては「理由を示すことができない」という事実を理由として忌避を申し立てるほかない。これは裁判官の独立性の問題ではなく、裁判所内部の運用の不透明性を示す一次資料である。
■第6章 「理由不記載」違法決定――国賠訴訟へ
原告は、これまで受け取ってきた複数の決定について、
判断基準が存在しない
判断過程が存在しない
理由付記が存在しない
決定書原本が存在しない
裁判官署名押印が存在しない という構造的問題が存在することを一次資料に基づき確認した。
これらの決定は、民訴法253条・122条が要求する理由付記義務を満たしておらず、形式的にも実質的にも「理由なし決定」に該当する。理由なし決定は、裁量行使の前提を欠き、裁量権の逸脱濫用に該当する可能性が高い。
原告は、この一連の違法決定に対し、国家賠償法1条に基づく国賠訴訟を提起した。訴状は受理され、事件番号が付与され、訴訟は正式に開始された。国賠訴訟は、裁判所の行政作用に対する違法性を審理する制度であり、裁判所が行った決定の形式的違法性・理由付記義務違反・判断基準不存在といった構造的問題が審理の対象となる。
しかし、現時点でお伝えできるのはここまでである。国からの答弁書はまだ提出されておらず、裁判所もいまだ何らの判断を示していない。違法性の有無、是正措置の必要性、制度的欠陥の存在については、これから審理される段階である。
原告が本件国賠訴訟で主張する中心的論点は、次の三点である。
判断基準不存在 裁判所が用いる「不満」「実質」「その存否」「裁判官の良心」「所定の事項」などの抽象語について、行政文書開示請求により、判断基準が行政文書として存在しないことが確定している。
理由なし決定(理由付記義務違反) 判断基準が存在しない以上、判断過程を示す理由付記も存在しない。民訴法253条・122条が要求する理由付記義務を満たしておらず、形式的違法が成立する。
「調書(決定)」形式の違法 裁判官署名押印の欠如、決定書原本の不存在、民訴規則50条の2の無効性、そして「相当と認める理由」の不存在という複合的な形式的違法が存在する。
これらは、個別事件の瑕疵ではなく、裁判所内部の制度的欠陥(組織的過失)を示す一次資料である。判断基準が存在しないまま抽象語を用いて判断を行い、理由付記を欠いた決定を繰り返すという構造は、司法の透明性を根本から損なうものであり、国民が裁判所の判断過程を検証することを不可能にする。
原告は、これらの構造的問題について、一次資料に基づき、粘り強く主張を続ける予定である。国賠訴訟はまだ始まったばかりであり、違法性の有無はこれから審理される。裁判所がどのような判断を示すのか、また、制度的欠陥がどのように扱われるのかについては、今後の審理に委ねられる。
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■終章 「司法の透明性」を問うために
―国民が裁判所の違法を指摘するということ
日本の司法制度は、国民が裁判所の違法を指摘し、是正を求めるための制度的手段をほとんど持たない。行政機関に対する不服申立て制度は存在するが、裁判所は行政機関ではないため対象外である。行政事件訴訟法の不作為訴訟も、裁判所の行為・不作為を対象とすることはできない。差止訴訟も同様であり、裁判所の違法行為を差し止める制度は存在しない。
さらに、日本には抽象的違憲審査制度が存在しないため、裁判所の制度的違法性や構造的欠陥を憲法判断として争うこともできない。裁判所法に定められた監督制度は、最高裁判所が下級裁判所を監督する構造であり、最高裁自身の違法を監督する仕組みは存在しない。最高裁が自らを監督する構造は制度的に機能し得ず、司法行政の透明性を担保する仕組みとしては不十分である。
このように、裁判所の違法に対する救済制度は制度的に存在しない。国民は、裁判所の違法を指摘する手段を持たず、裁判所内部の運用の不透明性を是正する制度的ルートも存在しない。裁判所が判断基準を作成せず、理由付記を欠いた決定を行い、形式的要件を満たさない文書を送達したとしても、それを是正する制度は用意されていない。
だからこそ、原告は国賠訴訟を提起した。国家賠償法1条1項は、公権力の行使により生じた損害について、国が完全な回復を行うことを目的とする法律である。損害の完全回復とは、単なる金銭的補償にとどまらず、違法状態の是正、制度的欠陥の改善、再発防止措置の実施を含む概念である。
本件において原告が主張する構造的問題は、次の三点である。
判断基準不存在 裁判所が用いる抽象語(「不満」「良心」「所定の事項」「実質」等)について、行政文書開示請求により、判断基準が行政文書として存在しないことが確定している。
理由なし決定(理由付記義務違反) 判断基準が存在しない以上、判断過程を示す理由付記も存在しない。民訴法253条・122条が要求する理由付記義務を満たしておらず、形式的違法が成立する。
調書(決定)形式の違法 裁判官署名押印の欠如、決定書原本の不存在、民訴規則50条の2の無効性、「相当と認める理由」の不存在という複合的な形式的違法が存在する。
これらは、個別事件の瑕疵ではなく、裁判所内部の制度的欠陥(組織的過失)を示す一次資料である。判断基準が存在しないまま抽象語を用いて判断を行い、理由付記を欠いた決定を繰り返す構造は、司法の透明性を根本から損なうものであり、国民が裁判所の判断過程を検証することを不可能にする。
国賠法1条1項は、国に対し、違法状態を是正するための措置を講じる義務を課している。原告は、本件国賠訴訟を通じて、裁判所内部の制度的欠陥を明らかにし、司法行政の透明性を回復するための是正措置を求めていく予定である。
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【追記】理由不記載が人命に直結した事例として
2024年6月29日付・日経新聞朝刊は、 大川原化工機事件において、保釈が繰り返し却下され、 被告の立場のまま死亡した相嶋静夫氏(当時72)の遺族が、 国に約1億6800万円の賠償を求めた訴訟の初弁論を報じた。
記事によれば、 保釈却下の理由は裁判官から一切示されず、 遺族は「理由を裁判官に聞きたい」と述べている。 長男は「説明が全くなく、冷酷に突き放されたようだった」と陳述した。
治療が必要で逃亡の恐れもない状況で、 理由を示さないまま保釈を退け続けたことが、 結果として人命に直結した事例である。
本記事は、 理由不記載決定が制度問題だけでなく、 現実に重大な結果を生じさせたことを示し、本ブログ記事の問題意識と軌を一にするものである。
■最後に
―「事件番号がついたところまでしか書けない」
本記事は、
「調書(決定)」形式の違法
「理由不記載」決定の違法
「判断基準不存在」という構造的問題 について、一次資料に基づき記録したルポである。
これらの問題は、個別事件の瑕疵ではなく、 裁判所内部の制度的欠陥(組織的過失)を示す一次資料である。 判断基準が存在しないまま抽象語を用いて判断を行い、 理由付記を欠いた決定を繰り返す構造は、 司法の透明性を根本から損なう。
しかし、国賠訴訟はまだ始まったばかりであり、 現時点でお伝えできるのは、 事件番号が付与された段階まで に限られる。 国からの答弁書も届いておらず、 裁判所はまだ何も判断していない。
違法性の有無、 是正措置の必要性、 制度的欠陥の扱いは、 これから審理される。
日本の司法制度は、 国民が裁判所の違法を指摘する制度を持たない。 行政不服申立てもできず、 不作為訴訟もできず、 差止訴訟もできず、 抽象的違憲審査制度も存在しない。 裁判所法の監督制度も、 最高裁が自らを監督する構造である以上、機能しない。
清き一票を入れたところで、裁判所は是正されないことは明らかである。 司法行政の透明性は、選挙によって改善される構造ではない。
最高裁判所裁判官国民審査で直るものでもない。 国民審査は、個々の裁判官の罷免可否を問う制度であり、 裁判所内部の制度的欠陥を是正する機能は持たない。 判断基準の不存在、理由付記の欠如、調書形式の違法といった構造的問題は、 国民審査の対象外である。
だからこそ、私は違法決定国賠訴訟を提起した。 国家賠償法1条1項は、損害の完全回復を目的とする法律であり、 違法状態の是正、制度的欠陥の改善、再発防止措置の実施を含む。
裁判所がどのような判断を下すのか。 司法行政の透明性は確保されるのか。 制度的欠陥は是正されるのか。
その答えは、これから明らかになる。
私は、国民の一人として、 司法の透明性を求めるために、 この記録を続けていく。
