資格試験の勉強を必死にしているのに、なぜか点数が伸びない人へ。──足りなかったのは努力ではなく「見分ける訓練」だった
この記事はこんな人へ
G検定・資格試験の勉強をしているのに、模試の点数が思うように伸びない人
「知っている用語のはずなのに、なぜか間違える」を繰り返している人
似ている概念や選択肢で、いつも迷ってしまう人
50代からAIや新しい分野を学び直そうとしている、忙しい社会人
正直に言う。
あの日、僕は問題集を三周した。三周もすれば、さすがに大丈夫だろうと思っていた。
でも、模試を受けたら、点数はほとんど変わらなかった。しかも、間違えた問題を見返すと、ちゃんと知っているはずの用語ばかりだった。
理由はまだ分からなかった。
プロローグ 三周しても、点数が変わらなかった夜
社会人になってから受けた資格試験で、僕は久しぶりに悔しい思いをした。
参考書は隅から隅まで読んだ。問題集も三周した。どの用語を聞かれても、意味は答えられる自信があった。
模試の結果が返ってきたとき、正直、信じられなかった。前回とほとんど同じ点数。しかも間違えた箇所は、「あ、これ知ってたのに」という問題ばかりだった。
知らない言葉に×がついていたわけではない。知っている言葉のはずなのに、選択肢を前にすると、迷って間違えていた。
情けない話だが、あの夜、問題集をもう一度開く気力が、なかなか湧かなかった。
第一章 美術館で聞いた、鑑定士の話
美術館の音声ガイドで、こんな話を聞いたことがある。
贋作(がんさく)と本物を見分けるとき、鑑定士は、絵全体の完成度や雰囲気を見ているわけではない。むしろ、絵の全体像だけを見ていると、腕のいい贋作ほど、本物とほとんど区別がつかない。
鑑定士が本当に見ているのは、筆致の癖という、ごく細部の一点だった。その画家がどうしても直せなかった線の引き方の癖。絵の具を重ねる順番。それも、他の部分とは比較にならないくらい狭い範囲にしか、答えは出ていない。
全体をどれだけ眺めても、見分けはつかない。差が出る一点だけを、知っているかどうかだった。
第二章 ある先輩から聞いた話
資格試験の勉強を教えてくれた先輩から、聞いた話がある。
彼は最初、単語カードを何百枚も作って、片っ端から暗記していた。単語の意味は、ほぼ完璧に言えるようになったという。それでも模試の点数は、ある一定のところで止まったままだった。
あるとき、彼は間違えた問題だけを集めて、見返してみた。すると、ある共通点に気づいた。間違えていたのは、知らない単語の問題ではなかった。似た意味を持つ、二つの用語が並んでいる問題ばかりだった。
「単語は覚えてたんです。でも、AとBの"違い"を、一度も意識して覚えてなかった」
そこから彼は、単語を単体で覚えるのをやめて、「よく間違えるペア」だけを集めて、その違いだけを潰していく勉強に切り替えた。点数は、そこから急に動き始めたという。
第三章 自分の得点表が教えてくれたこと
もう一つ、僕自身の話をする。
模試の結果を見返して、分野別の得点率を出してみたことがあった。ある分野は満点近い。でも、別の分野は半分にも届いていない。
得意な分野は、これ以上勉強しても、伸びしろがほとんどなかった。すでに完璧に近いところまで来ていたからだ。
一方で、点数が低かった分野を見直すと、単語を知らなかったわけではなかった。似た概念が二つ、あるいは三つ並んでいて、その境界線だけが、頭の中で整理されていなかった。
第四章 三つとも、似ているようで違う話に見える
鑑定士の話。単語カードの先輩の話。自分の得点表の話。
一見、バラバラの話に見えるかもしれない。美術と、資格試験の勉強と、自分の成績。舞台も、文脈も、全く違う。
その通り。僕も長いあいだ、これらを別々の話だと思っていた。
でも、まだ全部は言わない。
第五章 そういうことだったのか
三つの話に共通していたのは、「知っているかどうか」ではなかった。
鑑定士は、絵全体を知り尽くしていても、筆致の癖という一点を訓練していなければ、贋作を見抜けない。先輩は、単語の意味を暗記していても、AとBの境界線を訓練していなければ、点数は止まったままだった。
「知っている」と「解ける」は、別の能力だ。
知っているのは、輪郭の記憶。解けるのは、似ているものの間にある、細い境界線を見抜く目だ。
参考書は、たいてい単語を一つずつ丁寧に説明してくれる。でも、「AとBは、どこで見分けるのか」という境界線そのものは、あまり整理されて書かれていない。だから、単語を何周勉強しても、境界線を見抜く訓練だけは、抜け落ちたままになりやすい。
あなたが問題集を三周しても点数が伸びなかったのは、努力が足りなかったからではない。輪郭はもう、十分すぎるほど覚えている。ただ、輪郭と輪郭の間にある境界線を、まだ意識的に訓練していなかっただけだ。
自分を責めなくていい。
第六章 でも、境界線は一人では見つけにくい
理屈は分かった。でも、現実はここからが難しい。
「自分がどの概念とどの概念を混同しているのか」を、参考書を読み返しながら一人で洗い出すのは、想像以上に骨が折れる。問題を解いて、間違えて、なぜ間違えたのかを分析して、似た概念のペアを一つずつ書き出していく。理屈では分かっていても、それをやり切るのは、地味で、時間のかかる作業だ。
PMの仕事でも、よくあることだ。正しい理屈を知っていることと、実際にその作業をやり切ることは、別の話だった。
じゃあ、どうすればいいのか。
第七章 最後のピース
だから、その境界線を先に洗い出しておいた地図を、一つの記事にまとめた。
僕自身が実際にG検定の問題を解いて、間違えて、分野別の得点率を記録しながら、「なぜ間違えたのか」を一問ずつ構造化した、実戦問題300問だ。ただの一問一答ではない。RAGとファインチューニング、正則化と正規化のような、混同しやすい概念を一組ずつ切り分けて、その問題が「何と何を見分けさせようとしているのか」まで、あらかじめ明示してある。
第八章 最後のピースはこちら
その300問という地図を使えば、次にあなたが問題集を開く夜は、これまでとは違う夜になる。
単語を覚え直す作業ではなく、「自分がどこで見分けを間違えるのか」を、一問ずつ確かめていく作業になる。模試の点数が動かなかった原因が、少しずつ具体的な形になって見えてくる。
その先の道筋は、こちらにまとめてある。
G検定を300問解いても受からない人へ。──足りなかったのは、知識ではなく「双子の見分け方」だった(テスト前対策問題あり)
エピローグ
あの模試で点数が変わらなかった夜から、しばらく経った。
今でも、参考書を三周すれば十分だと思い込んでいた自分を、少し笑ってしまう。でも、あの悔しさがなければ、境界線という発想には、たどり着けなかったと思う。
鑑定士は、絵全体を眺めることをやめない。ただ、それだけでは足りないことを知っている。
あなたが今、何度も間違えているその問題は、本当に「知らない」問題だろうか。それとも、境界線がまだ、頭の中で線を引かれていないだけだろうか。
人を責めるより、構造を見る。今日も、少し優しくなれる。
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©shiraco|PMPおじさんの実践ノート @NoteCcm42090
人を責めない。構造を見る。だから今日も少し優しくなれる。
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