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成長の、その先を考える③:世界株式インデックスは、子どもの時代にも最適解なのか

私はこれまで、世界株式インデックスへの投資を続けてきました。
いわゆる「オルカン」を中心とした、長期・積立・分散投資です。

振り返ってみると、この選択は私の人生にとって、とても大きな意味を持っていました。
資産形成が進み、「定年まで働き続けなければならない」という感覚から少しずつ自由になっていったからです。

だからこそ、少し前までの私は、
「子どもにも、世界株式インデックスを勧めればいい」
と思っていました。

でも、『人新世の「資本論」』を読み、その考え方は少し変わりました。

私の時代の最適解だった

まず前提として、私は今でも世界株式インデックス投資を否定していません。
むしろ、自分にとっては最適解だったと思っています。

私が投資を始めた頃には、すでに多くの先人たちが、
長期、積立、分散
の有効性を語っていました。

「世界経済は、長い目で見れば成長していく」
という前提のもと、世界中の企業に広く投資をする。

シンプルですが、とても合理的な方法です。
実際に、私自身もその恩恵を受けてきました。
資産は少しずつ増え、FIREという選択肢も現実味を帯びてきました。

だから、
「自分の人生においては、この選択をして良かった」
という気持ちは、今でも変わりません。

それは永遠の正解なのだろうか

『人新世の「資本論」』を読んで感じたのは、
「世界経済は永遠に成長し続ける」
という前提も、絶対ではないのかもしれない
ということでした。

もちろん、著者の主張をそのまま受け入れているわけではありません。

本当に脱成長社会が来るのか。
それが数十年後なのか、数百年後なのか。
正直、私にはわかりません。

でも、少なくとも、
「世界はずっとこのままだろう」
と無条件に信じることはできなくなりました。

さらに、今の子どもたちは、私たち以上に大きな変化の中で生きていくことになります。

  • AIによる働き方の変化

  • 気候変動

  • 人口減少

  • 格差の拡大

  • 脱成長という考え方

  • ベーシックインカムの可能性

  • 宇宙開発による新たなフロンティア

私たちが「当たり前」だと思っている前提が、子どもたちの時代には変わっているかもしれません。

斎藤幸平氏とイーロン・マスク氏

面白いと思ったのは、『人新世の「資本論」』の著者である斎藤幸平氏と、先日スペースX社を上場させたイーロン・マスク氏が、実は似た問題意識を持っているように見えたことです。

斎藤氏は、
「このまま成長を続ければ、地球環境の限界にぶつかる」
と考えます。
だからこそ、脱成長を提案しています。

一方、マスク氏は、
「惑星が一つしかない状態では、人類はいつか終わりを迎えるかもしれない」
と考えています。
だからこそ、宇宙開発を進めています。

方法は正反対です。

一方は「成長を抑える」。
もう一方は「技術によって突破する」。

でも、
「今のままで永遠に大丈夫とは思っていない」
という点では共通しています。

つまり、世界を動かしている人たちの中にも、
「人類の未来には、地球規模のリスクがある」
と感じている人がいるということです。

そう考えると、
「経済成長は永遠に続く」
と信じ切ることも、ある種の思い込みなのかもしれません。

子どもに何を伝えるのか

では、子どもには何を教えればいいのでしょうか。

少し前の私は、
「オルカンを積み立てておけば大丈夫」
と伝えていたかもしれません。

でも、今の私はそうは思いません。
もちろん、
「自分たちの時代は、世界株式インデックス投資がとても合理的だった」
とは伝えたいです。
実際に、私自身はその方法で資産形成をしてきました。

でも、それと同時に、
「それが君の時代にも正解とは限らない」
とも伝えたいのです。

なぜ、その方法が当時の最適解だったのか。
どんな前提の上に成り立っていたのか。
その前提が変わったとき、何を考えればいいのか。

そこまで含めて伝えることが、本当の金融教育なのではないかと思うようになりました。

正解を教えるのではなく、考え方を残したい

私たちが子どもの頃は、
「言われたことをきちんとやること」
が評価される時代でした。
決められた正解を覚えることが大切だったように思います。

でも今は、変化のスピードがあまりにも速い。
昨日までの正解が、明日には正解ではなくなっていることもあります。

だからこそ、
「これが正解だから、その通りにしなさい」
ではなく、
「なぜ、その人はそう考えたのか」
を考える力のほうが大切なのかもしれません。

私は、世界株式インデックス投資によって、多くの恩恵を受けてきました。
だから、その価値はこれからも伝えたいと思います。

でも、それ以上に伝えたいのは、
「正解は変わる。だから、自分の頭で考え続けること」
という姿勢です。


『人新世の「資本論」』を読む前の私は、「今の最適解」を子どもにもそのまま渡そうとしていたのかもしれません。
でも読み終えた今、私が子どもに残したいのは、答えそのものではありません。

時代の前提を疑いながら、自分なりの仮説を持ち、必要なら軌道修正していくこと。
それこそが、AIの時代にも、脱成長の時代にも、どんな未来にも通用する、一番大切な力なのだと思っています。


このシリーズを書いていて、もう一つ気になったことがあります。
そもそも、私たちにとって「よい人生」とは何でしょうか。

自由でしょうか。
物質的な豊かさでしょうか。
成長し続けることでしょうか。
それとも別の何かでしょうか。

次回は、自由と成長のこの世界に少しだけ制限を加えたり、AIを脱成長に生かす世界を考えることで、「本当の豊かさとは何か」を考えます。


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