観戦記 第27節 RB大宮アルディージャ VS ロアッソ熊本
概要
2025/8/23
大宮VS熊本 1-0
得点:大宮: 85' 健勇
@NACK5スタジアム
*現地観戦*
大宮フォ―メーション

いつもの4-4-1-1陣形。
右SHには津久井がスタメン復帰。泉と共に強力な両翼を担う。
黄累積の小島不在のボランチには前節帰ってきたシルバが久々のスタメン (嬉しい)で、谷内田とコンビを組む。攻撃時は、谷内田が後方でパスの出しどころになり、シルバが前でフィニッシュに絡んだりする縦関係になることが多かった。
熊本印象 (攻撃)

中盤がダイヤモンドの3-4-3陣形。
こちらも黄累積の大西に代わり、右CBに黒木を入れた以外は前節藤枝MYFC戦と同じメンバー。右WBの飯星も引続きスタメン。
古長谷と塩浜の強力なWGと、期待の高校生ストライカー神代の3トップ。
プレビューでも書いたけど、熊本の基本はパス&機動力サッカー。
後ろから細かいパスを繋いで前進すると共に、3-4-3の基本立ち位置から選手が流動的に動きまくって、相手のマークを混乱させると共に、三角形をいっぱい作ってパスコースを作り出すやり方。
今シーズンの熊本の試合はDAZNでしか見ておらず、選手の立ち位置やポジションチェンジなどを理解しきれてなかったんだけど、スタジアム行って全体を俯瞰して見たことで、色々と解像度が上がって(勿論、素人目線レベルだけど)、やっぱり熊本のサッカー面白っ!って強く思った。
やっぱりサッカーはスタジアムに行って生で見ることの意義を、再確認させてもらった試合だったなー。

攻撃は右CBの黒木が上がる右から作っていくことが多かった。
DAZNで見てた時はもっと黒木が上がっていくのかなと思っていたけど、今日はそこまで高い位置まで上がり切ることは少なく、ボランチの高さでとどまってビルドアップに参加する役割が多かった。泉のカウンター裏抜けを警戒していたってのもあったのかも。
右で作る際は、左WBの岩下が中央レーンまで近づいていって右に密集を作って、ショートパスコースを作りまくる。
この図では塩浜が中、飯星が外って感じだけど、逆の立ち位置の時も同等にあり、サイドレーンとハーフレーンで二人が被らないよう、阿吽の呼吸でポジショニングチェンジをしょっちゅうしていた。ここの連動性は非常にスムーズで、熊本としても相当磨いている印象を受けた。
*この二人のポジションチェンジに、神代や藤井が更に加わる時もあり
またこの時、左WG古長谷はその密集に加わらず、逆サイドに張り続けていたのも印象的。敵を右の密集に加わらせた後、密集を抜け出した折には岩下と古長谷の逆サイドに一気に開いて、チャンスを作り出す仕組みっぽいけど、今日はその狙いはあまりハマってはいなかった。
熊本印象 (守備)

前半の最初はそこそこ前からプレスに来ていた感じ。
プレスのやり方も色々あって全部は紹介しきれない (理解しきれてない?)けど、前半の最初にやってて特徴的だった一つは、岩下を1つ下げて後ろ4枚にして、3TOPで大宮の2CB+1SBにプレスをかける4-3-3のやり方。またこれをベースに、古長谷が一つ下がった4-4-2や、岩下が下がらない3-4-3で受ける時もあり、この辺の守備も攻撃と似て流動的 (特に左WBの岩下)。
ただ熊本のプレスを大宮がうまくいなしていたこともあり、途中からハイプレスは控えていった印象 (後述)。
そして熊本の守備の大きな特徴が徹底したマンマーク。
それぞれのマンマーク相手がはっきりしていて、マンマーク相手がボールを受けると、自分の守備ゾーンを未練なく捨てて撃退に赴いている感じ。それはサイドでも中央でも徹底していた。
そして相手がボール受ける前の状態からマンマークは始まっていて、例えばよく動く豊川やシルバのオフザボールの時の動きを見ていると、それにタンデムで熊本の選手がついていっていて、ここまで徹底したマンマーク守備をしているのも、おそらくJリーグでも熊本ぐらいなんじゃあないかなぁ?
いわきFCもマンマーク守備だったけど、ここまでは徹底していなかった感じ。
とにかくプレスのかけ方であったり、マンマーク守備であったり、攻撃だけでなく守備も選手が動きまくる流動的な熊本サッカー。
面白いサッカーを生で見られて、本当スタジアムに行って良かったと何度も思った。
試合展開 前半
前半は大宮が主導権を握る。
プレビューで書いたように、前回対戦と同じように、大宮がハイプレスを捨てて熊本にボールを持たせ、ブロック守備で待ち受けて裏抜けカウンター勝負!…で行くと思っていたが、予想に反して前から守備に行った大宮。
熊本に負けじとラインを高くして中盤中央を厚くし、サンデーのファーストプレス、豊川のセカンドプレスでCBにも圧をかけにいく。ただ、ハイプレス全振りというわけでなく、ミドルブロックとのバランスはきちんと取っていた感じ。ただ、予想以上に前から行くなーと思って見ていた。
前回対戦の事もあるので、「ボールを持たせてくれるだろう」と思っていたであろう熊本も、ちょっと想定外だったんじゃあなかったのかな?
大宮のプレスに中々得意のパスが繋がらず、前半はほとんど攻め込むことができていなかった。
前述の通りの密集攻撃をする熊本は、相手にボールを取られたネガトラ時はその密集を活かして即時奪還に動くのだが、その際の1対1において、今日は大宮がことごとく勝っていた印象。
特に豊川やシルバのところで、熊本のマークを1枚かわすことができていた。1枚抜ければ即ち熊本の密集を抜けられることにも繋がり、中央の空いたスペースをフリーで持ち運んで前進し、何度もチャンスを構築できていた (例えば10分のシルバの密集打開とか)。
そしてボールを握ったのも意外にも大宮。
今日も後ろからビルドアップする事が多く、熊本の3TOPによるハイプレスに序盤はあうが、足下は落ち着いていて、サイドに流したりボランチを絡めたりで非常にビルドアップは安定していた。後ろで回すことで結構長い距離を熊本の前線に走らせてもいて、これが後々熊本の前線の疲れにも繋げられた面もあったと思う。
最終ラインのビルドアップにおいて、前線との橋渡しをうまくしていたのが今日も豊川。勿論谷内田とシルバのボランチコンビの貢献は前提の上だが、この両者の関与は熊本も想定の内。
一方の豊川はここ数試合見せいている通り、1.5列目から積極的にボランチの位置まで落ちてきて、両ボランチが空けたパスコースを利用してボールを受けて反転、そして前進という献身的な動きを何度も見せていた。マンマークでついている熊本も、流石にここまでの豊川の動きには対応しきれなかったと思われ。
2トップの関係も良好で、例えば18分の笠原からのフィードをサンデーが胸トラップで落としたところを、的確なポジションで豊川が受け、ワンタッチでフリーのシルバに渡してチャンス構築・・・といったような素晴らしいシーンが何度もあった。
という事でプレビューでは、熊本戦はサンデーの裏抜け祭りや!と言っていたんだけど、こちらは大いに予想が外れた結果に。
サンデーの裏抜け狙いのロングボールはあまり使わず、「密集からの脱出、そして中央突破」と、「豊川とボランチを絡めたビルドアップからの中央突破」による前進を攻撃の主軸に置いていた印象を受けた。
*37分や57分の裏抜けサンデーからの惜しいシーンもあった
ただこの落ちてきた豊川らをうまく使うためには、後ろからの鋭いて縦パスが必須。縦パスといえばガブリエウだが、不在のガブ様の代わりに縦パスで魅せたのは吏音。
特に30分に(豊川へではないけど)茂木に出してチャンスまでつなげた縦パスは本当に美しかった。吏音はその直前の28分にも豊川に綺麗な縦パスを通してたりもしており、ジェフ千葉戦の失点を呼んだ縦パスのミスを全く引きずっておらず、勇気を持ってスパスパと縦パスを決めていた!
中央で運んでそのままフィニッシュまで持っていくことのみならず、中央突破後にSHの泉・津久井に預けてのサイド攻撃も怖さを見せる。
2分の津久井のキープからの泉の前節愛媛FC戦を思い起こすカットインシュートであったり、36分の泉からの針の穴を通すようなスルーパスからの豊川のシュートなど、何度も惜しいシーンを見せる。
やっぱり泉は3バックのWBより、前目に陣取れる4バックのSHの方が高い位置で1対1を多く作れてるね。
*SHの方がいいって言いたいんじゃあなく、守備力もあるからWBでも十二分に活躍できているので、チーム戦術次第でどっちにも合わせられるよねって事が言いたい
他にも高さに弱い熊本相手に、CKやFKからフリーでヘディング撃てたりもしていた。
とにかく前半は攻めまくった大宮。
一方の熊本は、大宮のプレスとミドルブロックに対してほとんど前進できず、また攻めても大宮のブロックを揺さぶるまでもいかず、攻撃面では全くといっていいほどいいところがなかった。
それは飲水タイム辺りから、前プレスを抑え気味にしてからもそう変わらず。
見るのを楽しみにしていたFW神代も、ボールを触ることすらほとんどできていなかった (シュートは後半の1本ぐらい?)。
前半はシュート数「大宮11 VS 熊本2」、ゴール期待値「大宮1.44 VS 熊本 0.05」と、データ面でも大宮の圧勝。
そのため、攻めながらも得点が取れなかった大宮としては、もったいなかったなーといった前半であった。
試合展開 後半
後半開始後はまず熊本がペースを握る。
試合後のインタビューで大木監督が後半からやり方を少し変えたと言っていたのが実ったのか、前半はあれだけ回らなかったパスが繋がるようになり、大宮陣地に攻め込めるようになっていった。
じゃあ何を変えたのか?
まだDAZN見返してないんであれだけど、前半と比べて左WB岩下を落とした4バック気味にビルドアップする回数が増えたなーとか、その時の横幅が広くなったなーとか漠然には思っていたけど、正直よくわからず。
この辺りはまだまだ熊本のサッカーの勉強不足ですな、フカク・・・。
ただ、後々の大宮の交代で、アンカー上村のケアを徹底してきていたので、このアンカーを絡めたビルドアップに熊本が手を入れてきたのかもしれない (DAZNで見返す予定)。
ということで後半戦の序盤は熊本の時間が続く。
ただ前進はできても最後のフィニッシュのところでは、大宮の4-4-2ブロックは硬く、いい形でのシュートは撃てない。
51分のミドルなどはいいシュートであったが、笠原が高いキャッチング技術で処理。あそこ弾いていたら二次攻撃を受けていたはずなので、目立たないけどいいプレーであった。
熊本ペースで15分ほど進んだ中、大宮が選手交代。サンデーと豊川の2トップを藤井とカプリーニに交代。
この交代策の目的は大きく3つと思われ。
① 前線の運動量の回復
これはいつも通り。消耗が激しい長澤サッカーで、前線の強度を持続させるため、いつも通り60分での交代。
② アンカー上村のケア
交代後は藤井が前、カプが後ろの縦関係のプレスが多くなる。この時藤井はCBに圧をかけるのだが、カプがどこにいたかというと、とことんアンカーの上村にマンマークでついていた。
後半の熊本ペースの中心が上村と考え、そこを抑えるために、上村にパス通さないぞマンの役割をカプに与えたのかなぁと現地で思っていた。
藤井とカプがCBにプレス行った時は、ボランチが上村を撃退しに行ってたので、やっぱりチームとしてアンカー潰しに行ってたと思う。
*違ってたらスミマセン
③攻撃時可変

そしてこの交代で最も変わったのが攻撃方法。守備時4-4-2ブロックは変えず、攻撃時の陣形を4-1-2-3に変えてきた。
谷内田がアンカー化してパスの出しどころとなり、シルバが一列上がってカプとIHを組む。そして泉と津久井が両翼を担う豪華布陣!
シルバの攻撃能力を活かすと共に、泉と津久井のサイド攻撃能力を発揮させる浪漫あふれる布陣に。
ヴァンフォーレ甲府戦でも見せていた、点が欲しい時の攻撃的布陣で、テツさんがリスクを多少おかしてでも点を取りに来た!
ちなみにその後、ラッソ、健勇、和田さんを入れてきたんだけど、大宮の最終形態は下図な感じに。

結果から言うと、この交代が当たる。
熊本のパスの前進を抑えることに成功 (上記①と②が大きかった?)し、徐々に大宮が押し込む展開が多くなる。
カプが動き回ってボールを受けると共に、トップに入ったラッソが体を張って熊本の最終ラインの上がりを食い止める。熊本の密集も弱まり、中盤のスペースをうまく使って大宮のパスが回るようになる。
77分のパス交換からのカプリーニのシュートや、80分の健勇の左からのクロスにラッソのヘッドなど、ゴールに迫る大宮。
*ただ大宮も中盤が若干ゆるくなり、ロングボールからカウンター気味にピンチを迎える事もあった
押し気味ならもゴールを奪えない中、スコアレスドローが頭をよぎった84分、多くの選手が絡んだ細かいパス交換から、ペナ外中央で受けた健勇が、相手DFが寄せいている中、狭い狭いシュートコースを見出し、左足で撃ったシュートが美しい軌跡で左隅のゴールネットを揺らした。
ゴール動画で解説の人(佐藤勇人さん!)が言ってた通り、和田→カプ→健勇→カプ→藤井→健勇と、交代選手が多く絡んだ劇的なゴールであった。
特にカプから藤井に当てた早い縦パスが効いていて、またカプがパス出した後にDFを引き連れてゴール前まで駆けてったことで、僅かながらシュートコースを生み出せたことがゴールを呼び込んだ。
そしてそれを決めきった健勇は流石!千両役者ですな!
最後は同点に追いつくために熊本がロングボールなどを使って前目に来るが、その圧を振り切って1-0で勝利!
★ラッソが相手3人を一人で相手にして、CK付近で鬼キープしてたのがラストのハイライト
後半の序盤は熊本が盛り返したが、シュート数「大宮18 VS 熊本9」、ゴール期待値「大宮1.71 VS 熊本 0.45」と、試合を通したらいずれも大宮が圧倒した形となった。
雑感
まず思ったのは、スタジアムに行って本当に良かったということ。
生で俯瞰で見た時の熊本のサッカーが本当に面白く、DAZNで見ただけではわからなかった色々な発見ができて、これはスタジアムに来なくちゃわからないよなぁと何度も思った (勿論理解しきれていない点なんて、まだまだいっぱいあるんだろうけど)。
熊本のサッカーが面白くて、今日の記事も長めになってしまった。
試合展開的にも、大宮が前回対戦時から陣形のみならずやり方を結構変えても、熊本の前進を食い止められていたのは好印象。最後の場面でも4-4-2ブロックは硬かった。
後半から熊本が出方を変えてきてペースを握るも、選手交代と守備のやり方(アンカーケア?)を修正して、ちゃんとペースを握り返したのもテツさんの手腕が光ったとこ。
今日も後半から出てきたクオリティの高い選手達が、前半と同等以上の圧をかけて試合を決めきったしね。そこは前節と似た感じの仕留め方であった。
点が欲しい時の4-1-2-3ももっと長い間見てみたいけど、リスクを考えたら、やっぱりビハインドの後半からの陣形だよなぁ。
あとはスタメンだったシルバ。
やっぱりシルバが真ん中にいると、中盤の強度が一段階上がる感じで、今日も体のぶつけ合いに負けず、刈り取りやセカンドボール回収に大きく貢献していた。可変後のIHでの立ち位置も、シルバの攻撃力を活かせる重要なオプションだと思われ。
今日は何個かパスミスからのピンチもあったけど、その辺りの試合勘も早く取り戻してほしいっすね。
これからのリーグ終盤戦で、まさにチームの大黒柱となってほしい!
