異星人アリサと閻魔さまのトリセツ第32話「ドクター・ミネルバの視点:イスラム教が女性に厳しいワケ」【連載小説】
真由美はスマホの画面をドクター・ミネルバに見せながら話し始めた。
「アリサに教えてもらったのですが、X(旧ツイッター)で流れていました。アリサは閻魔さまにもこの話題を振ったそうです。私は映像を見て、絶句しました。レイプされたイスラム教徒の女性が、“教えに背いた汚れた女性”という理由で死刑宣告を受け、公開処刑されたんです。イスラムの神に対する冒涜だとしても、あまりにも惨すぎませんか?世界の常識では、レイプされた側が被害者で、悪いのは加害者ですよね。なのに、男性は軽い刑で済み、女性は被害に遭っても非難されるなんて、信じられません」
ドクター・ミネルバは無表情のまま語り始めた。
「イスラム教がキリスト教をルーツに持ちながらも、女性に厳しいと感じる人は多いでしょう。これにはいくつかの理由があります。かつて、女性がエジプトを統治していた時代がありました。一般的にはクレオパトラが知られていますが、それよりも後の時代に、シャジャル・アッ=ドゥッルという女性がいました。彼女は1257年にわずか3か月間だけ統治者として君臨しましたが、その間、男性に対して厳しい処罰を行ったと伝えられています。例えば、“男性である”という理由だけで殺害を行うなど、シャジャル・アッ=ドゥッルの厳しい政策は、当時のイスラム教徒の男性たちを震え上がらせていたようです。その影響もあり、以降エジプトで女性がスルタン(イスラム世界における君主や王の称号)となることはありませんでした。また、インドでもラジア・スルタナ(1205年~1240年)という女性がスルタンとして君臨しましたが、彼女の治世は安定せず、結果的に短命に終わっています。現代のイスラム教徒の女性に対する厳罰は、過去の出来事がもたらしたトラウマに似たものが背景にあるのかもしれません。女性が再び権力を握ることで、過去の仕返しが行われるのではないかという恐れが根底にあるのでしょう。そのため、現在イスラム圏では女性のリーダーが存在しないのです。ただし、イスラム教の教えは非常に多様であり、その解釈も国、地域、リーダー、そして信者によって異なります。処罰の方法や信仰の形式も一様ではありません。イスラム教だからといって一括りにするのではなく、それぞれの背景や解釈を理解することが重要でしょう」
真由美は、ドクター・ミネルバに話を聞くまでシャジャル・アッ=ドゥッルという女性やその時代の背景について全く知らなかった。
家に帰り、AIにイスラム教徒による公開処刑について尋ねてみたが、返ってきたのは、
「その話には答えられません」
という冷たい回答だった。
◇
第33話へ続く
ここからはつり革広告のようにご覧ください🐶
14人の遺体が勝手に土葬。怪しい亡くなり方かもしれませんね。
