姫小袖 高見一力堂 島根松江 和菓子なスクチャイ082 2025.08.28
和菓子なスクチャイ082 島根 > 松江
※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。
姫小袖 高見一力堂 島根松江

<序>
基準がしっかりある三大ナンチャラ
世間には「三大なんとか」や「なんとか四天王」というふうにいろいろなものを分類する場合があり、例えば三大河川(信濃・利根・石狩)のように数字(長さ)で客観的に判断が付くわかりやすい場合もあれば、日本三景(松島・天の橋立・宮島)のようにほぼ異論はないものの基準は何やねん?とちょっと疑問に思う場合もあったり、かつての全日本プロレスの四天王(三沢光晴・川田利明・田上明・小橋建太)のようにそのうちの誰かだとメインイベントを取れたりする人気レスラーということでまあ納得する場合もある。
その点おりゃーラリアットが得意技の井上雅央は当時は四天王入りは無理であった。
(すぐプロレスが出てくるこの文章(≧∇≦))
基準があやふやな三大ナンチャラ
ところが日本三大銘菓(山川・越乃雪・長生殿)や日本三大饅頭(大手・薄皮・塩瀬)はよく言われる定説になっているが、ふと「しやけど一体どこの誰が決めたねん?」と思うこともある。
そう言われたら実際に食べてみたくなるのも人情で、吾輩もその「三大」をわざわざ手に入れて食べ比べたクチである。
でも三大饅頭を実際に食べてみたらこの程度の美味しさなら他でも食べたことがあるぞ、あそこの蒸したての温泉饅頭の方が上だぞ、などと正直なところ三大饅頭の選定基準に疑問を呈したりもした。
三大銘菓
三大銘菓はどうだろう?
粉菓子、落雁系なのでお盆や彼岸などの特別な時やお茶会などで出てきがちで普段身近に置いておいてぽりぽりかりかり食べるというお菓子ではないので特別感は大ありで、すぐにはんなりと口中で消え失せるなどという食感も普段味わっていない特別な体験で「おー!」とジャンボ鶴田のように吠えるのだった。
しかし探してみれば、例えば越乃雪や山川のような粉菓子の食感とほぼ同じで良寛さんが好んでいた「白雪糕」や「庭砂糕」や「都忘れ」もあり、見映えなども考慮すると日本三大銘菓に入ってもおかしくないと思う銘菓がいくつも存在することを知った。
つまり味や食感や見た目は客観的には評価しづらく個人趣向に委ねられるところが大きいので日本全国の銘菓の中から三大を選ぶのなんて実際には非常に困難だということがわかる。
それなのに・・・何が「三大銘菓」やねん!?
誰が決めたねん!?
と納得できない気持ちになる人は吾輩だけではあるまい。
自分で決めよう三大ナンチャラ
そうなのだ。
三大ナンチャラなどは自分で決めればいいことなのだ。
いっぱい食べてその中から自分で気に入ったものを選出すればいいだけの話だ。
しかし世間で「三大ナンチャラがある」と言われると、そこを無視して他を語りづらくなり、
「それらを知ってから語れ!」
と言われかねないから、やっぱり喰うしかないのだった。
つまり世間で「三大ナンチャラ」や「ナンチャラ四天王」と言われるだけでブランド化されたも同然でほぼ永久的に売れ続けるわけである。
広告費も特に必要なく世間的な「三大ナンチャラ」で周知され、永久機関的にひとり歩きしている商品なので製造元はホクホク顔だろう、というわけだ。
1.松江和菓子四天王
前置きが長くなったが、今回の「姫小袖」は日本三大銘菓には入っていないが菓子処松江では四天王のひとつと言われている・・・というか、四天王と言っている人がいる、そのうちひとつのお菓子なのだ。
これは吾輩が参考にしている百貨店(高島屋)の和菓子バイヤーさんが書いた本からの情報による。
(『ニッポン全国和菓子の食べある記』畑主税著・誠文堂新光社2017年)
その著者による「松江和菓子四天王」は、吾輩の本稿既出で日本三大銘菓の「山川」、今回紹介する「姫小袖」、もうすぐ紹介する「若草」、そしてこれももうすぐ紹介予定の「菜種の里」の4つだ。
この四天王は「誰」が決めているかが明白で文章にもなっているのでとりあえずはスッキリしている。
まずはその四天王を手に入れて食べてみようと吾輩は思ったわけだ。
2.姫小袖




「姫小袖」は三大銘菓と同じような粉菓子(落雁)系で、一口サイズの正方形の立体だ。基本の白地の表側三角形半分が合成着色料により濃いピンクに染められている。まあ外観は写真を見た方が早い。
3.食べた


食べた感想だが、この姫小袖もご多聞に漏れず口中で儚く消える系で三大銘菓から袖を分かったかのような同類の菓子という印象を持った。
4.価格


この姫小袖は6個入りで定価税込1,209円で元々一粒が約200円だ。
子供や味に無頓着な人にはおいそれと食べさせたくないお菓子だ。
今回吾輩は日比谷しまね館のレジ脇で賞味期限切れ間近で半額の税込604円のものを見つけて買ったのだ。
一個100円でも子供には食べさせたくない値段だが、格式のあるお茶会でなくても一個100円ならその辺に置いておいて気が向いた時に一粒摘んで口に放り込みパクリ!というような気楽な大人のお菓子にもなり得そうなのだった。
5.歴史
製造元の一力堂は創業250年を超える松江藩御用達で、旧名は三津屋だった。
箱に封入されていた小さな説明紙片によるとこの姫小袖はかつて「お留め菓子」という藩主の御用だけに作り一般には出さなかったお菓子だったようだ。
その後、一力堂の8代目が昔の木型を見つけて復活させて一般に出回るお菓子となり今に至る。
餡が入っているところが特徴なのだがあいにく吾輩は断面を撮影せずにひとくちで食べてしまった。
そういえば食べる時にあんこの風味を感じたような気がする。
粉菓子は割ったり切ったりすると散らかるので今回は断面を撮影せず、中に入っている餡を目にすることなく食べてしまったことになり、ちょっと残念な気分だ。
ちなみに表面の模様のことを綸子模様と言うようだ。
なおこの「姫小袖」はかつては「沖の月」の名で、一力堂ではその木型が残されている。
(おわり)
