吉原殿中 油屋老舗 茨城県水戸市 和菓子なスクチャイ246 2026.01.26
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※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。
吉原殿中 油屋老舗 水戸市

1.消えた和菓子屋「井熊總本家」
水戸駅から鮟鱇鍋屋さん(山翠)に歩いて行く道すがらにある、「井熊總本家」という和菓子さんを探していた。
その「井熊總本家」は水戸のもうひとつの吉原殿中の製造元と聞いていた。
先に「亀じるし」の吉原殿中を買ったが、他のメーカーのものも食べ比べてみたくなったのだ。
しかしGoogleMapで示されたその場所に立ったが何もそれらしき和菓子屋さんはなかった。
それでその場所から2-3件ほど離れた所にあった和服店に入って訊いてみることにした。
2.和服屋さんで
和服店なら同じ「和」仲間で和菓子屋さんにも詳しいだろうと思ったのだ。
広い畳敷きの立派な着物試着スペースがある高級そうな和服店の奥から応対に出て来てくれたのは着物姿の女将さん風のヴェテラン・マダムだった。
マダムは、吾輩が着物を買いに来た客ではないとわかっても、とことん親切であった。
「ああ、そういえば井熊和菓子屋さんってあったわね〜、あれは何年前だったかね〜。3年ぐらい前になるかもね〜。建物壊して今は駐車場になってるよ〜ん」
・・・_| ̄|○
またひとつ昔ながらの和菓子屋さんが消えたのだ。
それに伴い吉原殿中もひとつ消えたのだ。
・・・そこで諦めて礼を言って退店しても良かったのだが・・・
3.老舗の「油屋」を教えてもらう
なんとなく「水戸の主」のようにお見受けする和装のマダムに、ちょっと訊いてみた。
「ところで・・・吉原殿中を作って売ってる店ご存じないですか?」
「吉原殿中なら水戸駅で亀じるしの・・・」
「あ、その有名な亀じるしはさっき水戸駅に着いた時に買ったのですよ。それで他のメーカーも食べてみたいと思って探してるのです。そこで井熊和菓子屋さんがあると知って今探してたのですよ・・・」
「ワタシは油屋が好きよ〜。昔から油屋ばっかり食べてるわよ〜」
「油屋!?」
・・・妙な名前だが、ガソリンスタンドではなく和菓子屋さんとのことだ。
吾輩はマダムにその「油屋」という吉原殿中を作っている和菓子屋さんを教えてもらうと、そろそろ山翠での鮟鱇鍋の予約の時間が迫ってきたので吾輩は和服店を退店した。
油屋の場所は水戸駅の南口から東方向に2km弱で、駅から歩けば片道約30分ということがわかった。
4.「油屋」に行って買った
駅から遠く離れた印象の老舗の「油屋」がある「下市(本町)」地域はかつて水戸の商業の中心地だったそうだ。
「油屋」の周辺には今なお江戸時代を思わせるような歴史ある醤油蔵や古い商家があるようで散策するとかなり面白い地区らしいのだが、今日の吾輩は「油屋」が予定外だったこともありすでに時間ぎりぎりで、「油屋」への往復だけで他の何事にも目をくれるわけにはいかなかった。
そもそも「油屋」に来る前に、和服店のマダムは親切に「油屋」に電話してくれて、吉原殿中の在庫があることと値段まで確認してくれていたのだ。
「6本入りで720円だわよ~」
それで店頭ではスムーズな買い物が出来たわけだが、「油屋」での吉原殿中購入時点ですでに夕方の17:30だった。(写真参照)

購入後は帰りの列車の時間が気になるのと結構疲れていたので油屋さんで教えてもらった近くのバス停から水戸駅行きのバスに乗った。
(ちなみに水戸のバスの運賃支払いはSuicaは利用不可で現地のローカルプリペイドマネーしかタッチ決済できないので旅行者は現金支払いのみと思っておいた方がいい)
5.水戸駅でさらに他のメーカーを見つけた
バスに乗ると思いの外早く水戸駅に到着し、再度「エクセルみなみ」の水戸名店街のお菓子売り場を覗く時間があった。
そこでさらにふたつのメーカーの「吉原殿中」を見つけて買ったのだ。
これで今日の「吉原殿中の仕入れ」は、最初の「亀じるし」も含み合計4メーカーを手に入れたことになる。
後のふたつのメーカーは後日別記事で紹介する予定だ。
6.「油屋老舗」のいい匂いの包装紙


昔ながらの包み紙で包んでくれる感じは、熊谷でいうと「多祢仁」の雰囲気でそれだけで吾輩は気に入った。
特に昔ながらの包装紙というのは紙の匂いというか印刷の匂いというのかがとても良いのだ。
昔子供の頃、天王寺の近鉄百貨店で何か買ったらヴェテランのおねえさんが慣れた手つきでとても素早くなんでも包装紙で包んでくれて、その早業を見とれて百貨店に勤務するおねえさん達はまず包み方から習うのだろうな~、などと思っていたものだ。
そしてその包み紙の匂いが好きであった。
百貨店で買った商品からきれいにセロファンテープを剥がして包みを解いて、包装紙をきれいに畳んで保存した「束」が家の隅にあったことを覚えている。
しかし保管していた古い包装紙からはいい匂いはしなかったので、あの包装紙のいい匂いはおそらく印刷のインクの関係で、新しい紙の時にしか発さないことに気づいていた。
つまり包装紙がいい匂いなのは新鮮なときだけということだった。
今日の「油屋老舗」も、先頃の熊谷の「多祢仁」も包装紙がいい匂いだったのでそれだけでも吾輩は充分満足していたのだった。
そもそも今や世間ではいい匂いがする包装紙は滅多にお目にかかれないので、そこだけでも「油屋老舗」と「多祢仁」が貴重な存在と言えるのではないだろうか。
7.包装を解いた




そのいい匂いのする包装紙を解いた。
包装紙の中は脱酸素剤が入った密封袋でその辺は今風だった。
6本入りで税込720円なので1本当たり税込120円だ。
1本ずつはこれまた昔ながらの包装紙で飴ちゃんかラムネの包み方で簡単に包んでいただけだった。
その包装紙を解くと中から吉原殿中本体が姿を現したのだが、オブラートで包まれていたからびっくりした。最初薄紙に見えたのだ。オブラートを知らない人だと剥がすのに必死になるだろう。
吾輩もカサカサするオブラートはない方がいいと思って剥がそうとしたが、剥がせるものではなかった。物質に貼り付いたオブラートほど強力なものはない。
観念してそのまま齧り付いたが、食感的にはオブラートはほとんど気にならなかった。むしろ表面を気にしなくていいので気楽だし持ちやすかった。
もしオブラートがなければベタついたりきな粉が付いたりするので箸かフォークがいるだろう。素手では持ちたくない本体だ。
そういうことでオブラートの存在は正解で、オブラートがなければこの吉原殿中は存在し得ないと思うほどにまで納得した。
尤も今まで熊谷の五家宝も含めてオブラートで包まれていた五家宝なり吉原殿中は皆無だった。ちょっときな粉が付くのが仕方ない、といった程度で指でつまんで食べていて、それはそれで他の一般のスナック菓子と同程度であまり気にするほどのことではなかったのだ。
それだけこの「油屋」の吉原殿中が他と違ってオブラートが必要だということで、それは本体の表面のベタつきなのだった。
それだけ他と比べて水分が多いということなのだろう。
8.食べた

齧った感触が、ムニュ〜といった感じで、快適な弾力があってしかも柔らかいので軽快に食べられるのだった。
亀じるしの実演販売品のような「パリッ」「カリッ」とする「おこし」のような乾燥しきった食感があるでもなし、また熊谷の「紅葉屋」のように噛み切るのに若干力が要るということもない。
食感的にはこの大きさの本体としては今まで食べた同様のお菓子(五家宝と吉原殿中の両方を含めて)では最も口当たりのいいお菓子であった。
思うに水飴の含有量が高いのかもしれないが、表面のベタつきをオブラートでマスクすることにより食感第一に食べ心地のいい吉原殿中になっているのだった。
和服店のマダムが一番お好みというのもわかった気がした。
9.「油屋」を気に入ると困る・・・
吾輩も気に入ったが、さて、この商品を気に入ってしまって困ることは、簡単に手に入らないことなのだった。
水戸に来ることもほぼないのだが、たとえ途中下車程度でも来ることがあったとしても、駅ビルで買えるものではなく、歩けば片道30分以上の道のりを往復するか、本数が少ないので時間が読めないバスを利用するかしかない。
好きになってしまうほど、手の届かない、ほぼ幻の食べ物にも思えて来そうなのだ。
なので「亀屋老舗」の近所在住とか車ですぐに行けるところに住んでるわよ~!などと言えるような人でないと、易々とこの吉原殿中に恋焦がれることなどあってはならぬことのようにも思えてくるのだ。
もしかすると直接お店に頼んで送料を払って全国各地からお取り寄せも出来るかしれないが、吾輩の和菓子に対する基本は現地主義で、せいぜい東京のアンテナショップが許せる限界なので、「お取り寄せ」は余程の事情がない限りはするつもりはないのだ。
ともかく和服店のマダムがお気に入りのように、吾輩もこの「油屋」の吉原殿中は「亀じるし」を圧倒的に下していると思え、吾輩の基準では完璧な出来で大いに気に入った。
水戸の吉原殿中を食べるなら「油屋」だ、と吾輩は決めた。
つまり他のメーカー(今のところ「亀じるし」のみ)も美味しいには違いないが、熊谷の五家宝もあるので無理に食べなくてもいいというレベルだった。
「油屋」が熊谷の五家宝よりも圧倒していると思える点は、五家宝より一回り大きいにもかかわらずサックリと軽く食べやすいところだ。
熊谷の多祢仁の「ふとまき(太巻き)」だって大きい分本体はしまって固めだった。しかしその「ふとまき」も他の熊谷のどの五家宝よりも吾輩は気に入っているのだ。
そこに水戸の「油屋」が現れたわけだが、食感という点では熊谷で最も大好きな多祢仁の「ふとまき」を凌駕しているのだった。
しかしこれはあくまで「食感」の話だ。
ほんの残念な点かもしれないが、「油屋」の吉原殿中は他の吉原殿中(今のところ「亀じるし」の実演販売と個包装のもの)と同じように、吾輩には甘さが強いのだった。
甘さについては、熊谷のどのメーカーの五家宝でも吾輩には適度で、水戸の吉原殿中よりも甘さが控えめで食べやすいのだ。
この話はあくまで吾輩の好みでの判断なので参考に留めてほしい。嗜好は人それぞれだ。
10.「油屋老舗」の吉原殿中
「亀じるし」の吉原殿中が水戸土産としての「広報部長」だとすれば、水戸市本町(下市)にある「油屋老舗(あぶらやしにせ)」は、まさに「伝統の守護神」と呼ぶべき存在だ。
全国的な知名度よりも、地元の通や茶人に深く愛されるのが油屋老舗の吉原殿中なのだ。
10.1.「油屋老舗」のお店の凄み
創業は1704年(元禄17年)で江戸時代中期から続く水戸でも屈指の歴史を持つ超老舗だ。
観光地化された場所ではなく下町情緒の残る本町商店街にあり、その佇まいからも「守り続けてきた歴史」が伝わってくるのだった。
油屋老舗の最大の特徴は「全工程が完全手作り」であることだ。
大量生産はせず、職人がその日の温度や湿度に合わせて飴の煮詰め具合から練り上げまでを手作業で調整している。
10.2.油屋の「吉原殿中」の違い
「亀じるし」などの大手メーカーのものと食べ比べるとその違いがわかる。
油屋の吉原殿中は、驚くほどモチモチと生のように柔らかいのが特徴なのだ。
水飴の配合が絶妙で、時間が経っても硬くなりにくく、口の中で優しく解けていく。
使用するきな粉の香ばしさが一段と強く、大豆本来の甘みがしっかりと感じられる。
これはできるだけ挽きたてに近い状態で製造されている証だ。
甘さが後を引かず、お米の香ばしさと調和している。
徳川斉昭公が愛した「素朴な贅沢」を当時と同じ感覚で味わえるのは、おそらくこの「油屋」しかないのではないかと言われている。
10.3.歴史の継承「吉原さんの精神」
油屋老舗は吉原殿中のルーツである奥女中「吉原」の精神を最も大切にしているお店の一つだ。
パッケージも華美に飾らず、昔ながらのデザインを守っており、それがかえって「本物」を求める人々に選ばれる理由となっているようだ。
11.出来たてが最高
「油屋老舗」の吉原殿中を手に入れたら「買ったその日」に食べることだ。
作りたてを食べると、手作りならではのまだ飴が生きているようなあの独特の「引き」と「柔らかさ」に感動する、と水戸の「油屋」ファンは表現しているようだ。
(おわり)
