妻との出会い【後編】笑顔のその先に
彼女にフラれたあと。
彼女にフラれたことは、
すぐ大学内に知れ渡り⸻
バツの悪さから、
私はしばらく飲み会にも顔を出せず、
"自主的な謹慎生活"に入っていました。
しばらくして⸻
心配した仲間が数人、
私の部屋にやってきました。
「とりあえず飲もうぜ。
お前のフラれ話で盛り上がるから」と。
その場ではひどく笑われましたが、不思議と嫌な気持ちはありせんでした。
「でもお前、すげえよ。
自分なら絶対ムリだもん」
そんなふうに言われて、
少しだけ誇らしい気持ちになりました。
その夜⸻
私は考えていました。
『これは笑われるほどのことなんだ。
だったら、
一回フラれたくらいで諦める方が、
もったいないよな』と。
そうして、決めました。
よし!一度じゃない。
何度でも伝えよう。
今度は彼女を諦められるまで。と。
それから私は、
彼女に告白し続けました。
何度も。何度も。何度も。
既に、その頃には、
完全にネタのようになっていましたが。
私だけは、本気でした。
世が世なら、
捕まりそうですが⸻
最初のうちは警戒していた彼女も、
だんだんそれを面白がるようになっていました。
「ここで告白? 無理。
もう一回出直して」
「今日3回目なんだけど?、
あと2回で終わりね」
そんなことを言いながらも、
彼女は笑っていました。
私は、それだけでも嬉しく。
気づけば、彼氏とは彼女も、
自然消滅していました。
周囲の仲間たちも、
「え? もう付き合ってるんじゃないの?」
と、勘違いするくらい、
私たちは自然と一緒にいるようになっていました。
初めて告白してから8か月が経過。
その数はゆうに、
100回を超えていました。
それでも最後にもう一度だけ、
私は、ちゃんと気持ちを伝えようと決めていました。
これで本当に最後の告白。
ダメなら、今度こそ諦めよう。と。
彼女は、少し困ったような顔をして。
そして、静かにこう言いました。
「ごめん……やっぱ、無理」
……それでも私は、
食い下がりました。
「じゃあ、一週間だけでもいい。
お試しで付き合ってみない?」
彼女は少し考えてから、
微笑みました。
「うーん、じゃあ、
1週間だけなら」
それが私たちの、
交際の始まりでした。
あれから、
30年以上経ちますが、
今も妻は、
その“一週間だけの人"と
一緒に暮らしています。
妻との出会い【後編】
笑顔のその先に【完】
▼次の話 『結婚前夜』に続きます。
▼前回の話【前編】
▼この話が収録されたマガジンは、こちらからご覧になれます。
※この作品は『若若介護』シリーズの一部です。 シリーズの他の記事はこちらからご覧になれます。
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