破壊された心臓 【後編】
──その時の私は、
身動きすら出来ず、
床に這いつくばっていました。
大量の汗が床に滴り落ちて。
強烈な胸の痛みが、
どのくらい続いたかは分かりません。
……恐らく2分か、3分?
痛みが引き始めると、
体中から吹き出た冷たい汗で、
体温が一気に下がっていきました。
??
我に返って──
自分の体に何が起こったのか分からずに、
混乱していました。
……いったい、
何がどうなってんだ?
そのまま、
近くの医者へ駆け込みました。
検査には、数日ほど掛かり。
その結果、
出された診断名は、
【不安定狭心症】
心臓の血管が痙攣を起こし、
血液が流れなくなる病気でした。
どこの血管が痙攣するのかは分からず、
完治は不可能とのこと。
また"狭心症"の中では、
とくに突然死の原因となる厄介なもので、
発作もいつ起こるのか、
分からないようでした。
『原因は何ですか?』
と、主治医に聞けば、
『過労とストレス』
血圧や血液検査、
その他の検査結果に異常はなく。
動脈の硬化も見られないとのこと。
妻が脳出血で倒れてから、
5年あまり──
これまで仕事をしながら、
介護や家事の全てを抱え続けてきた
その体が、
──いよいよ悲鳴をあげた時でした。
『夫婦揃って、
ほんと何やってんだか……』
それが、
その時の感想でした。

破壊された心臓 【後編】
【後記】
その発作は今も続いていて、
ニトロを使いながら凌いでいます。
当時は40代でニトロを持ち歩くことに、
情けなく思うときも多々でした。
ただ、そのおかげで、
介護の形を変えることになったのは間違いありません。
残念ながらその後、
悪性の不整脈も合併しています。
いよいよと思った私が、
遺書を書いたのは51歳のときでした。
──ただただ心配だったのは、
妻の介護をどうするかだけでした。
そのときの話は、
また別の機会にできたらと思います。
2026年3月吉日
何ごともお気楽に
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