破壊された心臓 【前編】
──それは、
私の意地でした。
子ども達には、
妻のことで一ミリも負担は掛けない。
『若若介護』という、
働きながらの介護生活。
その時、
妻の『在宅介護』が始まり、
3年ほどが経っていた頃でした。
──妻が倒れてから、
その間ずっと、
家のことも全て一人で背負ってきていました。
その間の私は、
それを当たり前としか思っていませんでした。
妻がいなくても、
今まで通り。
……のはずでした。
ある日。
とうに限界を過ぎていたことも、
気づかずに。
私の体は、
とつぜん悲鳴をあげました。
その日。
いつものように、
私は自分の部屋でリモートワークをしていました。
!?
──突然
強烈な痛みを胸に感じました。
それは、これまでに、
味わったことのない感覚。
凄まじいほどの胸の激痛。
心臓を握り潰されるような
その痛みは、
背中を突き抜けるほど。
──次の瞬間、
牛に乗られたかの様な、
とてつもない重さを感じて、
ガクガクと震えだし、
床に崩れ落ちました。
……!?
ハッ、カハッ……
家には家族がいましたが、
そのあまりの苦しさに、
助けを呼ぶ声すら出せませんでした。
震える手で、
何とかスマホを握り、
119番を押そうとしましたが、
あまりの衝撃で焦点すら合わず。
頭から冷たい汗が、
滝の様に吹き出し。
その汗が髪の毛を伝い、
床に溜っていきました。
呼吸すら、
まともに出来ない中で、
……こうやって死ぬのか
そう意識しました。
──苦しみながらも、
妙に頭だけは、
はっきりしていました。
そして、それは──
私が初めて、
"死を恐怖した瞬間"でした。

破壊された心臓 【前編】
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破壊された心臓 【後編】へ続きます。
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