『破壊される家計』──何にも代えがたいもの
【反撃編 最終話】
妻が倒れた直後の私は──
「どうやって、この場を凌ぐか」しか考えていませんでした。
『働きながら介護』する自信もなく、
かといって、施設に入れる経済的な余裕もない。
正直なところ、他に道はなかった──
それが本音でした。
在宅介護が始まる前、
妻がいたのは障害者支援施設。
ただ、そこも病院と同じく、
長くはいられない場所でした。
私が『一緒に暮らす』と腹を括れたのは、
その施設で過ごす中で、
妻が口にした一言──
『早くお家に帰りたい』 でした。
当時はまだ経済的にも、
安定していたわけではなく、
不安しかありませんでしたが。
──決意しました。
子どもたちにも、
『またママと一緒に暮らすぞ』と断言し。
そこから、ようやく、
『働きながら在宅介護』を実現するための準備が始まりました。
妻は今も重い障害を抱えています。
障害者手帳1級、要介護2、
右半身完全麻痺、
高次脳機能障害、失語症残存、てんかん持ち、などなど。
24時間見守りが必要な妻との生活には、もろもろ合わせて、
年間150万円程度の介護費が掛かっています。
今もそれを支えているのは、
何よりも『仕事』であり、
そしてあの時に始めた『投資』でした。
⸻
経済的な面だけを見れば、今では、
年間の投資利益は年収を超えるようになりました。
ただ、それでも、
『投資だけで暮らしていく』
という選択をしたいとは考えていません。
仕事が好きな訳ではありません。
それでも──『働くということ』は、
介護をする上で、とても大事なことだと感じています。
たぶん、これまでも──
働かずに、介護だけの生活では、
この暮らしを続けるのは精神的に難しかったと感じています。
それでも『働きながら介護をする』という、この“かたち”を作るのは、
私たちには、やはり長い月日と労力が必要でした。
でも、
今もそれを続けられていることは、
実はとても幸せで、恵まれていると感じています。
今もこうして妻と一緒に、
『好きな夢』を見られている。
介護があったから見れる景色は、
当たり前なことは一つもありません。
けれど──そのすべては特別でした。
私たち夫婦にとって──
そのことは、
『何にも代えがたいこと』
だと思っています。

『破壊される家計』
──何にも代えがたいもの【完】
【第4章】
『破壊される家計』
──若若介護という、その現実
〈終〉
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