『破壊される家計』──静かに差す希望
【反撃編 第4話】
私は、追い詰められた時に、
家族さえ売ってしまえる人間でした。
株のデイトレードという狂気は、
これまでの全てを一瞬で終わらせる破壊力がありながら、
正しい選択に思えていました。
いざとなれば、すべてを捨てて、
自分だけ逃げ出せば良いと
──そう考えていました。
そんな狂気の日々は続かず、
抗う気力すらなくなった私は、
妻の姿を見ながら、
ふと、我に返りました。
一瞬でも、大事なものを蔑ろにした、
自戒の念を込めて。
▼前回の話は、こちらからご覧になれます。
崩れかけていた自分を、
立て直すきっかけになったのは、
やはり妻の存在でした。
日々、懸命にリハビリに取り組む姿。
言葉がまだ、ほとんど不自由なのに、
私を気遣おうとする姿。
そんな妻を見ながら、
デイトレードに夢中になっていた私は、気づきました。
『このままでは、妻と一緒に、
また夢は見られない』と。
とはいえ──その時は、
まだ危機的な状況を一時的に凌いだに過ぎず。
経済的には、とても安定しているとは、言えませんでした。
トレードを止める訳にもいかず。
けれど、デイトレードにも擦り切れていた私は、
新たに『株と上手く付き合う方法』を
見つけるしかありませんでした。
まず──
トレードの『ルール』を決めました。
・1日6回(売り買い合わせ)の取引まで
・どれだけ勝っていても、負けていても、それ以上は“絶対にやらない”
実際には、守れない日も多々ありましたが、それでも私は少しずつ、
株との付き合い方を変えていきました。
⸻
1日の中で売り買いを完結させる
“デイトレード”から、
数日〜数週間単位で売買する
“スイングトレード”へと移行。
そのおかげで、
株から意識を離す時間が生まれ、
心が少し軽くなったのを覚えています。
結果的には、この切り替えが功を奏しました。
利益も、それまでのデイトレより、
遥かに上回っていきました。
またその頃には、
2つの医療保険の給付も始まりました。
あわせて1日7,500円。
2週間ごとに振り込まれる
その入院給付金を生活費に充て。
株の利益をほぼ100%再投資に、
回す余裕も生まれました。
加えて数ヶ月後には、
高額療養費の還付金も入り。
滞っていた病院の支払いも完済することができました。
追い込まれた、あの時、
証券口座に入れた150万円は、
気づけば半年も経たずに、1,000万円を超えるまでに膨らんでいました。
地に落ちていた家計が、
一気に息を吹き返しました。
振り返れば、
あのときに、私自身が限界を経験し、
株との距離を変えたことが、
今もなお、
私たちの家族を支え続けています。
あの、どうしようもなかった日々。
その中で⸻
経済的な側面ですが、
『希望の光』は、
静かに
そして確かに──
差し始めていました。

『破壊される家計』
──静かに差す希望【完】
※次話、【最終話】
──何にも代えがたいもの
に続きます。
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