見出し画像

不安なリビングで迎える朝 ── 働きながらする『若若介護』という形


▼前回の話



“退院“した妻を、祝うはずの料理は、
そのままでした──

退院した日に、てんかんが再発。

私は早く退院させたことを、すこし後悔していました。

不安を残しつつ──
そして、いつも通りの日常が始まりました。





妻は翌朝も、十分に体調は戻っていませんでしたが、デイサービスに復帰しました。


「無理しないで、休めば?」
と声をかけても、

「体が硬くなるから行く」とのこと。


妻は相変わらず、リハビリが好きでした。


前の晩は、てんかんを再発した妻を早めに寝かせましたが、
私は気がかりで、ほとんど眠れないまま朝を迎えました。


朝食を用意し、デイサービスの送迎車を見送り、燃えるゴミを出し、リビングを掃除してから、

私も仕事へ向かいました。


それは、
いつもと変わらない朝──



ただ、ひとつ違うのは、
またいつ、てんかんが再発するか分からないという不安と、

妻の身体がまだ完全には回復していないという現実が、常に頭の片隅にあったことでした。


デイサービスには事前に電話をして、
現在の妻の状態と、
とくに気をつけてほしい点を伝えておきました。


何かあれば連絡が来るのは、いつものこと。


けれど、その日の私は仕事中も──
ずっとスマホが鳴らないかを気にしていました。


ーーー


仕事を終えて帰宅すると、
妻はいつも通り、リビングでニコニコしながらテレビを観ていました。

スーツを着替え、ソファでひと息つくと、

妻はいつものように、
今日あったことを一生懸命に話し始めました。




妻の姿が目の届くところにいれば安心。
そうでなければーーー

仕事をしていても気が気ではありません。


これが、働きながら介護する、
“若若介護というもの“なんだろうと思います。

でも、それは決して、
「大変なもの」でも「嫌なもの」ではなく。


ーーー


妻が入院するたびに、いつも思います。

うちは、普通の家庭よりも、
少しだけ妻を気にかけたり、心配することが多いだけ。



むしろ私にとっては──

そのことこそが、
"かけがえのないもの"であり、

それがない暮らしの方が、
ずっと"寂しいもの“だと思っています。



妻が脳出血で倒れた、あの時から、
10年が経とうとしていますが、何も変わらずに──


私は今も、
妻の心配ばかりしています。


不安なリビングで迎える朝 ── 働きながらする若若介護という形【完】



▼この話のシリーズのマガジンはこちら


▼この話は、『若若介護』シリーズの一編です。全体構成【目次】はこちら

いいなと思ったら応援しよう!

何ごともお気楽に よろしければ応援とフォローをお願いします。 チップはクリエイターとしての活動費にいたします!