『妻の退院』──不安なリビング
▼前回の話
「退院した」という言葉だけでは、安心できない現実。
わずか一週間の入院──
日常に戻るには、あまりに脆く、不安な時間が待っていました。
2025年6月某日
てんかん重積により、救急搬送された妻が退院しました。
およそ一週間の入院でした。
ただ、妻の言葉や身体は、まだ十分に回復しておらず──
本来であれば、もう2〜3日入院して様子を見る選択もありましたが、
「早く家に帰りたい」と願う妻と、
"私自身の気持ち"もあって、退院を早めることにしました。
主治医からは、脳波にてんかんの兆候は残っているものの、すでに沈静化が進んでいること、
薬の量を調整すれば、自宅での経過観察も可能との判断をいただいていました。
ーーー
病院からの帰り道。
「退院のお祝いに、美味しいものを食べようか」と、妻と話していました。
私は外食を考えていましたが、
妻は「家でゆっくりしたい」とのこと。
たしかに、退院直後に外出するのは負担も大きいと思い、
私は妻を一度家まで送り届けたあと、
妻の食べたがっていた料理と、お祝いのケーキを買いに出かけました。
帰宅すると、妻は変わらぬ様子で待っていてくれました。
ケーキも楽しみにしている様子で。
私は夕食の支度をし、
ふたりで食卓を囲み始めました。
ところが──
しばらくして、妻の様子が変わりました。
さっきまでの笑顔はなくなり、箸がとまり、黙ってうつむき始めました。
てんかんの再発──
私はすぐに妻をベッドに寝かせて、
静かに休ませました。
妻はそのまま眠りましたが、
その隣で私は、退院を早めたことを少し後悔していました。
──まだ、早すぎたのかもしれない
結局、
妻は食べたかった料理を、
ほとんど食べることができず。
楽しみにしていたケーキにも、
手をつけることはできませんでした。
妻の横で、私はひとり、
ただただ不安な夜を過ごしていました。

『妻の退院』──不安なリビング【完】
▼この話は続きます。
▼このシリーズのマガジンはこちら
▼この話は『若若介護』シリーズの一編です全体構成【目次】はこちら
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援とフォローをお願いします。
チップはクリエイターとしての活動費にいたします!