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労働時間規制緩和と高市早苗総理と日本成長戦略会議 労働市場改革分科会

高市早苗総理は働き方改革関連法(労働基準法など)を見直し、労働時間(上限)規制を緩和する方針で、日本成長戦略会議(議長・高市早苗総理)労働市場改革分科会(会長・厚生労働大臣)で議論することに。


日本成長戦略会議

日本成長戦略会議とは

内閣官房ホームページによると「リスクや社会課題に対し、先手を打った官民連携の戦略的投資を促進し、世界共通の課題解決に資する製品、サービス及びインフラを提供することにより、更なる我が国経済の成長を実現するため、内閣に、日本成長戦略本部を設置」し、さらに「我が国経済の成長を実現するため、その具体化に向けて、日本成長戦略本部の下、日本成長戦略会議を開催」するとのことです。

つまり、日本(にっぽん)成長戦略会議とは、高市早苗内閣のもとに日本成長戦略本部が設置され、その日本成長戦略本部に日本成長戦略会議が置かれ、国の経済成長実現の具体化のために新設された会議になりますが、議長は高市早苗内閣総理大臣になります。

日本成長戦略会議メンバー
日本成長戦略会議のメンバー(構成員)は、まず閣僚メンバー(構成員)は高市早苗・内閣総理大臣(議長)、木原稔・内閣官房長官(副議長)城内実・日本成長戦略担当大臣(副議長)、小野田紀美・内閣府特命担当大臣(経済安全保障)、片山さつき・財務大臣、上野賢一郎・厚生労働大臣、赤澤亮正・経済産業大臣、小泉進次郎・防衛大臣、その他に議案に応じた国務大臣とされています。

また有識者メンバー(構成員)は会田卓司・クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト、伊藤麻美・日本電鍍工業株式会社代表取締役、 遠藤典子・早稲田大学研究院教授、片岡剛士・PwCコンサルティング合同会社上席執行役員・チーフエコノミスト、小林健・日本商工会議所会頭、 鈴木一人・東京大学公共政策大学院教授、竹内純子・国際環境経済研究所理事・主席研究員、筒井義信・日本経済団体連合会(経団連)会長、橋本英二・ 日本製鉄株式会社代表取締役会長兼CEO、平野未来・株式会社シナモン代表取締役社長CEO、松尾豊・東京大学大学院工学系研究科教授、芳野友子・日本労働組合総連合会(連合)会長が選べれています。

日本成長戦略本部・日本成長戦略会議(内閣官房)

第1回 日本成長戦略会議

第1回の日本成長戦略会議は昨年(2025年)11月10日に総理官邸で開催され、議題は(1)会議の運営について、(2)官民連携での投資促進について、(3)総合経済対策に盛り込むべき重点施策(案)について。

総合経済対策に盛り込むべき重点施策(最終案)には「働き方改革関連法施行後5年の総点検として、業種・規模毎の状況、労使のニーズ等について、実態把握を実施。調査結果を踏まえ、心身の健康維持と従業者の選択を前提に、労働時間法制に係る政策対応の在り方を多角的に検討」と記載されています。

日本成長戦略会議メンバー意見
日本経済団体連合会(経団連)会長の筒井義信メンバー(構成員)提出資料には「健康への十分な配慮を前提とした、柔軟で自律的な働き方を可能とする労働時間法制への見直し裁量労働制の拡充)」と書かれ、安倍政権のころから経団連が主張してきた裁量労働制の拡大を求めています。

また日本労働組合総連合会(連合)会長の芳野友子メンバー(構成員)意見書には「(重点施策案に)『心身の健康維持と従業員の選択を前提に』との記載があるが、真の『働き方改革』を実現するためには、心身の健康維持のみならず、仕事と生活の調和をはかり、性別や働き方にかかわらずすべての労働者に豊かな生活時間が保障されることが不可欠である。また、労使の力関係の非対称性を鑑みれば、労働者が真の自由意思で働き方を選択できるのかという点については強い懸念がある」「労働時間規制は、労働者の命と健康を守る重要な規制であり、例え『心身の健康維持と従業者の選択』が前提にあったとしても、過労死ラインの水準である現行の時間外労働の上限規制や裁量労働の拡大をはじめとした労働時間法制の規制緩和を行うべきではない」などと書かれています。

しかし高市早苗総理の「とりまとめ発言」には連合会長の芳野友子メンバーの意見を無視するかのように「来年(2026年)夏の成長戦略の取りまとめに向けて、より一層御尽力を賜りますよう、また御協力を賜りますよう心よりお願いを申し上げます」と記載されていました。

第2回 日本成長戦略会議

第2回の日本成長戦略会議は昨年(2025年)12月24日に総理官邸で開催され、議案は(1)成長戦略の検討体制、(2)分野横断的課題への対応の方向性。

労働市場改革分科会新設のメンバー選任
資料(成長戦略の検討体制)によると、労働市場改革分科会が新設され、分科会会長は厚生労働大臣、分科会会長代理は厚生労働副大臣、政務官、分科会メンバー(構成員)は石﨑由希子・横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授、伊藤仁・日本商工会議所専務理事、片岡剛士・PwCコンサルティング上席執行役員・チーフエコノミスト、近藤絢子・東京大学社会科学研究所教授、坂本貴志(株)インディードリクルートパートナーズ・リクルートワークス研究所研究員、神保政史・日本労働組合総連合会(連合)事務局長、中根弓佳・サイボウズ(株)執行役員・人事本部長、水島郁子・大阪大学大学院高等司法研究科教授、室賀貴穂・九州大学大学院経済学研究院准教授、藤原清明・日本経済団体連合会専務理事、山田久・法政大学教授。

労働市場改革分科会の目的
また資料(分野横断的課題への対応の方向性)には「働き方改革関連法施行後5年の総点検調査の結果を公表(26年1月目途)」「柔軟な労働時間制度を含む現行制度の周知、中小企業の36協定締結及びその活用に向けた支援の検討(~26年夏)」「良好な労働環境の整備、働く者の意欲・能力の発揮の観点から、心身の健康維持と従業者の選択を前提に、労働時間法制に係る政策対応の在り方等について、多角的に検討(26年夏に進捗を整理)」「女性活躍を加速化する企業向けアウトリーチ・伴走型支援の在り方の検討(26年度~)」「女性の健康課題に取り組む企業を評価する仕組み、女性の就業環境の改善に資するハラスメント対策の在り方の検討(~26年夏)」「第3号被保険者の実情に関する調査研究・在り方の検討(継続)」「70歳までの就業確保や処遇改善に向けた『65歳超雇用推進助成金』の拡充(26年度~)」「年齢にかかわらず健康状態に合わせ活躍できる機会を創出するシルバー人材センター等の取組の推進(継続)」と書かれれています。

日本成長戦略会議メンバー意見
日本商工会議所会頭の小林健メンバー(構成員)提出資料には「時間外労働の上限規制については、運輸、宿泊・飲食、建設等の特定業種で、特に人手 不足を理由に対応困難な状況。業種毎の実情を踏まえ、実態にそぐわない上限規制の見直し、労働者の健康管理を前提としたより柔軟な働き方を可能とする法制度が必要」と記載されています。

また経団連会長の筒井義信メンバー(構成員)は提出資料に「柔軟で自律的に働ける環境を整備し、働き甲斐を高めるため、労働時間ではなく成果で処遇される制度を広げること= 裁量労働制の拡充が必要」と前回(第1回)と同様に裁量労働制の拡大を求めています。

また同じ資料の中に裁量労働制見直しの具体策として「健康確保を前提に過半数労働組合がある企業に限り、裁量労働制の対象業務を、一定の範囲で拡大」と記載されています。

日本成長戦略会議(第2回)筒井委員(経団連会長)提出資料(PDF)
*裁量労働制の対象拡大については筒井委員提出資料(PDF)6~8ページに記載されています。

第2回 日本成長戦略会議(経団連会長)筒井委員提出資料

日本成長戦略会議が開催された昨年(2025年)12月24日には労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)労働条件分科会も開催されています。

裁量労働制については(本来)この労働条件分科会で議論すべきです。また(事実)この労働条件分科会で裁量労働制について長い間、議論されてきました。そして12月24日にも議論されました。(この記事の中でも今までの委員の意見や12月24日の労働条件分科会での議論は紹介しています)

この日の資料によると、裁量労働制の対象拡大について労働条件分科会の使用側委員は「国際競争力の向上や付加価値の創出の観点からも、働き手一人一人の能力発揮を促すことが我が国の課題であり、裁量労働制の拡充が必要。労使の対等かつ十分な協議や適切な健康確保措置、適正な報酬を条件とし、過半数労働組合との合意のも で裁量労働制を適用するにふさわしい対象業務(例:プロジェクト型業務や他社の事業に関する企画、立案、調査及び分析の業務)の範囲を決められるような仕組みの導入の検討を行うべき」と意見を述べています。

この意見に対して労働条件分科会の労働側委員は「国際競争力の向上は、産業政策等で対応すべきものであり、労働法制の緩和で実現すべきものではない。 裁量労働制が本来の趣旨に沿った運用が徹底されることが重要であり、 要件の緩和は行うべきではない」と反論しています。

また労働条件分科会の資料には労働側の意見として「労使合意により対象業務を決定できる仕組みは、労働基準法の強行法規性を放棄することにも繋がりかね ない」とも書かれています。

そして日本成長戦略会議(第2回)資料によると、連合会長の芳野友子メンバー(構成員)の意見書には「『分野横断的課題』には、『労働市場改革』を中心に雇用・労働に関する検討項目が含まれているが、雇用・労働に関する政策は職場実態を熟知した労使が知恵を出し合い、議論・決定することが不可欠である。また、労使に政府または公益を加えた三者が政策の決定プロセスに関与する『三者構成原則』はグローバルスタ ンダードであり、日本において『三者構成原則』を具現化している場が労働政策審議会であることを踏まえれば、その議論が尊重されるべきである」「とりわけ『労働市場改革』で言及されている『働き方改革関連法施行後5年の総点検』や『労働時間法制に係る政策対応の在り方』などは、すでに労働政策審議会において2025年初よりおよそ1年をかけて慎重かつ丁寧に議論が積み重ねら れている。成長戦略の検討においても、労働政策審議会における議論を尊重した対応がはかられるべきである」と書かれています。

そして高市早苗総理の「とりまとめ発言」では芳野メンバーの意見は前回と同様に特にふれず、「労働市場改革については、心身の健康維持と従業者の選択を前提として、柔軟で多様な働き方を実現することが重要です。必要に応じ追加調査を実施するなど、現場のニーズを更にきめ細かく把握しながら、規制改革会議などの関係機関とも連携して、労働時間規制の運用・制度の両面から、検討を加速してください」と担当大臣への支持のみが記載されています。

労働政策審議会分科会委員が苦言

労働政策審議会(労政審)労働条件分科会

働き方改革関連法見直しや労働基準法改正を議論してきた厚生労働大臣諮問機関の労働政策審議会(労政審)労働条件分科会が昨年(2025年)12月24日に開催されました。

アドバンスニュース(労基法改正の「通常国会提出見送り」報道を受け、労使苦言 労政審労働条件分科会)は「労働条件分科会(山川隆一分科会長)は24日、『多様な働き方に対応した労働基準法の見直し議論』を続行し、労基法における労働時間法制について公労使が意見を交わした。冒頭、労働者側委員は次期通常国会に労基法改正法案の提出を見送るとする報道に言及し、『労働時間規制緩和の検討を日本成長戦略会議で進めるためとのことだが、労働政策は公労使の三者構成がグローバルスタンダードであり、労政審が官邸の下請け機関になってはならない』と指摘。使用者側委員も『三者構成の重要性に関する指摘があったが、全くその通り』と呼応した」と報じています。

厚生労働大臣記者会見

厚生労働省ホームページによると、上野賢一郎・厚生労働大臣は昨年(2025年)12月26日の記者会見において「先日24日に開催された第2回日本成長戦略会議において、今後、私を分科会長とする労働市場改革分科会が設けられました。ここにおいては、生産性の高い分野への円滑な労働移動や働き方改革を含めた労働市場改革について、議論を行うこととされています。今後行われるこの分科会での議論の状況も踏まえて、また、労働政策審議会において、公労使の委員の皆様にも具体的に議論いただきたいと考えています。令和8年(2026年)通常国会での法案提出は、現在のところ考えていませんが、今後、必要な中身について具体的に検討を進めていきたいと考えています」と発言しています。

労働時間(上限)規制などの議論は日本成長戦略会議・労働市場改革分科会と労働政策審議会・労働条件分科会の双方で議論するが、2026年の通常国会に厚生労働省としては労働基準法などの改正法案提出は見送る方針ということらしいです。

追記:経団連と厚労大臣が裁量労働制拡大を

高市早苗総理は安倍晋三元総理ができなかった裁量労働制(対象)拡大を目指し、また高市総理議長の日本成長戦略会議で経団連会長が裁量労働制の拡充(拡大)を提言しています。 なお、議論は上野賢一郎厚生労働大臣が会長の労働市場改革分科会で行われますが、分科会開催前に厚生労働大臣と経団連がチャッカリ懇談してますね。

経団連会長「裁量労働制の拡充が欠かせない」
日本経済新聞は「経団連の筒井義信会長と上野賢一郎厚生労働相は(2026年1月)19日、都内で会談した。経団連の呼びかけで実現したもので、会談は約19年ぶり。高市早苗政権が検討する労働時間規制の緩和などを巡って意見を交わした。筒井氏は『裁量労働制の拡充が欠かせない』として対象業務の拡大を求めた」(『経団連会長、厚労相と19年ぶり会談』2026年1月20日配信)と報じています。

裁量労働制拡大は日本成長戦略会議分科会で議論
今年(2026年)1月23日に行われた上野厚生労働大臣の会見で、記者が「先日の経団連との懇談会について伺います。懇談会において要望のあった裁量労働制の拡充については、どのような対応が必要とお考えでしょうか。また、懇談会の受け止めもお願いします」と質問しています。

この記者質問に対して上野大臣は「先般の経団連との懇談会においても、裁量労働制について、先方から、適用拡大についての企業側のニーズといったものについてのお話がありました」「また、その中で、やはり労働者の健康確保ということを大前提に考えているといったコメントもあったと承知しています」「やはり裁量労働制については、一方で審議会等においても長時間労働を助長しかねないといった声もあるので、今後検討するに当たっては、濫用防止措置や代替措置も含めて議論していく必要があるのではないかと考えています」と答えています。

そして上野大臣は「いずれにしても、労働時間規制については、日本成長戦略会議の下に設けられた労働市場改革分科会で議論を進めることになるので、そうした状況も踏まえて、労働政策審議会においても、具体的な議論をしていきたいと思います」と述べています。

これは、日本成長戦略会議(議長は高市総理)労働市場改革分科会(分科会長は上野厚生労働大臣)で議論した結果を「公労使同数」の労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)労働条件分科会が配慮しながら議論しなければならないということでしょうか、よく理解できません。

追記:労働市場改革分科会の新たな記事投稿

日本成長戦略会議 労働市場改革分科会について時系列に整理した新しい記事を本日(2026年2月1日)投稿しました。

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