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高市総理の施政方針演説と裁量労働制の見直し(対象拡大)

本日(2月20日)高市早苗総理が国会で初の施政方針演説を行い、「働き方改革の総点検においてお聞きした働く方々のお声を踏まえ、裁量労働制の見直し」と述べています。


厚生労働大臣への高市総理・指示書

読売新聞の記事(高市首相の全閣僚への共通指示と個別の指示の内容…第2次内閣発足に合わせた指示書の全容判明)によると、高市早苗総理は(2026年)2月18日の第2次内閣発足に合わせて各閣僚に指示書を渡しましたが、全閣僚の共通指示と個別の指示がされていました。

上野厚生労働大臣への支持に「経産相をはじめ関係大臣と協力して、付加価値を高める労働への転換、リ・スキリングやデジタル技術の活用を後押しし、労働生産性を向上させるとともに、意欲のある高齢者の就労を支援し望まない非正規雇用をなくすための改革を実施する」「あわせて、経産相や賃上げ環境整備担当相をはじめ関係大臣と協力して、賃上げに向けた環境整備を加速させる」と。

また「規制改革相をはじめ関係大臣と協力して、心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制の緩和の検討を行う」と指示されていました。

そして「経産相をはじめ関係大臣と協力して、働き方改革を推進するとともに、多様な働き方を踏まえたルール整備を図ることで、安心して働くことができる環境を整備する。関係大臣と協力して、高齢者・女性・障害者・外国人の就労促進など、支え手を最大限増やす取り組みを進める」と、高市総理から上野厚生労働大臣に個別の支持がありました。

つまり、高市総理は上野厚生労働大臣に「心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制の緩和の検討を行う」こと、「多様な働き方を踏まえたルール整備を図る」ことを指示しています。

なお、昨年(2025年)12月24日に高市早苗総理は日本成長戦略会議(第2回)を総理官邸で開催しましたが、その会議で高市早苗総理は「労働市場改革については、心身の健康維持と従業者の選択を前提として、柔軟で多様な働き方を実現することが重要」と述べています。

裁量労働制の見直し(高市総理)

時事通信は「高市早苗首相は(2026年2月)20日午後、衆参両院の本会議で、初の施政方針演説を行う。安倍政権下でスタートした『働き方改革』に関し、裁量労働制の見直しなど労働規制改革に取り組む考えを提起。経済成長を促すため、副業・兼業への健康確保措置の導入やテレワークといった幅広い働き方を促す見通しだ」(高市首相、「裁量労働制」見直し提起 初の施政方針演説)と報じています。

記事にある「裁量労働制の見直し」とは裁量労働制の対象拡大を意味しています。経団連はそれを裁量労働制の拡充と呼んでいます。

第2回 日本成長戦略会議(経団連会長)筒井委員提出資料

裁量労働制拡充に反対(芳野連合会長)

毎日新聞は「(労働組合の)連合の芳野友子会長は(2月)19日の記者会見で『裁量労働制の拡充(対象拡大)は働く者の命と健康に悪影響を及ぼすリスクがあるとの考えから、断固として反対の立場だ』と述べた。高市早苗首相が労働時間の規制緩和の検討を指示し、経済界(経団連)からも裁量労働制の拡充を求める声がある中、『働き方改革』を見直す動きにクギを刺した」(連合会長「裁量労働制拡充に反対」 高市首相らの見直し論にクギ)と報道しています。

また、その記事には「芳野氏は裁量労働制について『厳格かつ適正な運用が確保されなければ、長時間労働を招きかねない』と指摘。制度を導入している現場からは『一部で長時間労働が常態化している』『残業代逃れの手段として使われている』などの声が届いているとして『運用がとても難しいと聞いている』と話した」とも書かれています。

裁量労働制見直しに向け検討(施政方針演説)

高市早苗総理は2月20日午後の衆議院本会議で、就任後初となる施政方針演説を行いました。

読売新聞の記事(高市首相「責任ある積極財政」推進を表明、就任後初の施政方針演説…「政策のあり方を根本的に転換する」と宣言)には、「政策のあり方を根本的に転換する」、また「責任ある積極財政」などを推進する決意を示し、そして「裁量労働制の見直しに向けた検討を進める」とも述べたそうです。

また、テレ朝NEWS(成長のスイッチを押して、押して…高市総理が連呼 初の施政方針演説)は、高市総理が施政方針演説で「働く人の声を踏まえ裁量労働制の見直しや、副業・兼業にあたっての健康確保措置の導入など柔軟な働き方の拡大に向けた検討を進める」と述べた、と報じています。

そしてABEMA TIMES(高市総理が施政方針演説「とにかく成長のスイッチを押して、押して、押して、押して、押しまくってまいります」 来年度予算の早期成立・裁量労働制の見直しにも言及)は、「働き方改革の総点検においてお聞きした働く方々のお声を踏まえ、裁量労働制の見直し、副業・兼業に当たっての健康確保措置の導入、テレワークなどの柔軟な働き方の拡大に向けた検討を進めます」とした、と報じています。

これまで引用した記事の中ではABEMA TIMESのみが、高市総理が施政方針演説の中で「働き方改革の総点検」という言葉を用いたとしています。

働き方改革の総点検調査とは

働き方改革関連法附則12条とは
まず働き方改革関連法(正式名称「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」)は安倍政権の時の2018年に成立し、2019年から順次施行されている法律です。

この働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)附則第12条第1項及び第3項において働き方改革関連法による改正後の労働基準法等について、その施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずると規定されています。

石破内閣が2025年6月13日に閣議決定
2025年9月4日の労働政策審議会 労働条件分科会 資料によると、石破政権の『経済財政運営と改革の基本方針2025』(2025年6月13日閣議決定)に「働き方改革関連法施行後5年の総点検を行い、働き方の実態及びニーズを踏まえた労働基準法制の見直しについて、検討を行う」と記載されています。

また石破内閣の『新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版』(2025年6月13日閣議決定)には「誰もが健康で、意欲と能力を発揮して働きやすい労働環境の下で生産性の高い多様で柔軟な働き方を推進す るとともに、働き方改革関連法施行後5年の総点検を行い、働き方の実態とニーズを踏まえた労働基準法制の見直しについて労働政策審議会で検討する」と書かれています。

働き方改革の総点検調査内容
2025年9月4日の労働政策審議会 労働条件分科会 資料によると、働き方改革の「総点検」調査は2025年7年9月を目途に、次の(1)(2)の調査を実施し、調査結果は11月目途に公表予定ということでした。

(1)アンケート調査
労働者の労働時間に関するニーズを把握。労働時間を<減らしたい・現状のままでいい・増やしたい>労働者の割合、今どれくらい働いているか、希望する労働時間数<減らしたい・現状のままでいい・増やしたい(上限規制の手前でもう少し働きたい・上限規制を超えて働きたい)>など。
対象者:モニター調査会社に登録している労働者
調査項目 :所定労働時間、総労働時間、希望する労働時間数とその理由 等

(2)ヒアリング調査
上限規制への対応状況、課題認識などについて「生の声」を把握。
対象者:企業及び労働者に対し、労働局により実施
調査項目
企業ヒアリング:上限規制への対応状況、上限規制の施行による課題認識、その他労働時間制度に関する要望 等
労働者ヒアリング:時間外労働の実態、上限規制についての認識、収入や働き方に対する希望、労働時間規制に関する課題認識 等

なお、自民党の雇用問題調査会は昨年(2025年)10月7日に、労働基準関係法制に関する議論の状況について厚生労働省から説明を受けて意見交換していました。

自民党の公式サイトを読むと、この日の雇用問題調査会で厚生労働省は「働き方改革関連法の規定に基づき、同省の労働政策審議会において労使双方から意見を聞く等して、労働基準法等の見直しに向けた議論を行っていると説明した」と書かれています。(しかし現時点では労働政策審議会には報告されていないようです。)

高市内閣「日本成長戦略会議」資料には
しかし高市早苗氏が昨年10月21日に開催された臨時国会の首班指名選挙にて内閣総理大臣に選出・任命されると、働き方改革の「総点検」調査をめぐる状況は一変します。

10月22日には上野厚生労働大臣がは会見で就任挨拶をし、高市総理から「心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制の緩和の検討を行うこと」「働き方改革を推進するとともに、多様な働き方を踏まえたルール整備を図ること」など指示されたと述べています。

そして昨年12月24日に開催された日本成長戦略会議(議長は高市早苗総理)の(繰り返しになりますが)資料(『分野横断的課題への対応の方向性』内閣官房 日本成長戦略本部事務局)の項目5「労働市場改革」に「「働き方改革関連法施行後5年の総点検調査の結果を公表(26年1月目途)」と記載されています。(しかし働き方改革関連法施行後5年の総点検調査の結果は現時点では公表されていないようです。)

第2回 日本成長戦略会議資料『分野横断的課題への対応の方向性』
5.労働市場改革 (2)労働参加の確保
・働き方改革関連法施行後5年の総点検調査の結果を公表(26年1月目途)。

働く方々の声が裁量労働制見直し根拠

本日(2月20日)の施政方針演説で高市総理「働き方改革の総点検においてお聞きした働く方々のお声を踏まえ、裁量労働制の見直し、副業・兼業に当たっての健康確保措置の導入、テレワークなどの柔軟な働き方の拡大に向けた検討を進めます」と述べられたそうです。

しかし、働き方改革の調査結果が(2月20日時点)私の知る限りは公表されていないため、高市総理が施政方針演説で語った裁量労働制見直し根拠「働く方々」の声が不明確のままです。一日でも早く「働き方改革の総点検調査」結果を公表していただきたいと思います。

*働き方改革の総点検調査について詳しくは次の記事をお読みください。

追記:高市総理の施政方針演説全文から抜粋

読売新聞(オンライン)の記事(高市首相の施政方針演説全文)には「働き方改革の総点検においてお聞きした働く方々のお声を踏まえ、裁量労働制の見直し、副業・兼業に当たっての健康確保措置の導入、テレワークなどの柔軟な働き方の拡大に向けた検討を進めます」と記載されています。

(官民連携による投資促進)
高市内閣の成長戦略では、供給力強化を目的に、先端技術の社会実装の実現を重視しながら、事業者の予見可能性を高める大胆な措置を講じていきます。

量子、航空・宇宙、コンテンツ、創薬などの17の戦略分野については、大胆な投資促進、国際展開支援、人材育成、研究開発、産学連携、国際標準化、防衛調達を含む官公庁による調達、規制・制度改革といった、供給及び需要の両面にアプローチする多角的な観点からの総合支援策を講じます。特に、先端技術や成長が期待される分野の官民投資ロードマップについて、来月から提示していきます。

これを、八つの横断的課題の解決策を検討する材料とします。そして、その解決策や政府支援策を踏まえ、どれだけ民間投資が促進されるか。この夏に取りまとめる「日本成長戦略」で定量的に明らかにするとともに、GDPの伸びや税収増への寄与についても見通せるようにします。

貯蓄から投資に向けた「資産運用立国」の取り組みを深め、国民の皆様の安定的な金融資産形成を促します。そのことにより、賃金以外を含めた国民所得向上及び国内投資活性化につなげていきます。

さらに、コーポレートガバナンス(企業統治)の在り方を見直し、企業の長期的な成長に資する人的投資や新事業への投資がより積極的に行われるよう、株主への還元も含めた企業の資源配分戦略を成長志向型に変容させていきます。

また、働き方改革の総点検においてお聞きした働く方々のお声を踏まえ、裁量労働制の見直し、副業・兼業に当たっての健康確保措置の導入、テレワークなどの柔軟な働き方の拡大に向けた検討を進めます。

とにかく成長のスイッチを押して、押して、押して、押して、押しまくってまいります。 

読売新聞オンライン『高市首相の施政方針演説全文』

高市首相の施政方針演説全文(読売新聞オンライン)

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