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高市早苗総理の裁量労働制拡大とは

高市早苗総理は成長戦略として裁量労働制の対象拡大を推進しています。具体的には日本成長戦略推進会議(議長は高市総理)労働市場改革分科会(会長は厚生労働大臣)で議論されます。


高市早苗総理と日本成長戦略会議

昨年(2025年)12月24日に高市早苗総理は日本成長戦略会議(第2回)を総理官邸で開催しました。

その会議で高市早苗総理は「労働市場改革については、心身の健康維持と従業者の選択を前提として、柔軟で多様な働き方を実現することが重要」と述べています。

「心身の健康維持」を前提ということですが、裁量労働制は長時間で不規則な勤務を社員に強いることになり「心身の健康」を維持することは難しいことですが、具体的な健康確保措置についてふれられていません。

また「従業者の選択」を前提ということですが、本当に社員やの自由な意思によって「柔軟な多様な働き方」を選択することができるのか、会社が社員一人一人に個別に意思を確認するようなことが可能かどうか疑問です。

日本成長戦略会議(令和7年12月24日「総理の一日」)首相官邸公式サイト

第2回 日本成長戦略会議(議長は高市早苗総理)

経団連と裁量労働制の対象拡大

高市早苗総理が「心身の健康維持と従業者の選択を前提として、柔軟で多様な働き方を実現することが重要」と発言された第2回の日本成長戦略会議に経団連(日本経済団体連合会)会長の筒井義信委員が提出した資料は『「裁量労働制の拡充」に向けた 経団連の考え方』と題されています。

その資料『「裁量労働制の拡充」に向けた 経団連の考え方』には、「柔軟で自律的に働ける環境を整備し、働き甲斐を高めるため、労働時間では なく成果で処遇される制度を広げること=裁量労働制の拡充が必要」と書かれています。

また同じ資料の中に裁量労働制見直しの具体策として「健康確保を前提に過半数労働組合がある企業に限り、裁量労働制の対象業務を、一定の範囲で拡大」と記載されています。

高市総理は「心身の健康維持」を前提ということでしたが、経団連は「健康確保」前提にということです。高市総理も経団連も具体的な健康確保措置を示していません。

そして経団連は「過半数労働組合がある企業に限り」としていますが、社員に個別の同意を得なくても過半数労働組合の賛同を得ることができると、裁量労働制を適用することができるということです。

なお、資料『分野横断的課題への対応の方向性』に「柔軟な労働時間制度を含む現行制度の周知、中小企業の36協定締結及びその活用に向けた支援の検討(~26年夏)」とあります。

「中小企業の36協定締結及びその活用に向けた支援」とは、過半数労働組合がある場合限定「裁量労働制の対象拡大」をひろめるための高市政権の重点政策ではないかと考えられます。

日本成長戦略会議(第2回)筒井委員(経団連会長)提出資料(PDF)
*裁量労働制の対象拡大については筒井委員提出資料(PDF)6~8ページに記載されています。

第2回 日本成長戦略会議(経団連会長)筒井委員提出資料
第2回 日本成長戦略会議資料『分野横断的課題への対応の方向性』
5.労働市場改革 (2)労働参加の確保

なお、日本成長戦略会議が開催された昨年(2025年)12月24日には労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)労働条件分科会も開催されています。

裁量労働制については(本来)この労働条件分科会で議論すべきです。また(事実)この労働条件分科会で裁量労働制について長い間、議論されてきました。そして12月24日にも議論されました。(この記事の中でも今までの委員の意見や12月24日の労働条件分科会での議論は紹介しています)

この日の資料によると、裁量労働制の対象拡大について労働条件分科会の使用側委員は「国際競争力の向上や付加価値の創出の観点からも、働き手一人一人の能力発揮を促すことが我が国の課題であり、裁量労働制の拡充が必要。労使の対等かつ十分な協議や適切な健康確保措置、適正な報酬を条件とし、過半数労働組合との合意のも で裁量労働制を適用するにふさわしい対象業務(例:プロジェクト型業務や他社の事業に関する企画、立案、調査及び分析の業務)の範囲を決められるような仕組みの導入の検討を行うべき」と意見を述べています。

この意見に対して労働条件分科会の労働側委員は「国際競争力の向上は、産業政策等で対応すべきものであり、労働法制の緩和で実現すべきものではない。 裁量労働制が本来の趣旨に沿った運用が徹底されることが重要であり、 要件の緩和は行うべきではない」と反論しています。

また労働条件分科会の資料には労働側の意見として「労使合意により対象業務を決定できる仕組みは、労働基準法の強行法規性を放棄することにも繋がりかね ない」とも書かれています。

参考:裁量労働制とは

裁量労働制には専門業務型裁量労働制と専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制があります。

まず専門業務型裁量労働制の対象は「業務の性質上、業務遂行の手段や時間配分等を大幅に労働者の裁量に委ねる業務として、厚生労働省令及び大臣告示で定められた専門的な業務に従事する労働者」とされています。

また企画業務型裁量労働制の対象は「事業の運営に関する事項についての企画、 立案、調査及び分析の業務であって、業務の性質上、これを適切に遂行するために、業務遂行の手段や時間配分等を大幅に労働者に委ねる業務に従事する労働者」とされています。

2024年に裁量労働制の対象業務が追加されています。具体的には次のとおりです。

専門業務型裁量労働制の対象とされる「厚生労働省令及び大臣告示で定められた専門的な業務に従事する労働者」、つまり専門業務型裁量労働制の対象業務は新商品や新技術の研究開発、人文科学や自然科学の研究、情報処理システムの設計、コピー ライター、新聞記者などでいたが、銀行・証券会社における(いわゆる)M&Aアドバイザーの業務を対象業務に2024年(令和6年)に追加されました。

参考:過半数労働組合とは

過半数労働組合の要件は事業場(本社・支社・営業所など)に使用されている全労働者(社員・職員)の過半数で組織する労働組合であることが要件です。

過半数労働組合の要件で注意すべきは正社員だけでなくパートやアルバイトなどを含めた事業場の全労働者(社員・職員)の過半数で組織する労働組合でなければなりません。

また事業場は本社だけでなく支社や営業所などのことです。例えば社員(役員は含まずパートやアルバイトは含みます)が10人の場合に6人以上が組合員として加入している場合は過半数労働組合となります。詳しくは労働基準監督署に確認してください。

過半数労働組合は、36協定などの労使協定を締結する時や就業規則の時の(義務付けられています)意見聴取において全従業員(社員・職員)を代表する地位を持ち、強い権限を発揮を発揮します。

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