その言葉、受け取らなくていいかもよ?
薬局で働いていると、理不尽なことを言われる場面が日常的にあります。
待ち時間が長いと怒鳴られる。
薬の値段に文句を言われる。
自分ではどうにもならないことで、責められる。
最初のうちは、そのたびに消耗していました。
「なんで自分がこんな思いをしなければいけないんだろう」と、帰り道にぐるぐると考えてしまうこともありました。
でも今は、不思議なくらい心が揺れません。
何か特別な訓練をしたわけでも、感情を消したわけでもありません。ただ、ある一つの視点を手に入れただけです。
Podcastキャスト番組、サタデーナイト仏教です。
だいぶ前のエピソードでしたが、きっかけは、ブッダのエピソードでした。
あるとき、お釈迦様が見知らぬ人から激しく罵倒されました。しかしお釈迦様は静かに、こう返したといいます。
「あなたが差し出した贈り物を、相手が受け取らなかったら、その贈り物はどちらのものですか?」
罵倒された男は「それは差し出した自分のものだ」と答えます。
するとお釈迦様は言いました。
「私はあなたの言葉を受け取りませんでした。だからそれは、あなたのものです。」
この話を知ったとき、何かがストンと腑に落ちました。
それ以来、私は患者さんから激しい言葉をぶつけられたとき、心の中でそっとこう思うようにしています。
「この人は今、私に話しかけているわけじゃない。」
怒鳴っている患者さんは、たいてい私個人に怒っているわけではありません。長い待ち時間への不満、体の痛みや不安、あるいは昨日の誰かへの怒りが、たまたま目の前にいた私に向かってきているだけです。
だから私は、その言葉を「受け取らない」ことにしました。
受け取らないというのは、無視することではありません。
話はちゃんと聞きます。
相槌も打ちます。
でも、心の奥には届かせない。
いわば、透明な仕切り一枚を自分と相手の間に置いておくイメージです。
これをやり始めてから、帰り道に引きずることがなくなりました。「さっきの人、大丈夫だったかな」と思うことはあっても、「なんで自分があんな思いを」とはもう思わなくなりました。
感情を消すことと、心を守ることは、違います。
冷たくなる必要はない。ただ、受け取らない選択肢があるということを知っているだけで、仕事はずいぶん軽くなります。
あなたは今日、誰かの言葉を必要以上に受け取っていませんか?
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