危機に名前がつく前の、サブプライムローン①――前兆
20年近く前、mixiというSNSで文章を綴っていたことがありました。
久しぶりに見直してみると、その中に、今読むと面白いものがありました。
当時の文章を、誤字や読みにくいところだけ最低限整えて、紹介してみます。
サブプライムローン
2007年8月21日
昨今、相場が荒れておりますね。その原因とされる、サブプライムローンについて今日はお話したいと思います。
サブプライムローンとは、アメリカでの住宅ローンの中でも、低所得者や一度破産した人向けのものを言います。一般のローンがプライムローンと言うのに対する言葉です。
日本人にはイメージしづらいかもしれませんが、アメリカは再チャレンジに寛容で、破産した人などにもお金を貸すことがあります。
そのローンなのですが、最近返せない人が多くなってきました。というのが、このローンの仕組みは、最初は比較的低金利で貸し出されるものの、3年ほど経つと金利が急に上がるものとなっているため、その高くなった金利を払えない人が多くなったためでした。
そもそも、このローンを利用する人で、買った住宅を自分のものにしようとしていた人があまりいなかったのです。つまり、買って転売しようとする人が多かったのです。この背景には、好景気により住宅の市場価格がずっと上がっていた、ということがあります。
しかし、いつまでも上がり続けるはずもなく、一年ほど前からあまり上がらなくなったのです。そこで、転売できないまま金利が上がる時期が来て、焦げ付きが多くなっていました。
ただ、ここまでならサブプライムローンを出した金融機関がその焦げ付きを抱えるだけで済み、現在のような激しい株安・信用収縮はなかったでしょう。サブプライムローンの残高自体は、そう大きなものではなかったので。
問題を大きくしたのはここからです。ここからのお話も日本人にはピンとこないかもしれませんが、アメリカ人はなんでも証券化して売ってしまうのが大好きなのです。
ちょっと話は逸れますが、アメリカの州法の「証券取引法」のことを「Blue Sky Law」と言います。実は1930年代の大恐慌の直前、空を、青空を、証券化して売っていた人までいたそうです。これらの人を取り締まる法律であるところから「Blue Sky Law」と呼ばれるようになりました。
というように、アメリカ人はなんでも証券化して売ってしまいます。サブプライムローンもまた証券化されました。証券化がいつも悪いわけではありません。リスクの分散になり、より高度な金融技術を使うことができるようになります。
しかし、今回はそのリスクの分散が仇となりました。サブプライムローン債券を誰が買っているのかよく分からないのです。つまり、「誰がどれだけ損しているのか分からない」ということに至りました。
さらに問題を大きくしたのが「ファンド」の存在です。特に「ヘッジファンド」ですね。ここ2、3年、「円キャリートレード」というものが行われていました。金利が安い日本でお金を借りて、金利の高い外国で運用する、というものです。
この運用先として、国債など信用の高いものだけで運用されていれば良かったのですが、ファンドの運用の中で、利回りの高いサブプライムローンが「隠し味」的に組み入れられていたのです。ヘッジファンドに至っては、さらにそのサブプライムローン債券を保証金にして、レバレッジをかけていた、ということです。
結局、誰がサブプライムローン債券を買っているファンドに投資しているか、特にヘッジファンドに投資している人が誰なのか分からず、片っ端から売られている、というのが信用収縮の原因だろう、と言われています。
また、さらに円キャリートレードの巻き戻しもあります。金融機関は、これ以上損失を増やさないために、投資していたお金の回収に動きました。そして回収したお金はどこに行くかと言うと、お金の出し手に返します。それが「円買い」を招きました。
以上が大体、よく言われているところです。文章にしてみると結構複雑ですね。言葉足らずな部分や言い足りていないところもあるかもしれませんが、ひとまず、このようなお話だということで。分からないところや、ご指摘がありましたら、コメントお待ちいたしております。

この文章を書いたのは、2007年8月21日です。
当時は、サブプライムローン問題が金融市場で意識され始めていた時期でした。アメリカでは、大手投資銀行の一つだったベアー・スターンズの傘下ヘッジファンドが、サブプライム関連商品で大きな損失を抱えていました。ベアー・スターンズは、債券取引や証券化商品に強みを持っていた金融機関であり、その関連ファンドの問題は、市場に不安を広げる材料の一つになりました。
欧州でも、BNPパリバがサブプライム関連資産を含むファンドの解約を凍結するなど、住宅ローンの問題は、証券化商品やファンドを通じて金融市場に広がり始めていました。
ここでいう「相場が荒れておりますね」は、そのような時期の市場の動きを指しています。住宅ローンの焦げ付きが、証券化、ファンド、レバレッジ、信用不安、円キャリートレードの巻き戻しといった形で波及していく。その途中の空気が、この文章には残っています。
その後、2008年9月15日にリーマン・ブラザーズが破綻しました。一般に「リーマンショック」と呼ばれる金融危機の象徴的な出来事です。2007年8月の文章は、その約1年前、サブプライムローン問題が市場に広がり始めていた時期に書いたものです。
当時のリアリティを少しでも感じてもらえたら、と思います。
こちらの記事だけだと、リーマンショックは予見できた、みたいな話になってしまうので、合わせてこちらもご覧ください。続きになっています。
関連記事
いいなと思ったら応援しよう!
いただいた応援が、次の執筆と発信につながり、また誰かの考える材料として返っていく。
そんな循環に加わっていただけたらうれしいです。この記事は noteマネー にピックアップされました

