危機に名前がつく前の、サブプライムローン③――渦中
ここ数日、昔mixiに書いていたサブプライムローン関連の日記を紹介している。
2007年8月の日記では、サブプライムローンの問題が金融市場に広がり始めていた頃の空気を、2007年11月の日記では、いったん収束に見えた頃の空気を紹介した。
今回紹介するのは、2008年10月11日に書いたmixi日記である。2008年9月15日にリーマン・ブラザーズが破綻し、相場は大きく崩れていた。
なお、今読むと修飾語が少しうるさいところがある。若い頃の文章なので、少し黒歴史ではあるが、読んでくれる人に向けて調子に乗っていた感じも含めて、そのまま載せてみる。
今日は昨今の状況を整理してみましょう。
2008年10月11日
なぜこうなったか。これからどうなるのか。皆さんの疑問はそれでしょう。しかし、前者は比較的話しやすいですが、後者ははっきり言って分かりません。分かっていることは、1ドルが0円になることはなく、日経平均もダウも0になることはない、ということです。このことは、「株安も円高もいつか止まる」ということです。
なぜこうなったか、について整理してみます。どうやって話していくのがいいか、考えてみましたが、時計の針を戻していきながら、キーワードをあぶり出し、それぞれのキーワードについて解説しながら、最後に総括するのが一番いいように思います。長い話になると思いますが、よかったら読んでみてください。
まず、先週の株の大暴落についてです。マスコミは「パニック売り」ということであっさり説明していますが、これは説明になっていないと思います。
この場合、「誰が売っているのか」を考える必要があると思います。誰が売っていたのか。
まず、ヘッジファンドが相当売り浴びせたようです。なぜヘッジファンドはどんどん売るのか。これに関して、先日成立したアメリカの金融安定化法があるようです。金融安定化法は、7000億ドルという数字と公的資金注入についてのみに注目が集まっていますが、同時に「空売り規制」も行われました。これが、ヘッジファンドの息の根を止めてしまった。
ここで、ヘッジファンドの説明をしましょう。と言いながら、実はヘッジファンドについてはっきりとした解説ができる人はいないんですよね。実態がいまいちつかみきれない。このこと自体、問題なんですけど、とりあえず一般的な説明としては、最も広義に捉えると私募ファンドの総称、狭義に捉えると、私募ファンドの一種で、投機的な筋のことを言うようです。私募ファンドとは、広く多くの人からお金を集めるのではなく、ごく限られた一部の少数のお金持ちから集めたお金を運用するファンドです。一応、投資信託の一種です。
で、このヘッジファンドは金融技術を駆使して、莫大な利益を上げます。その利用している金融技術の代表的なものが、レバレッジとデリバティブです。レバレッジとは、借金をして運用資金を膨らませること、デリバティブは金融派生商品のことで、先物やオプション、スワップ、そして空売りです。そのお家芸の一つ、空売りが金融安定化法によって封じられてしまいました。昨今の信用収縮によって、レバレッジもかけられなくなったヘッジファンドはすべての武器を奪われ、とうとう完全に丸裸になり、身動きが取れなくなってしまいました。すると、ヘッジファンドに投資している投資家は、投資する意味がなくなります。当然、解約が多くなります。すると、解約に備えて現金が要ります。運用できなくなり、解約に備えなければならないヘッジファンドが行う行動はただ一つ、「換金売り」です。ファンダメンタルもテクニカルも各国政府の動向もへったくれもなく、とにかく売っています。だってそれしかできないんですから。
この猛烈な売り浴びせにより、急激に相場心理が悪化し、それに合わせて他の人も売ります。狼狽売りです。この状態が「パニック」ですね。しかし、注目すべきは昨日の東証一部の出来高ですね。久しぶりの30億株です。これをどう見るかですね。買わされているのか、売らされているのか。上記のヘッジファンドの事情からすると、「売るために買わせる」というテクニックが用いられているとは考えにくいです。
では、もう少し時計の針を戻してみましょう。その前のイベントはリーマン破綻でしょう。金融安定化法案否決、というイベントは、否決された後より成立後の方が下げがきついことから見ても、心理に大きな影響は与えたものの、それ自体について説明はあまり要らないように思います。あえて一言言えば、アメリカ人も結局日本人と同じだったか、ということです。
リーマン破綻はなぜ起きたか、ですが、これは資金繰りの行き詰まりです。信用収縮が原因で、資金調達ができなくなったわけです。
ここでのキーワードは信用収縮ですね。信用収縮……、これだけで、一つのテーマとして話ができそうなので、ちょっと次回に譲りましょう。随分長くなってきました。思ったよりもこの話、長いですね。サブプライムまでなかなかたどり着きません……。いったんここで切りましょう。ここまでで、ご質問やご指摘があればコメントお願いします。
このmixi日記では、2008年10月の株価急落について、誰が売っているのかを見ようとしている。中心に置いているのは、ヘッジファンドの換金売りである。信用収縮によってレバレッジを使いにくくなり、空売り規制によって運用手法の一部も制約される。さらに、投資家の解約に備えて現金が必要になる。そうなると、企業業績や株価水準とは別に、売れるものを売って現金化する動きが出る。本文では、その売りが相場心理を悪化させ、他の投資家の狼狽売りにもつながったと見ている。
また、リーマン・ブラザーズの破綻については、資金繰りの行き詰まりとして捉えている。信用収縮によって資金調達ができなくなったことが、破綻の原因だったと整理している。

今から振り返ると、リーマンショックの影響は、金融市場の中にとどまらなかった。各国政府は金融機関への公的支援や大規模な金融緩和に踏み込み、金融規制やリスク管理のあり方も見直されていくことになる。
実体経済にも影響は広がった。企業の資金調達は難しくなり、投資や雇用にも影響が出た。日本でも、株安と円高に加えて、輸出企業の業績悪化や雇用不安が表面化していった。
また、証券化、レバレッジ、デリバティブといった金融技術への見方も変わった。リスクを分散するはずの仕組みが、リスクの所在を見えにくくし、市場全体の不信につながることがある。そのことが、リーマンショックによって明らかになった。
このmixi日記は、金融危機がまだ「相場の急落」として見えていた時点の記録である。その後、この混乱は市場の中に収まらず、制度、企業経営、雇用にまで広がっていった。

参考として、当時の相場水準も置いておく。2008年10月11日は土曜日であるため、相場水準は直前営業日の2008年10月10日終値で見る。
S&P500は、2007年10月9日に1,565.15をつけた。その後、2008年10月10日には899.22となっていた。高値から約1年で42.5%下落していたことになる。その後、2009年3月9日に676.53をつけた。
NYダウは、2007年10月9日に14,164.53をつけた。その後、2008年10月10日には8,451.19となっていた。高値から約1年で40.3%下落していたことになる。その後、2009年3月9日に6,547.05をつけた。
日経平均は、2007年7月9日に18,261.98円をつけた。その後、2008年10月10日には8,276.43円となっていた。高値から約1年3か月で54.7%下落していたことになる。その後、2009年3月10日に7,054.98円をつけた。
TOPIXは、2007年2月26日に1,816.97をつけた。その後、2008年10月10日には840.86となっていた。高値から約1年7か月で53.7%下落していたことになる。その後、2009年3月12日に700.93をつけた。
ドル円は、2007年6月に124円台まで円安が進んでいた。2008年10月には、月中平均で100円前後、月中安値では91円台まで円高が進んでいた。その後、2008年12月には87円台まで円高が進んだ。
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