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部下が私を管理者に育ててくれた

〜管理者として部下から気付かされた日〜

「管理者って大変ですよね。」

そう言われることがあります。

私はそんな時、こう答えます。

「今までできなかったことができるようになったり、分からなかったことが分かるようになったり、大変なことも多いけれど、その分やりがいもあるよ。」

もちろん、管理者の仕事は楽ではありません。

シフトを組み、利用者様やご家族の対応をし、

時には会議や書類に追われる毎日です。

気が付けば私の机の上は、いつも書類の山。

「よし、今日は事務仕事を終わらせるぞ!」

そう気合いを入れた日に限って、

「すみません!送迎車が動きません!」

「利用者様が転倒しました!」

「ご家族から電話です!」

……結局、一文字も書けないまま夕方。

介護あるあるです。

そんな毎日を過ごしていると、

「管理者とは何をする人なんだろう」

と考えることがあります。

20代の時の私は、

「答えを持っている人」に

なろうとしていました。

職員から質問されたら、

すぐ答えなければいけない。

悩み相談を受けたら、

すぐ解決しなければいけない。

失敗する姿を見せてはいけない。

そう思い込んでいたのです。

でも、その考えは大きな勘違いでした。

部下が求めていたのは、

「正解」ではなかったのです。

私が30代になったある日、男性職員Aさんが

相談に来ました。

利用者様との接し方に、

自信をなくしていたのです。

私は、

「管理者だから答えを出さなければ」と思い、

「それはね、こうすればいいよ。」

と、得意げにアドバイスを始めました。

五分ほど熱弁をしたでしょうか。

話し終えた私は、「これで解決した」と

満足していました。

ところが、Aさんは少し困ったような

表情で言いました。

「ありがとうございます。
でも……今日は答えが欲しかったというより、
      話を聞いてほしかったんです。」

……一本取られました。

その日から私は、

答える前に、聞く」こと、傾聴

意識するようになりました。

そうすることで、今まで、見えてなかった、

職員の言葉の奥にある部分が少しずつ見える

ようになったのです。

すると不思議なことに、

職員との距離が少しずつ縮まっていったのです。

人は、自分を理解しようとしてくれる人を

信頼します。

正しい言葉だけでは、人の心は動きません。

相手の気持ちに耳を傾けることが、

信頼への第一歩なのだと思います。

これは介護だけでなく、人との関わり

すべてに共通することなのかもしれません。


失敗してもいい職場は強い

新人時代を思い返すと、

私も失敗のオンパレードでした。

※介助中、利用者様の足を車椅子のフットレストにぶつけてしまったこと。

※送迎時間を勘違いし、利用者様やご家族にご迷惑をおかけしたこと。

※利用者様のお名前を間違えて呼んでしまったこと。

今思い出しても、顔が熱くなります。

それでも先輩は、

「失敗したなら、次に同じことをしなければ    
 大丈夫。」

そう声を掛けてくれました。

その一言に、どれだけ救われたか分かりません。


逆に、失敗するたびに責められる職場では、

人は挑戦しなくなります。

「怒られないように。」

それだけを考えて働くようになってしまうから

です。

でも、それでは介護は良くなりません。

挑戦する人がいるから、

新しいアイデアが生まれる。

挑戦できる空気をつくることも、

管理者の大切な仕事だと思っています。


「ありがとう」は魔法の言葉

管理者になって気付いたことがあります。

職員は、自分の頑張りを見てもらえているかを、

思っている以上に気にしています。

だからこそ、派手な言葉は必要ありません。

「ありがとう。」

「助かったよ。」

「昨日の対応、良かったね。」

たったそれだけで、職員の表情は驚くほど

変わります。

「自分の頑張りを誰かが見てくれている。」

その実感が、「また頑張ろう」という力に

なります。


一番信頼される管理者とは

私は今でも失敗します。

忘れ物もします。

周りの職員に何度もフォローしてもらい、助けられています。

会議の日を勘違いして、

「あれ? 今日だったの!?」

と、冷や汗をかく日もあります。

完璧とは程遠い管理者です。

それでも、いつも心掛けていることがあります。


分からないことは、

「一緒に調べよう。」

と言うこと。


間違えたら、

「ごめん。」

と素直に謝ること。


そして、職員が困っている時は、一人で抱え込ませないこと。

管理者は、何でもできるスーパーマンである

必要はありません。

むしろ、一人で抱え込まず、周りを頼れる姿を

見せることも、部下に安心感を与えるのだと

思います。

完璧な管理者より、人間らしい管理者。

そのほうが、職員も安心して力を発揮

できるのではないでしょうか。


最後に

介護は、一人ではできません。

利用者様、ご家族、看護師、ケアマネジャー、

そして職員。

みんなで支え合って初めて、

良いケアが生まれます。

だから管理者に求められるのは、

「指示を出す力」だけではありません。

「この人となら頑張れる。」

そう思ってもらえる存在になることです。

職員は、管理者の背中を見ています。

どんな言葉を選ぶのか。

困った時、誰を守ろうとするのか。

感謝をきちんと伝えているのか。

その一つひとつが、

やがて職場の空気になっていきます。

良い職場は、偶然できるものではありません。

管理者の何気ない一言、

何気ない行動の積み重ねから生まれます。

そして、職員が笑顔で働ける職場は、

利用者様も自然と笑顔になります。

私は、そう信じています。

管理者の仕事とは、

人を管理することがメインじゃありません。

人が安心して力を発揮できる環境を

つくることがメインだと思います。

そして、その環境づくりは、管理者一人では

完成しません。

部下に教えられ、支えられ、

ともに成長していく。

だから私は今日も、部下に感謝しながら

管理者という仕事を続けています。

それが、本当に信頼される管理者への

一番近い道なのだと思います。


最後まで読んでいただきありがとうございます😊

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