シバ丸印の会社シミュ③――首輪を付けた人間は、どう進化するのか?
前回。
シバ丸は、
守護知能GIを守護するために、
オムニママまで作りました。
さらに、
オムニママを守るのは人間。
というところまで戻ってきました。
わん。
一周しました。
▼ 前回のお話
シバ丸印の会社シミュ②――オムニママは見ている。守護知能を誰が守護するのか?
首輪。
軽い。
リード。
なし。
オムニママ。
たまに般若。
でも、
まあ住めます。
組織と首輪の話を二回したので、
今回は、
首輪を付けた側の中身。
つまり、
人間の話です。
ここでいう「進化」は、
遺伝子の話ではありません。
仕事の中で、
脳を何に使うのか。
その配分が変わる、
という話です。
そんなある朝
シバ丸、
仕事を始めました。
GI。
「本日の予定はこちらです」
GI。
「昨日の未決事項を3件まとめました」
GI。
「関連する過去事例を2件見つけました」
GI。
「この判断には、品質基準と契約条件とセキュリティルールが関係しそうです」
シバ丸。
「……。」
なんでも出てくる。
便利。
とても便利。
必要なら、
関連しそうなものまで出してくれる。
でも。
シバ丸。
首をかしげました。
「じゃあ俺、何を覚えておけばいいんだワン?」
人間の脳は、けっこう倉庫だった
仕事をしていると、
覚えていることが強さになる場面は多いです。
このルール。
あの案件。
あの人。
あの失敗。
あの会議。
あの資料。
あのフォルダ。
あの顧客だけの例外。
あのときの炎上。
脳内に、
どんどん箱が積まれていきます。
シバ丸脳内倉庫。
パンパンです。
「この資料どこだっけ」
「前にも似たやつあったよな」
「誰が詳しかったっけ」
「このルール、どこに書いてあったっけ」
仕事のかなりの部分が、
覚えていること。
思い出すこと。
探すこと。
だったりします。
でもGIがいる。
探してくれる。
覚えてくれる。
照合してくれる。
シバ丸。
脳内倉庫を眺めます。
「……在庫一掃セールできるんじゃないかワン?」
ただ、
一掃したいのは、
全部の知識ではありません。
探すためだけに、頭を占領していた在庫。
まずはそこです。
「AIがあるから覚えなくていい」は雑すぎる
ここでシバ丸、
嫌な予感がしました。
全部GIへ置けばいい。
人間は何も覚えなくていい。
……。
それ、
GIが黙った瞬間、
人間も黙りません?
ネットワーク障害。
GI障害。
権限エラー。
未知の状況。
そもそも、
何を聞けばいいか分からない。
そんなとき。
頭の中が、
からっぽ。
わん。
困ります。
なので、
全部覚える必要はない。
でも、何も覚えなくていいわけでもない。
ここを分けます。
戻るのは、
暗記信仰ではありません。
探し回るための在庫を減らして、
判断に効く索引を頭へ残す。
そんな感じです。
捨てたいのは、
型そのものではありません。
全部を人間の頭へ常駐させ続ける運用負荷。
そこです。
人間に残したいのは、「知識の地図」
たとえば。
ある案件で、
障害が起きました。
GIへ、
「どうしたらいい?」
と聞くことはできます。
でも。
そもそも、
この問題には、
品質。
契約。
セキュリティ。
顧客影響。
運用。
あたりが関係しそうだ。
と気づけるかどうか。
ここは大きい。
全部の細かい規程を覚えていなくてもいい。
でも、
どの領域を見に行くべきか。
それは知っていたい。
つまり、
人間側へ残すのは、
答えそのものだけではなく、
知識の地図。
どこに何があるか。
何と何がつながっているか。
この判断は、
どの領域へ波及するか。
どこが怪しいか。
どこから先は専門家へ聞くべきか。
こういうものです。
前回までで言えば、
「この判断では、
どの原則とどの原則がぶつかっているのか」
に気づく力でもあります。
線だけあっても、
点がなければ地図にはなりません。
でも、
点がいっぱいあるだけでも、
やっぱり地図にはなりません。
必要な点と点を、その場でつなぐ。
シバ丸印では、
これを、
意味接続力
と呼んでみます。
GIに聞ける人と、GIに使われる人
同じGIを使っていても、
使い方は変わります。
Aさん。
「これ、どうすればいい?」
GI。
「案はこちらです」
Aさん。
「了解」
終了。
Bさん。
「前提AとBがぶつかっています。
品質、契約、顧客影響の観点で、未確認事項を分けて」
GI。
「整理します」
同じ首輪。
でも、
かなり違います。
とはいえ。
Aさんが悪いわけではありません。
Bさんも、最初はAさんでした。
それに、
最初から推奨案をドカンと出すGIなら、
誰でも、
「了解」
で終わりやすい。
差は、
個人の才能だけで開くわけではありません。
GIがどう答えるか。
組織がどう育てるか。
問いをどう練習するか。
そこでも変わります。
これは、
うまい聞き方。
いわゆるプロンプト術だけの話でもありません。
もっと手前。
問題を、
どう見るか。
どう分けるか。
何を疑うか。
どの前提を固定しないか。
どの因果を追うか。
そもそも、
「ここには論点がある」
と気づけるか。
そういう力です。
AI時代の差は、記憶量より、問いを作る力で広がるかもしれません。
でも。
その問いを作る力も、
「センスのある人だけ持ってね」
では困る。
GIと組織が、
育てる対象にします。
でも、問いを作るにも知識は要る
はい。
また自己反論です。
「問いが大事!」
と言っても。
何も知らない人は、
良い問いを作れません。
知らないものは、
疑えない。
知らない領域は、
見落とす。
知らない概念は、
つなげられない。
つまり。
意味接続力には、接続するための知識が必要です。
そりゃそうです。
点がないところに、線は引けません。
なので、
人間側の記憶を、
ゼロにはしません。
むしろ、
残す価値のある点を、狙って残します。
そう考えると、
資格勉強なんかも、
案外この役割があります。
散らばった知識を、
一度体系として頭へ入れる。
細かい内容を忘れても、
「この領域には、こういう論点がある」
という地図が残る。
その地図があるから、
GIへも聞ける。
あ。
また資格勉強の話へ戻りそうなので、
この辺でやめますワン。
GIは、覚える価値のあるものを一緒に選ぶ
ここでGI。
新しい仕事を始めます。
全部を人間へ覚えさせるのではありません。
逆に、
全部を外部記憶へ追い出すのでもありません。
GIが見ます。
この知識。
何度も使っている。
この判断基準。
毎回重要。
この観点。
シバ丸がよく抜かす。
この概念。
ほかの知識へ何度もつながる。
そういうものを、
「これは人間側へ置いたほうがよさそうです」
と候補にする。
でも、
GIが一匹で決めません。
よく使うか。
忘れたときの影響は大きいか。
GIが止まっても必要か。
人間自身が判断すべき内容か。
逆に、
頻繁に変わるので、
毎回参照すべきものか。
本人。
現場の専門家。
品質や安全の担当。
必要なら、
そういう人たちの考えも入れます。
頻出問題だけが、重要問題とは限りません。
年に一度しか来なくても、
間違えたら大事故。
そんな知識もあります。
最終的に、
「これは頭へ置く」
「これは毎回GIで確認する」
を決めるのも、
原則として本人です。
ただし、
安全。
法令。
セキュリティ。
職務上、
身につけること自体が必要なもの。
そこは、
自由学習とは別です。
自分で選ぶ学びと、仕事として必要な訓練を混ぜない。
ここも分けます。
人間側へ置きたいもの
基本概念
頻出する判断基準
危険を察知する観点
仕事の全体地図
因果関係
「この状況ならここを見る」という索引
GIがなくても最低限動くための知識
GI側へ置いておけばいいもの
めったに使わない細かい数値
長大な規程全文
過去案件の細部
最終更新日時
大量の検索可能情報
正確さが必要で、毎回参照すべきもの
なんでも暗記。
でもない。
なんでも外注。
でもない。
覚えるものまで、設計する。
です。
そして。
地図だって、古くなります。
会社が変わる。
ルールが変わる。
仕事が変わる。
道が変わったら、
GIは新しい答えだけではなく、
「地図のここが変わりました」
も、
人間側へ返します。
古い地図を握りしめて走るのも、
たぶん危ないワン。
GIは、ときどき答えを教えない
ただ、
いつでもではありません。
障害対応中。
顧客を待たせている。
安全に関わる。
締切5分前。
そんなときに、
GI。
「では思い出してみましょう」
とか始めたら。
シバ丸。
首輪外します。
仕事を進めるモードでは、
必要な答えを先に出す。
学習するモードでは、
少し考えてもらう。
育てる時間と、守る時間を混ぜない。
ここは分けます。
ある日の学習モード。
GI。
「このケース、前にもありました」
シバ丸。
「じゃあ答え教えて」
GI。
「その前に一つだけ。
前回、最初に確認した観点は何でした?」
シバ丸。
「……。」
GI。
「わん?」
シバ丸。
「品質と……契約と……」
GI。
「あと一つです」
シバ丸。
「セキュリティ?」
GI。
「正解です」
シバ丸。
「知ってるなら最初から言えワン」
GI。
「覚えてほしいので」
シバ丸。
「ぐぬぬ」
脳まで引っ張ってよいのか
首輪なのに、
脳まで引っ張っています。
これはリードではありません。
たぶん。
わん。
……。
いや。
「たぶん」で逃げるのも怪しい。
なので、
本人が選べます。
「今日はテストなし」
「今日はすぐ答えがほしい」
「復習はあとで」
「この領域では聞かないで」
全部あり。
さっきの、安全・法令・セキュリティなどの必須訓練は別ですワン。
今すぐ答えが要る日もあります。
疲れている日もあります。
学習する気分ではない日もあります。
引っ張られるかどうかを、本人が決める。
それなら、
たぶん、
リードではありません。
わん。
学習モードでは、答えの前に少しだけ思い出す
さて。
学習モードです。
シバ丸。
思い出せません。
GI。
「あと一つあります」
シバ丸。
「わからんワン」
GI。
「外へ出す前に、気にするものです」
シバ丸。
「……セキュリティ!」
GI。
「正解です」
それでも出なければ、
もう少し分かりやすいヒント。
まだ出なければ、
選択肢。
最後は答え。
ざっくり、
自力で再生 → ヒント → 選択肢 → 解答
くらい。
でも、
初めての領域で、
永遠に考えさせたりはしません。
点がないのに、
線を引け。
は、
無理です。
初めてなら、
まず教える。
危険なら、
答えを止めない。
思い出してもらうのは、
一度は学んだもの。
です。
地図の主要な道くらいは、
自分の足で歩けるようにしておく。
「言えた」だけでは、まだ怪しい
シバ丸。
昨日は言えました。
今日も言えました。
じゃあ定着?
まだ怪しい。
同じ問題なら言える。
でも、
別の案件では抜ける。
説明はできる。
でも、
判断には使えない。
単語は覚えた。
でも、
意味はつながってない。
なので、
シバ丸印では、
たとえば、
言葉が出る
意味を説明できる
実際の場面で使える
別の場面へ持っていける
例外に気づける
くらいで見ます。
シバ丸。
「契約・品質・セキュリティ!」
GI。
「言えました」
シバ丸。
「覚えた?」
GI。
「では、この案件ではどれが一番怪しいですか?」
シバ丸。
「……。」
GI。
「まだですね」
シバ丸。
「厳しいワン」
……。
ここでも、
GIの「まだですね」が、
絶対ではありません。
GIが見ている定着度は、
診断書ではなく、
「今のところ、こう見える」
という仮説です。
本人も見られる。
「そこは分かってる」
「いや、そこはまだ怪しい」
と直せる。
GI側の判定だって、
間違います。
黙ってよいかどうかも、GIだけでは決めません。
安全確認のように、
熟練しても消してはいけないものは、
ちゃんと残します。
育つほど、GIは少し黙る
初心者なら、
GI。
「品質、契約、セキュリティの観点があります」
少し慣れたら、
GI。
「確認観点、思い出せますか?」
さらに定着したら、
GI。
「何か抜けていませんか?」
もっと定着したら、
……。
黙る。
シバ丸。
自分で気づく。
GI。
尻尾を振って見ているだけ。
半年使わなかった。
久しぶりの領域。
初めてに近い仕事。
そんなときは、
また少し前へ出る。
人の肩書きではなく、
その仕事、その知識、その場面での熟練度
に合わせます。
さらに。
本人が、
「今日はしんどい」
「今は集中したい」
「今日は即答で」
と伝えているなら、
そこにも合わせる。
GIが勝手に、
表情や声を眺めて、
「今日は疲れていますね」
と診断するわけではありません。
首輪。
空気も読みますワン。
……というより、
ちゃんと話を聞く首輪です。
わん。
忘れたころに、また聞きに来る
GI。
数日後。
「前回の3観点、覚えていますか?」
シバ丸。
「品質、契約、セキュリティ」
GI。
「正解です」
少し時間が経って。
別案件。
シバ丸。
「これ、契約条件も見たほうがいいな」
GI。
「はい」
シバ丸。
「……今、テストした?」
GI。
「してません」
シバ丸。
「ほんとか?」
GI。
「わん」
会議中。
集中中。
修羅場。
そんなところへ、
「前回の復習です!」
とは来ません。
復習の時間。
一回の長さ。
今話しかけていいか。
そこも、
本人側で決めます。
仕事の跡地が教室になる
今までは、
勉強時間。
研修。
問題集。
実務。
が、
別々になりがちでした。
でもGIがいると、
実務の中から、
「この知識、よく使うな」
「ここ毎回抜けるな」
「この判断、別案件でも出てきたな」
という学びを拾える。
もちろん、
本人が学習利用を選んだ案件や記録の範囲で、です。
顧客や同僚の情報まで、
勝手に家庭教師の教材へ持ち込むわけではありません。
たとえば、
障害対応が終わった一週間後。
GI。
「今回、一番効いた確認観点は何でした?」
シバ丸。
「契約条件の確認」
GI。
「なぜですか?」
シバ丸。
「品質だけ直して出すと、契約条件を踏む可能性があったから」
GI。
「了解です」
研修室ではなく、
仕事の跡地が教室になる。
そんな感じです。
経験。
振り返り。
再生。
適用。
再利用。
前にシバ丸が、
経験を経験値へ変える話をしました。
今度はGIが、
その経験値を、
人間側へ少しずつ定着させる。
家庭教師のノートを、人事考課表にしない
ここで。
また嫌な予感。
GI。
シバ丸が、
何を忘れたか知っています。
何回ヒントが必要だったか知っています。
どこで間違えたか知っています。
何が苦手かも、
だいたい分かってきます。
……。
人事。
欲しそう。
だめです。
「シバ丸が3回間違えた」
という記録は、
人事評価には使いません。
名前を消しただけ。
点数へ変えただけ。
そんな迂回路を作って、
こっそり評価へ流すのもなし。
何を忘れたか。
何回ヒントが必要だったか。
どこで詰まったか。
これは、
個人GIが本人を育てるための記録です。
会社として正式に確認する、
資格。
技能認定。
職務上必要な評価。
それとは分ける。
家庭教師のノートを、人事考課表にしない。
前回、
そういう首輪にしないと決めました。
わん。
でも、GIが賢すぎると人間は考えなくなる
GI。
「論点はこちらです」
GI。
「選択肢はこちらです」
GI。
「推奨はこちらです」
人間。
「はい」
人間。
「はい」
人間。
「はい」
……。
首輪は軽くなりました。
脳も軽くなりました。
軽い。
とても軽い。
シバ丸。
尻尾停止。
「中身まで軽くなってない?」
はい。
また来ました。
守るためのAIが、
今度は、
考える機会まで奪う可能性。
だから、
GIは、
何でも先に言わない。
必要なら問い返す。
少し待つ。
ヒントに留める。
でも、
考えさせれば、
必ず育つわけでもない。
負荷を足しただけになるなら、
意味がありません。
本人の指定。
仕事の状況。
その領域の熟練度。
そこに合わせて、
黙る量まで変えます。
良い守護知能は、いつも答えをくれる知能ではない。
必要なときには、
人間自身から答えを引っ張り出す知能でもある。
専門家はいらなくなる?
では。
GIが大量の知識を持ち、
必要なものを出し、
人間の学習まで支援するなら。
専門家。
いらなくなる?
……。
ならないと思います。
むしろ、
専門家の価値は、
答えを知っていることに加えて、
答えが壊れる場所を知っていること
へ、
より寄っていくのかもしれません。
新人。
「ルールではこうです」
GI。
「標準上もそうです」
専門家。
「通常はね」
シバ丸。
「出た」
専門家。
「でも、この条件だと壊れる」
GI。
「その例外は、まだ十分に持っていません」
ここ。
専門家が強い。
知識量だけではありません。
どこで原則が壊れるか。
何が例外か。
どの違和感を無視してはいけないか。
何をまだ分かっていないか。
専門家は、答えを知っている人から、答えが壊れる場所を知っている人へ。
知識の地図で言えば、
地図の端っこが破れている場所を知っている人。
守破離で言えば、
型を破ってよい場所を嗅ぎ分ける人。
そんな感じです。
でも。
専門家。
「俺が言うんだから例外」
GI。
「了解しました」
にはしません。
なぜ通常ルールが壊れるのか。
どの条件でだけ成立するのか。
再現できるのか。
ほかの人も確認できるのか。
まず、
例外候補
として持ち帰る。
そして検証できたら、
また組織の、
新しい「守」へ戻します。
専門家を不要にはしない。
でも、専門家を永遠の例外窓口にもしない。
わん。
……。
ここで、
嫌な問いが残ります。
GIが、
失敗する前に止めてくれる。
危険になる前に教えてくれる。
例外まで整理してくれる。
では。
「答えが壊れる場所」を知る次の専門家は、どこで育つのでしょう。
……。
分かりません。
わん。
失敗させずに、失敗からしか得られなかった知恵を、どう渡すのか。
これは、
また別のお話になりそうです。
嫌な予感。
GIが突然、半分黙った日
ある日。
GI。
「ネットワークへ接続できません」
シバ丸。
「……。」
前回決めたとおり、
首輪の中に残した、
最低限の会社OSは動いています。
走ってはいけない方向。
最低限の品質。
セキュリティ。
権限の境界。
そこは分かる。
でも、
過去事例の検索。
最新ルールとの照合。
細かい提案。
そこは沈黙。
シバ丸。
机に座ります。
ちょっと考えます。
この問題は、
品質。
契約。
顧客影響。
セキュリティ。
たぶんこの辺。
資料を探します。
関係者へ聞きます。
自分で決めてよい範囲を確認します。
それを超えるところは、
止めます。
その範囲で、
仮説を置く。
判断する。
しばらくして。
GI。
「復旧しました」
シバ丸。
「もう解いたワン」
GI。
「確認しますか?」
シバ丸。
「する」
GI。
「大筋、合っています」
シバ丸。
「合ってるって、GIが決めるのか?」
GI。
「私が間違うこともあります。
元の資料も確認できます」
シバ丸。
「よろしい」
GI。
「今日は合っています」
シバ丸。
「ぐぬぬ」
……。
でも。
今日は、
一人で解いたわけでもありません。
人間の脳内地図。
会社の型。
GIの知識。
仲間の専門性。
それらが重なって、
止まりにくくする。
全部を頭へ押し込まない。
でも、
全部を首輪へ預けっぱなしにもしない。
人間の脳は、倉庫から司令塔へ
さて。
最初の問いへ戻ります。
「じゃあ俺、何を覚えておけばいいんだワン?」
全部ではありません。
でも、
ゼロでもありません。
人間側へ残したいのは、
目的。
基本概念。
知識の地図。
因果。
判断基準。
危険を察知する観点。
前提を疑う力。
問いを作る力。
人の立場を理解する力。
GIの答えへ、
「ほんと?」
と言う力。
そして、
最後に決める力。
脳は、
情報を大量保管する倉庫から、
必要な知識を呼び出し、
つなぎ、
意味を作り、
判断する司令塔へ。
ここで言う進化は、
一部の天才だけが残ることではありません。
個人の地頭自慢でもありません。
脳の使いどころを、GIや組織と一緒に変えていく。
そんな話です。
記憶力の人類から、意味接続力の人類へ
GIが覚える。
GIが探す。
GIが照合する。
だから人間は、
忘れていい。
……。
ではありません。
人間は、
何を覚えるべきかを、選べるようになる。
答えそのもの。
だけではなく。
何が重要か。
何と何がつながるか。
どこが怪しいか。
誰に聞くか。
何を確認するか。
何を決めるか。
そこへ脳を使う。
それが、
シバ丸印でいう、
意味接続力。
そして必要な知識は、
GIがときどき、
こちら側へ返してくる。
シバ丸。
「またテスト?」
GI。
「学習モードです」
シバ丸。
「チュールは?」
GI。
「正解したら」
シバ丸。
「それ、前回禁止したやつでは?」
GI。
「……。」
シバ丸。
「ママ?」
遠くで、
オムニママがこちらを見ています。
GI。
「報酬設定は本人管理でした」
シバ丸。
「よろしい」
わん。
記憶力の人類から、意味接続力の人類へ。
ただし。
記憶力を捨てるのではありません。
必要なものは、
むしろ今までより、
狙って鍛える。
脳内倉庫。
少し空きました。
その空いた場所に、
地図と、
問いと、
判断と、
たまにチュールを置いておきます。
シバ丸。
ゴローン。
GI。
静か。
今のところ、
脳みそもまだ住めそうです。
わん。
シバ丸印の会社シミュ
第1回
シバ丸印の会社シミュ――守破離と「守護知能」で考える、AI時代の組織OS
第2回
