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日本代表から考える「個と組織」の本質

今朝行われたサッカーW杯の日本対オランダ戦は、2-2の引き分けという結果に終わりました。

世界の強豪を相手に、日本は粘り強く戦い、選手たちの技術や献身性も随所に見られました。
一方で、この試合は「個の能力だけでは勝敗が決まらないスポーツ」であることを改めて感じさせてくれたように思います。

どれだけ優れた選手がいても、チームとして噛み合わなければ力は最大化されません。
逆に、突出したスターがいなくても、組織として機能すれば強豪と互角以上に渡り合うこともあります。

「これはサッカーに限った話ではありません。」

会社も、プロジェクトも、地域活動も、人が集まる場所には必ず「個」と「組織」の関係があります。
そして時として、個人の実力と組織全体の最適解が一致しない場面も生まれます。

そんなことを考えていたとき、私は大会前に話題になった守田英正選手の代表メンバー外という出来事を思い出しました。


守田選手のメンバー外が問いかけるもの


サッカー日本代表から守田英正選手が外れたというニュースを見たとき、私は率直に「もったいないな」と感じました。

守田選手はヨーロッパのトップレベルで活躍し、チャンピオンズリーグの舞台でも結果を残してきた選手です。
だからこそ、メンバー外という結果には驚きもありました。

しかし同時に、組織運営という観点から冷静に考えると、「なぜそうした判断が下されたのか」を理解できる部分もあります。
そして今回の出来事は、単なるサッカーの話にとどまりません。

むしろ、私たちが日々働く会社やチームにも通じる、「組織とは何か」という本質的な問いを投げかけているように感じました。


鄭大世さんの解説を見て考えたこと


今回の件について考える中で、私はサッカー解説者の鄭大世さんの解説動画を拝見しました。

その解説が印象的だったのは、守田選手個人を批判したり擁護したりするのではなく、監督の立場や組織運営の視点から冷静に整理していた点です。

また、SNSやメディアでもさまざまな意見が見られました。
・「実力があるのだから選ぶべきだ」
・「チームの規律を優先したのではないか」
・「世代交代を見据えた判断ではないか」
どれも一理あります。

もちろん、実際の選考理由を私たちが知ることはできません。

だからこの記事も真相を語るものではなく、鄭大世さんの解説や世の中のさまざまな解釈を参考にしながら、私自身が「組織」というテーマについて考えたことを整理したものです。


正しい人が評価されるとは限らない


守田選手は過去、日本代表の運営や方針について疑問を呈する発言をしていました。

私は問題提起そのものが悪いとは思いません。
むしろ、組織をより良くしたいからこそ声を上げることもあるでしょう。

ただ、組織の中で影響力を持つ人の発言は、能力が高いからこそ大きな意味を持ちます。

これは企業でも同じです。

優秀な社員が会社の方針や上司への不満を公の場で発信したとき、その発言が正しいかどうかとは別に、組織全体へ与える影響を考えなければなりません。

ここで難しいのは、
「正しいこと」と「組織にとってプラスであること」は必ずしも一致しないという点です。

私自身、マネジメントに携わる中で、この難しさを何度も感じてきました。


アドラー心理学が教える「課題の分離」


この話を考える上で参考になるのが、アドラー心理学の「課題の分離」です。

実はこの視点についても、鄭大世さんの解説の中で触れられており、非常に共感しました。

アドラーは、「それは誰の課題なのかを見極めなさい」と説きます。
選手の課題は、自らの能力を高め、チームに貢献することです。

一方で、チームの運営方針や誰を選ぶかは監督の課題です。
チームの運営方針を、選手自身ではコントロールできません。

私たちはつい、「これだけ実力があるのだから選ばれるべきだ」と考えます。しかし実際には、選考には戦術、チームバランス、人間関係、将来性など、さまざまな要素が絡みます。

最終的な責任を負うのは監督です。
だからこそ、その判断は監督の課題なのです。

これはビジネスの世界でも同じです。
昇進や異動、評価に不満を感じることはあります。

けれど、自分がコントロールできるのは成果を出すところまで。
その先の評価は上司や会社の課題です。

だからこそ大切なのは、他人の課題に執着することではなく、自分の課題に集中することなのだと思います。


組織はなぜ実力者を外すのか


今回の件で私が特に興味深いと感じたのは、「優秀な人ほど組織への影響力も大きい」ということです。

守田選手は実力者であり、多くの選手から信頼されている存在です。
だからこそ、その言葉は周囲へ強い影響を与えます。

例えば、ワールドカップのような短期決戦で初戦に敗れたとします。
そのとき中心選手が戦術への疑問を口にしたらどうなるでしょうか。
チーム全体の方向性が揺らぐかもしれません。

もちろん、守田選手が実際にそうするという話ではありません。

ただ、組織を預かる立場であれば、最悪のケースまで想定して判断する必要があります。組織運営とは、能力の最大化だけではありません。
不確実性を管理しながら、集団として成果を出すことでもあるのです。


アドラー心理学が語る「共同体感覚」


一方で、私はアドラー心理学のもう一つの考え方にも注目しています。
それが「共同体感覚」です。

簡単に言えば、「自分はこの集団に貢献できている」という感覚です。

アドラーは、人は所属感や貢献感を得られたときに最も力を発揮すると考えました。私自身、マネジメントの現場でこの考え方の重要性を何度も実感しています。

・優秀だけれど組織と衝突する人。
・モチベーションを失っている人。
・なかなか動き出せない人。

そうした人たちも、「自分は必要とされている」と感じられた瞬間に、大きく変わることがあります。


「働かないおじさん」と向き合って学んだこと


企業は代表チームのように簡単に人を外すことはできません。
むしろ重要なのは、優秀だけれど組織との接点を失った人とどう向き合うかです。

私自身、「働かないおじさん」と呼ばれるような方々と仕事をした経験があります。しかし実際に接してみると、能力がない人はほとんどいませんでした。

むしろ、かつて第一線で活躍していた人も少なくありません。
ただ、何らかの理由で組織とのつながりを失っていただけでした。

そんなとき私が意識していたのは、「できていないこと」ではなく、「貢献できること」に目を向けることです。

  • 「ここは本当に助かっています」

  • 「その経験はチームに必要です」

  • 「できるところから一緒にやりましょう」

そうした対話を続ける中で、少しずつ表情や行動が変わっていく場面を何度も見てきました。

人は評価されるから動くのではありません。
自分が誰かの役に立っていると感じたときに動き出す。
私はそう感じています。


強い組織に共通するもの


これまでさまざまな組織を見てきましたが、強い組織には共通点があります。

それは、「ビジョンが共有されていること」です。
目指す方向が明確であり、その意味をメンバー全員が理解している。

だからこそ、自発的な行動が生まれます。

アドラー心理学でも、人は命令によってではなく、自ら意味を見出したときに主体的に動くと考えます。

強い組織は、管理によって動いているのではありません。
共感によって動いているのです。


理想の組織とは何か


私が理想だと思う組織は、全員が同じ考え方をする組織ではありません。
むしろ、多様な価値観や個性は必要です。

ただし、その土台には共通の目的がなければなりません。
・社会をこうしたい。
・日本をこうしたい。
・この事業を通じてこんな価値を生み出したい。

その大きな方向性だけは共有されている。
だからこそ、多様性は力になります。

逆に、共通の目的がなければ、多様性はただの分断になってしまいます。

組織が本当に求めているのは、能力だけでも、従順さだけでもありません。「自分の力を、共通の目的のために使える人」なのだと思います。


おわりに


守田選手の代表落選、そして本日のワールドカップ・日本対オランダ戦。

世界屈指の強豪を相手に、日本代表は2-2の引き分けという結果を残しました。選手一人ひとりの技術や献身性が光る試合でしたが、同時に改めて感じたのは、サッカーは「個の能力」だけで戦う競技ではないということです。

どれだけ優れた選手がいても、組織として機能しなければ勝利には届かない。逆に、個々の能力が組織の目的と結びついたとき、チームは実力以上の力を発揮することがあります。

実力だけでは組織で活躍できない。かといって、ただ従順であればいいわけでもない。大切なのは、自分の能力を組織の目的と結びつけながら発揮することです。

そして、アドラー心理学が教えるように、自分がコントロールできる課題に集中し、仲間への貢献を通じて共同体の中で価値を発揮していくこと。

なお、守田選手が実際にどのような理由で代表から外れたのか、その真相を私たちが知ることはできません。

今回の記事も、私自身が 鄭大世 さんの解説やさまざまな意見に触れる中で考えた、一つの組織論に過ぎません。

ただ、この出来事を通して私が改めて感じたのは、

組織が最後に見ているのは「能力」そのものではなく、「その能力を何のために使うのか」という姿勢なのかもしれない。

そして、その問いはサッカー日本代表だけでなく、会社や学校、地域社会など、私たちが所属するあらゆる組織にも向けられているのだと思います。

上松 真也

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