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60代のリアル|第2幕、第19話【実録・お菓子選びの罠】ハチミツも洋酒もダメ?産休の同僚へ贈る「安心」と、試食が美味しくて「何のご褒美?」


前回までのあらすじ

職場でVBAの保守問題やシステムの白紙撤回に頭を悩ませていた私は、重い足取りで母が入院する病院へと向かいました。

しかし、病室で待ち受けていたのは、39.1度という高熱にうなされる母の姿。看護師さんからは「解熱剤を使っても38度までしか下がらない」と厳しい状況を告げられます。

何度も針を刺されて内出血が広がった腕にはもう点滴が入らず、結局その日は足首から点滴を入れることに。

意識が朦朧とする母に持参したリンゴジュースを差し出すと、最初はゴクゴクと勢いよく飲み始めたものの、途中からストローをぎゅっと噛んでしまい、結局ほとんど残してしまいました。

職場で抱える重圧と、目の前で刻一刻と変わる母の容体。

「これからどうなってしまうのだろう」という逃げ場のない焦りと不安を抱えたまま、私は病室を後にするのでした。



休日のパソコン前で始まった「お菓子探し」

母の高熱と病院での出来事に心が休まらない日々が続いていましたが、日常の時間は容赦なく過ぎていきます。


7月19日(日)

自宅のパソコンに向かいながら、私は数日後に迫ったある出来事のことを考えていました。

職場の方の産休に伴う、お礼のお菓子選びです。ご本人から直接報告を聞いていたこともあり、「ぜひ心から喜んでもらえるものを渡したい」と、事前にネットで候補を探し始めていました。


最初に目に留まったのは、「まめや金澤萬久」の型ぬきバウム。

かわいらしくて見た目も華やかだし、松屋銀座の限定品もあったはず……そう思って詳細を確認していたとき、ふと思い出しました。

(そういえば、上のお子さんは確か2歳になったばかりだったはず……)

原材料を見ると「蜂蜜」の文字。

1歳未満のお子さんへの配慮はもちろんですが、ご家庭に小さいお子さんがいる場合、万が一の誤食や気遣いをさせないためにもハチミツ使用のものは避けたほうが無難です。せっかくの候補でしたが、断念することにしました。


次に候補に挙げたのは、「鼓月」の季節限定「摘み果檸檬」や「摘み果白桃」。

爽やかで、小さいお子さんがいるご家庭でも安心して召し上がっていただけそうです。

これならぴったりかもしれない、と詳しく調べてみたものの、翌日7月20日は海の日で祝日。買いに行こうと思っていた麹町の本店はお休みであることが分かり、こちらも断念せざるを得なくなりました。


気づけば画面の前でかなりの時間が過ぎていました。

「明日、とりあえず銀座に行って、そこで決まらなければ東京駅のショップを何軒か回れば何か見つかるかしら……」

そんな焦りが頭をよぎりつつも、あきらめきれずにさらにお菓子のサイトを検索し続けていました。



決まりかけた安堵と、忘れかけていた思い出

あきらめ半分でパソコンの画面を見つめ、検索を続けていたときです。

ふと、ひとつの商品が目に飛び込んできました。 松屋銀座にお店を構える「ミルフィユ メゾン フランセ」の「ミルフィユ スペシャリテ」。

ギフトにふさわしいまるで本のようなおしゃれなパッケージ。

そして何より、私自身がミルフィユというお菓子が大好きだったこともあり、見た瞬間に「あ、これかもしれない」と心が踊りました。

実はこのお店、私にとって少し特別な思い出がありました。

ずっと以前、職場を退職される方への贈り物として、こちらの期間限定「塩キャラメル味」を選んだことがあったのです。その方が塩キャラメル好きだと聞いていたので迷わず買いに走り、とても喜んでいただけた記憶が蘇ってきました。それ以来の「再会」でした。

しかし、今回贈る相手は産休に入る同僚です。慎重を期すため、商品詳細のページを開いて原材料の欄まで細かく目を通しました。

季節限定の「ミルフィユ セゾン」も魅力的でしたが、説明を読むとレモンピールの砂糖漬けに洋酒を使用しているとのこと。

(いくら風味付け程度だとしても、妊婦さんの体には避けたほうがいいはず……)

そう判断し、洋酒を使っていない定番の「ミルフィユ スペシャリテ」に決定しました。

「これなら安心して召し上がっていただけるはず」

自分が大好きで自信を持って贈れるお菓子。そして過去の成功体験。納得のいく答えにたどり着いたものの、やはり相手のことを思うと胸が少しドキドキします。

(気に入ってもらえるかしら。喜んでくれるといいけれど……)

小さな緊張感を抱きつつも、「明日(7月20日)、これを買いに行こう」と心に決め、私はパソコンを閉じました。



猛暑の銀座と、思わぬ「ご褒美」

7月20日(月)

この日は午前中、いつもの美容室に予約を入れていました。

場所は銀座。60代の自分にとって「銀座の美容室」なんて少し贅沢に聞こえるかもしれませんが、ずっとお世話になっている信頼できるサロンです。

この日もカラーとカットで9,100円。伸びてきた髪を整えてもらい、重かった気分もすっきりと軽くなりました。


サロンを出て、お菓子を購入するために松屋銀座へと向かいます。

時刻は正午を過ぎたところ。ちょうど通りを歩いている途中で歩行者天国が始まりました。

外は眩しいほどの快晴で、とにかく物凄く暑い。

ですが、一歩デパートの中に足を踏み入れると、ひんやりとした冷気が体を包み込みます。あまりの温度差に思わず「はぁ〜」と溜息が出そうになるほど、体がびっくりしていました。

お目当ての「ミルフィユ メゾン フランセ」の売り場は、以前来たこともあって迷わずすぐに見つけることができました。

「これをお願いしよう」と心の中で決めてカウンターへ向かうと、店員さんが試食用の定番ミルフィユを差し出してくれました。

「お味はいかがですか?」

口に運ぶと、サクサクとした繊細なパイ生地と優しいクリームの風味が広がります。 やっぱり、すごく美味しい。

次の瞬間、口をついて出たのは自分でも予想外の言葉でした。

「……これを、2つください」

(あれ、何で私、今『2つ』って言ったの……?)

自分でも心の中で突っ込みを入れつつ、「ミルフィユ メゾン フランセ」と「松屋銀座」のポイントカードを手際よく差し出します。

「リボンはお付けしますか?」という問いかけに
「はい」と答え、
包んでもらっている間には期間限定のミルフィユまでご厚意で試食させて貰いました。

そう、買い求めた2つのうちの1つは、間違いなく「自分用」です。

「一体何のご褒美?」と周りから突っ込まれてしまいそうですが、日々介護と仕事の重圧に耐えている自分への、ほんの小さなご褒美。誰に言い訳する必要もありません。

素敵な包装紙に包まれた2つの箱を抱え、私は満足感とともにデパートを後にしました。



🌿次回予告

翌朝、Webサイトの公開作業で、 職場を揺るがす思いも寄らない「大変な事態」が勃発します。

手元にあるのは、心を込めて選んだあのお菓子。 怒涛のトラブルに飲み込まれ、渡すタイミングを完全に見失った私の運命は……?

予想外の展開を、どうぞお見逃しなく!

つづく


▼ 第20話はこちらです。



※ 今後の予定(特別企画のお知らせ)

日々の業務で役立つ「Excelの小技」をお届けします!

投稿予定日:8月11日(火)
テーマ  :
「シート保護のパスワードを忘れてしまった…!」
      という時の非常事態を解決する裏ワザ(パスワード解除法)

「設定したはずのパスワードを忘れて焦った…」という経験がある方には必見の内容です。

どうぞ乞うご期待ください!



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