60代のリアル|第2幕、第18話【実録・介護の崖っぷち】39.1度の現実、解熱剤も効かない母の容体、逃げ場のない重なる重圧
前回までのあらすじ
システムの白紙撤回により、「手作りのVBAを使わなくても回る現場」という夢は崩れ去りました。
「これならメンテナンスの心配もなく、安心して定年を迎えられる」と期待していた私は、再び手元のVBAを引き継ぎも含めて抱え続けることになります。
さらにOfficeのバージョンアップに伴うエラーの検証など、パートの立場では負いきれない責任と作業が重くのしかかり、「もう全部投げ出したい」という強い葛藤に苛まれていました。
職場の混乱と割り切れない思いを抱えたまま、システムリプレイスの件は一旦ここで一区切りとなります。しかし、私に訪れた現実の波は、職場だけに留まるものではありませんでした。
重い足取りで向かった病室
7月18日(土)
職場でシステムの白紙撤回が決まり、VBAの保守問題に頭を悩ませていた頃。心身ともにすり減っていた私は、面会時間に合わせて母が入院している病院へと向かっていました。
消毒液の匂いが漂う独特の静けさの中、廊下を歩く足取りはどうしても重くなります。 職場での徒労感と「定年までどう乗り切ればいいのか」という葛藤が頭から離れず、ため息を噛み殺しながら母の病室へと足を進めていました。
ベッドに横たわる母の顔を見て、少しでも気持ちを落ち着かせたい。そう思いながら病室のドアをくぐったときのことです。
高熱と、痛々しい点滴の跡
母の様子を確認し、いつも通り寄り添っていたとき、担当の看護師さんが静かに声をかけてきました。
「お母様、実は熱がなかなか下がらないんです。39.1度まで上がってしまって……解熱剤を使っても38度までしか下がらない状態で。もう少ししたらまた解熱剤を入れに来ますね」
「お母さん、来たよ!」
声をかけてみても、高熱のせいか意識が朦朧(もうろう)としているようで、母はただボーッとした目で空間を見つめているだけでした。
しばらくすると、看護師さんがお二人で病室に入ってこられました。点滴の針を刺し直すためです。
手首のあたりを確認されていましたが、これまで何度も点滴を重ねてきた腕には痛々しい内出血が広がり、血管も細くなってしまっていて、なかなか針が入りません。何度も確認した末、結局その日は足首から点滴を入れることになりました。
看護師さんたちが処置を終えて部屋を出て行かれたあと、私はもう一度母に寄り添いました。
「お母さん、大丈夫?」
返事はありませんでしたが、私は「リンゴジュース飲む?」と問いかけ、持ってきたパックのリンゴジュースにストローを挿して母の口元へ運んでみました。
最初はゴクゴクと勢いよく飲み始めたのですが、途中からうまく吸えなくなってしまいました。
見ると、ストローをぎゅっと噛んでしまっています。噛んで潰れたストローの先を指で元に戻し、もう一度口に含ませてみても、またすぐに噛んでしまう……。
その繰り返しで結局母は飲むのをやめてしまい、パックにはジュースが残されたままでした。
重なる重圧と深まる困惑
最初は勢いよくジュースを口にした母に一瞬だけ光が見えた気がしたものの、ストローを噛んだままボーッとしている姿に、高熱に苛まれる現実の厳しさを突きつけられたようでした。
足首に刺された点滴の針、痛々しい内出血の跡、そして飲みきれずに残されたリンゴジュース。目の前の光景すべてが、母の体が置かれている決して楽ではない状況を無情にも物語っていました。
職場ではシステムの白紙撤回に振り回され、VBAの責任や引き継ぎの重圧に押し潰されそうになり、そして病院では母の高熱と向き合う。
「仕事も、母のことも、これからどうなってしまうのだろう……」
残ったジュースのパックを静かに置き、うつろな目で横たわる母のベッド脇で、私は押し寄せる焦りと不安を必死に抑え込むことしかできませんでした。
🌿次回予告
面会の病室で向き合った、高熱にうなされる母の現実。 重苦しい不安を胸に抱えたまま過ごす日々の中で、もう一つ気にかかっていたことがありました。
それは、以前から聞いていた職場の方の「産休」に伴う、お礼のお菓子選びで、迷いに迷った末に私がたどり着いた「納得の一品」とは——?
次回——「デパ地下の迷宮。産休ギフト選びで立ち尽くした日」をお送りします。
どうぞお楽しみに!
つづく
▼ 第19話はこちらです。
※ 今後の予定(特別企画のお知らせ)
日々の業務で役立つ「Excelの小技」をお届けします!
投稿予定日:8月11日(火)
テーマ :「シート保護のパスワードを忘れてしまった…!」
という時の非常事態を解決する裏ワザ(パスワード解除法)
「パスワードが分からなくてシートが編集できない…」という冷や汗もののピンチを救う裏ワザです。ストーリーの続きと併せて、ぜひチェックしてみてください。
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