【温泉ツーリング備忘録#21】地獄谷温泉 後楽館
2025(令和7年)8月18日(月) 訪問(初)
今回は、2025年夏のお泊り温泉ツーリング回顧録の最終回(全5編)をお届けします。
※ここに記載されている料金や時間、名称等はすべて訪問日時点のものです。
今回のツーリングは1泊2日で、1日目に名古屋を出発して途中、諏訪湖畔の日帰り温泉施設に立ち寄り、ビーナスラインを経由して群馬県の万座温泉で宿泊。
2日目は、万座温泉から志賀草津道路(国道292号)で県境を越え、長野県に入ってすぐの横手山の山頂ヒュッテで昼食をとり、途中1か所温泉に立ち寄ったあと、信州中野I.Cから高速道路で名古屋へ帰るという行程です。
前回までの備忘録はこちら
【温泉ツーリング備忘録#18】おかや温泉 美肌の湯 ロマネット
【温泉ツーリング備忘録#19】万座温泉 万座高原ホテル(百泉の湯)
【温泉ツーリング備忘録#20】万座温泉 万座プリンスホテル
【温泉ツーリング備忘録#番外編】横手山頂ヒュッテ
さて、今回の1泊ツーリングも残すところあと日帰り温泉1か所を残すのみとなりました。
このまま志賀高原を離れて、戸倉上山田温泉とか松本の浅間温泉など違うエリアに行くプランもありましたが、志賀高原とその周辺も温泉がいくつもあるエリアです。例えば、エメラルドグリーンの濁り湯が特徴の『熊の湯温泉』や、温泉が蒸気となって噴き出す音からホッポと名付けられたと言われる『発哺温泉』、スキー場エリアから下ったところにある湯田中渋温泉郷、とりわけ『千と千尋の神隠し』の油屋のモデルにもなったと噂の『金具屋』さんがある渋温泉が有名かと思います。
ただ、候補の施設が日帰り入浴不可だったり、日帰り入浴可であっても営業時間が合わなかったりしたこともあり、いろいろ調べた結果、今回は長野県の地獄谷温泉に伺うことにしました。
レポート
行き方
日本全国に地獄谷と呼ばれる温泉はいくつかあるようですが、長野県の地獄谷温泉は、野生のニホンザルが温泉に入る姿が見学できる『地獄谷野猿公苑』が有名で、そのすぐ近くに一軒宿の『後楽館』さんがあります。
後楽館や野猿公苑への道のりは徒歩のみとなるため、バイクで『地獄谷野猿公苑無料駐車場』まで向かうことにします。
志賀の山から国道292号を下りてきて、人里のエリアに入ったあたりに『上林温泉入口→』(かんばやしおんせん)という看板が立っていますので、看板に沿って国道を外れ、道なりに進むと駐車場があります。
駐車場の誘導をしていたスタッフの方に地獄谷に行きたい旨を告げると、「ここに停めて~」と駐車場の敷地の隅っこを指し示されましたので、そこにバイクを停めます(無料)。
注記)帰ってから調べたところ、無料駐車場よりも地獄谷に近い場所まで車で行ける『地獄谷駐車場』というところもあるようです。
ただし、こちらは有料であること、冬季は閉鎖されること、あとは駐車場に至るまでの道がかなり狭いようです。
私がバイクを停めた無料駐車場からは渓谷沿いの遊歩道を30分ほど歩きます。すれ違う人は外国人の観光客が多いですね。遊歩道は大半が木陰となるため、日光が遮られるだけでも随分と楽に感じます。
しばらく歩いていると、橋の向こう側に今回の目的地、後楽館さんが見えてきます。

いざ後楽館へ
橋を渡って、建物に入ります。

引き戸を開けて中に入りますが、全く人の気配がありません。
奥に向かって「すみませーん!」と声を掛け、暫く待ってみましたが、物音ひとつせず静かな時間が流れるだけ。
自分がいるところはどうみても受付っぽいのですが、なかなか反応がないため「今日の日帰り入浴はお休みかな?」と思って建物を出て、反対側の建物をのぞこうとしたところ、背後から宿の主と思しき男性に声をかけられました。
入浴しに来た旨を告げて、料金(大人一人1,500円)を支払います。
猿は頻繁に出没するようで、猿が建物内に入ってこないよう内風呂から露天に出る扉は確実に閉めてご利用ください、とのこと。
あまりの人の気配のなさに少々ビビっていましたが、無事、温泉に入れそうでひと安心。靴を脱いで、案内されたルートにそって、相当に年季の入った木造の建物を奥へと進みます。

脱衣所の写真は撮り忘れましたが、オープンな棚だけとなります。
少なくとも自分が見た範囲では貴重品ロッカー等は見当たらなかったので、心配な方は、必要以上のお金や貴重品は置いてくるという判断もあるかと思います。(車に貴重品を放置することの是非はありますが…)
※後から調べたら、川を挟んだ反対側の『野猿公苑』のチケット売り場横に100円リターン式の小サイズのコインロッカーがあるようです。
私が訪問した時は、棚に他の方の衣服等はなかったため、少なくとも男湯に先客はいないようです。念のため内湯も確認し、扉を開けて露天もチラッと覗いてみますが、誰もいません。 そこで私は、いったん廊下にもどり、女湯の脱衣所の前まで行きました。 もちろん「覗き」ではなく、利用中の女性がいるかどうかの「確認」です。
なぜかと言いますと、実はなんとこちらの露天風呂、「日帰り入浴」時間中は混浴になるからです。とはいっても、混浴したいわけではありません。
タオル巻 or 水着着用とはいえ、こちらは何せおっさん一人。混浴目的で来ていると思われたくないですし、なにより純粋に温泉に楽しめなくなりそうなので、むしろ混浴は避けたいのです。
一応、目隠しで覆われた女性専用露天風呂が別にあるようですが、なにしろ猿も入りに来るような山奥の露天風呂です。女性が来ているとすれば、ここの開放的な露天を楽しみに来ている方ばかりでしょうから、混浴になることはある程度覚悟されているでしょうが、こちらも心の準備は必要です。
というわけで、女湯の脱衣所の前で耳を澄ませてみましたが、中から音や声は全く聞こえてきませんので、どうやら私以外、先客は一人もいない可能性が高そうです。
もし女性の先客がいそうなら、最悪、内湯だけ浸かって帰る可能性も覚悟していましたが、誰もいないなら安心して露天風呂を独り占めすることができそうですし、露天の写真も撮れそうです。 よかったよかった。
…ということで、まずは内湯に入ります。
畳1畳を一回り広げたような感じの大きさですね。
カランやシャワーはなく、浴槽のお湯を備え付けの桶で汲んで体を流す感じです。
お湯は無色透明(薄~い濁りがあるようにも見える)で、柔らかい肌ざわりですが、アルカリ性のヌルヌルとも酸性の引き締まる感じもなく、中性に近いのではないかと思います。匂いもほとんど感じませんでした。
ただ、湯はなかなかにHOTです。汗を流すどころか、さらに汗をかいてしまいました。

露天風呂
続いて、いよいよ露天に向かうことにします。
ご主人から「開けたら必ず閉めて」と言われた扉を開けたとたん、真横を猿が横切って行きました。不意を突かれてちょっとびっくり。
急いでスマホを取りに戻りますが、戻った頃には猿はずいぶん先に行ってしまいました。(写真を拡大してみてください。)

猿が遠くへ行ったことを見届けて、ゆっくりとお湯に浸かります。
露天風呂も十分に熱いのですが、山間の空気が若干涼しいせいか、入っていて気持ちがいいですね。むしろ、真夏の強い日差しの方が気になる感じ。
そして何よりも、川の反対側からも余裕で見えてしまうほどの開放感の中、素っ裸で湯に浸かっている状況が素晴らしく気持ちがいい。
実際、露天風呂の真正面には噴泉が噴き出ており、すぐ近くまで観光客が見に来れるようになっています。(中にはこちらに気づいて指をさしてくる人も…。)
また、対岸の上の方に目をやると野猿公苑に行く人が行き交っているのが見えます。
これは確かに女性専用タイムであっても裸では入りづらいと考える女性がいるのも納得。でもまあ、私のモノがジロジロ見られるような距離ではないし、そもそもおっさんの裸なんて興味ないだろうし…。なによりも、こんな開放的な環境の温泉なんて、そうそうあるものではありません。
今回の旅の一番最後、「もしかしたら違う猿が来るかな?」なんて思いながら、見てる人がいようがいまいが気にすることなく、のんびりと堪能させてもらいました。



評価
評価:★★★★★★☆☆☆☆(6/10)
今回は星6とさせていただきました。
まずは、徒歩でしか行けない山の中、というところに秘湯感を感じずにはいられませんし、こんな場所で長年にわたって温泉宿を維持されてこられたのは、ご苦労もおありだろうと思います。
そのおかげで感じることのできる露天の開放感は、他ではなかなか味わうことのできないものがありますし、対岸から丸見えですが、ここの場合、隠す方が野暮というものでしょう。
私が行ったのは真夏でしたが、雪の降る冬ならさぞ風情もあることでしょう。
一方で、内湯の浴槽や脱衣所の狭さ、洗い場がない、貴重品の管理等といった設備面のマイナスは現実としてあることと、個人的にはお猿さんとのエンカウントはあまり重要な要素ではなかったので単純に温泉としてどうか、日帰り1,500円という価格が見合うかというと、「大自然に囲まれた不便な場所という特別料金」プラス「貴重な体験の体験料」でようやくイーブンかな、という感じです。
ですので、単に温泉として良い・悪いで星6なのではなく「湯田中渋温泉までの時間・交通費+30分の歩き+1,500円で再訪してみたいか」という評価視点に立ったときに、「1回体験できたらもう満足かな…」という感想になりました。でも、秘湯好き、開放感のある露天好きの方は一度足を運んでみる価値があると思います。

