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あなたが知らない『グッド・ウィル・ハンティング』のあらゆる話。

今回は『グッド・ウィル・ハンティング』の話をする。撮影秘話からキャラクター考察まで。

これまでに8つ?特定の映画作品をメインに書いた回があったと思う。どれも自分で気に入っている。

最近、また1つ増えた。

今回も、ネタバレ云々は気にせずに書く。これら作品を観たことがない人などいないーーもちろん、わざと言いきっただけだがーーそのくらい有名な作品しかとりあげていないため。

あの逆張りちゅ……ひろゆきさんも、ストレートにオススメしている。ただし、本当に観たんかいwと疑いたくなるレベルの記憶違いをしており。相変わらず大変おもしろい。

この、ほぼ完璧な用務員のおじさんルックのせいか。

日本の声優さんのクオリティーは非常に高いため、母国語でもこんなにも楽しめて。本当にありがたい。日本語吹替版を貼っていく。


下町生まれの肉体労働者であり高等教育を受けたことのない主人公に、頭脳戦で完敗するハーバード大学生(学費が高いという話が出てくるのは、こちらは裕福な家庭生まれであることを表すためだ)。

当然、何大だろうがコイツがクズなだけである。この天才青年には、しょせん誰もかなわないだけである。

海外のネットで「あのポニーテール」(笑)と呼ばれることの多い役者さんは、すごくいい演技だったと撮影チームからほめられ、脚本がいいからだ・出演できて光栄だと返した。クズ役の役者さんぜんぜんクズじゃなかった。

初対面で大ゲンカになったカウンセラーと患者(仮)。プロがブチギレて、カウンセリングに来た人間の首をしめたわけだが笑。見放すの真逆で次回も必ず来いと言ったのだし、正解中の正解の対応だろ。(主観)

彼はこの作品の「もう1人の主人公」だ。前回ちょうど、この対応こそが愛だという話を書いた。

迷彩服を着た若い頃のカウンセラーの写真に、目をやる主人公。本を読んで戦争の知識を得ただけの人間と、実際に戦場におもむいたことのある人間。上に貼ったシーンの後にこのシーンがあるのは、皮肉なのだ。人の引用ばかりしていないで自分でものを考えるのが大切、と他人に説教したものの。彼自身もまた、そのような存在なのである。今はまだ。

彼らが2度めに会った時、物語は起承転結の「承」をむかえる。

へー。言いきり系のおもしろい解説だね。

誰かに激しい恋をしたことのある人・誰かを深く愛したことのある人は、きっとみんな、彼の説明にうなづくのだろう。

このシーンの撮影は、実は、3千人以上のギャラリーにまわりをとりかこまれながら行われていたそうだ。人々が見たがっていたのは、ロビン・ウィリアムズだけである。マット・デイモンは無名の若者だったからだ。その時はまだ。

少し悲しい写真を貼る。

😭
白鳥さんはどうなったの!?

地理的な情報がないまま詳細を聞くのが苦手ーー私がこのようであるから、私自身がスッキリするためにこういう構成だ。つきあって。

ボストンという街とそこに暮らす人々を描いた作品。若者たちが懸命に人生を歩む物語。

ボストンはマサチューセッツ州北東部にある。
ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学は、ボストンの隣のケンブリッジにある。それぞれが距離的にとても近い存在。徒歩圏内とも言える。

ほら、ストーリーの理解が深まるでしょうが。(恩着せがましい)

なぜ、わざわざMITで清掃員をしている。主人公がそう問われるシーンがある。清掃の仕事がしたいのなら近所(ボストン)でもできるが。彼は電車通勤をしている。

これだけでは。始発の車窓から1人で朝焼けを見て、物思いにふけるのが好きだからーーなどの可能性もある。そのようにするのにちょうどよい距離で・大きな大学なら仕事が豊富にある → ハーバードかMITで清掃員。説明はつく。

なぜ、誰も解けない難問をこっそり解いた。主人公はこうも問われる。こちらには説明がつかない。本当にずっと単純な肉体労働をしていたいのなら。特別な才能があると、存在を見出されてしまう可能性を避けたいはずだ。

この代表的なシーンには、実は元ネタがある。デイモンの実の兄が、MITの黒板にデタラメな解答を書いた。デタラメだったのだがあまりにも堂々と書いたため、新しい解き方だとか何か重要なものだと勘違いされ、しばらく消されずに残っていた。デイモンは兄のその行動を渋いと思ったのだろう。創作にとり入れた。

チャレンジしてすぐに消すつもりだったのかもしれないが。(私は、人から声をかけられ消すタイミングを逃さずとも、彼はこれを残していたと思う)こんなことをしたらどうなるか、聡い主人公がわかっていなかったはずはない。解いたのは誰だ、と騒ぎになるに決まっている。

ウィルは誰かに見つけてもらいたがっていた。


1998年公開のこの作品は、それまで無名だったマット・デイモンとベン・アフレックを大スターにした。『グッド・ウィル・ハンティング』誕生秘話は、イコール、ハリウッド最大のサクセス・ストーリーでもある。

世界的にヒットし、アカデミー賞9部門にノミネートされた。ウィリアムズは助演男優賞を受賞。デイモンとアフレックは脚本賞を受賞。

すごく幸せそう。

その場にいた当時をふり返る人が、彼らはあまりにも若く・やせていて(アメリカではガタイがよくないといけない)・ボストンなまりが強烈だった、と語る。明らかに着慣れていないタキシードを身にまとい、観客の中に知りあいがいることに気づくと興奮していたと。

ひときわ大きく手をふった先には、彼らの母親がいた。母さ〜ん! \(^o^)/ かわいすぎ。

それまでアカデミー賞で目にしてきた俳優たちとは、まるでかけ離れていたと言うが。当然だ。アフレックは、脚本部門でアカデミー賞を受賞した最年少者になったのだから。デイモンは、「コイツがいなかったら自分が最年少だったのに!」と冗談を言った。

作品賞や監督賞はとれなかった。当然とまでは言わないが無理もない。相手はタイタニック号とジェームズ・キャメロンだ。

『タイタニック』についても書き出したら、数千字追加コースになってしまうため、一言だけ。誰にも語らなかった一世一代の恋心を閉じこめたまま、老女のもとを離れたハート・オブ・オーシャン(完壁なネーミングだ)が、深海へと沈んでいくんだぞ。それでかかる曲のタイトルが「My Heart will Go on」なんだぞ。この死生観よ。魂は千の風になってーーという感じだ。

観客がこのシーンを想起し2人の生を回想する「しかけ」になっている。天才的な構成だ。子どもの頃はこのポーズに笑ったりしていた。大人になり、笑う要素など1つもないと知った。自分にわからないおそらくは何かすばらしいものに、茶化してごまかすというくだらない方法をとって、自己防衛でもしていたのだろう。


デイモンと主人公は同じではない。デイモンは孤児ではないし大学にも通っていた。しかも、ハーバードにだ。

それでも。私は、マットとウィルに共通項を感じずにはいられない。

有名大学の学生らが束になってもかなわない天才だが、名だたる企業のヘッドハントや国家安全保障局のオファーを断る男という設定にだ。

How do you like them apples !?

ここから先の話は、ちょうどそれを解説するようなものになる。

私の勘違いかもしれないが。字幕でヘタに🍎を出してしまっていた記憶。それじゃ日本人にわからない。
アフレックは10代の頃、
この言いまわしをよくしていたそうだ。

ずっとなかよしだね。

デイモンとアフレックはケンブリッジで育ち、ともに演劇の授業を受けていた。高校卒業後、デイモンはハーバード大に・アフレックはロスのオクシデンタル大に、それぞれ進学した。

ハーバードでも劇作の授業を受けていたデイモンは、最終課題として一幕劇を書くことになった。40ページほどの書類を教授に提出した時、これはある物語の序章なのだと説明していた。アフレックにも同じものを渡しに行き、続きを書くのを手伝ってほしいと言った。

その日から2人は、『グッド・ウィル・ハンティング』に昼夜を問わずとりんだ。

セリフは、書き出すだけでなく読みあげたりしていた。精神科医と数学教授にロバート・デ・ニーロとモーガン・フリーマンを想像していた彼らが、モノマネでセリフを言いあったという録音は、まだ残されているのだろうか。

その「第1幕」の内容でそのまま残ったのは、デイモン演じるウィルとウィリアムズ演じるショーンがはじめて会うシーンだけだが(冒頭に貼った動画の1つ)。映画の代表的なシーンの1つとなった。

以前からデイモンやアフレックと知りあいだった、映画関係の道に進んだハーバードの卒業生が、ぜひ自分にプロデュースをさせてほしいと言ってきた。それまでの実績として、『マイ・ガール』(製作費に対して70倍の収益をあげた)の脚本などを映画業界に売り出していた人物だ。

初期の『グッド・ウィル・ハンティング』には、ボストンの若者が国家安全保障局をうまくかわす(?)だとか、そういう方向性も含まれていた。一度思いついたサスペンス・アクション的な要素を手放せなくなっていたーーそんな感じなのかなと推測する。

マット・デイモンは、昔からやりたかったことをジェイソン・ボーンとしてやれたのかもしれない。

その状態でも。ダイヤの原石的な感じで、じゅうぶん高く評価された。

関わったエージェントは、当時を思い出してこう語る。「普通、俳優からもらう脚本に期待などしない。だから、『グッド・ウィル・ハンティング』には衝撃を受けた。見知らぬ俳優らが脚本を書いて主演を希望している。普通、そんな状態や条件で映画化など不可能だ。実現したのはシルベスター・スタローンと『ロッキー』だけ」

ハリウッドには「クリエイティブ・エグゼクティブ」のネットワークがあり、「いい話」はすぐに拡まるそうだ。儲け話と言いかえてもいいだろう。エージェントの電話はひっきりなしに鳴り、誰もがデイモンとアフレックと話したがった。たった4~5日で入札合戦に。

だが。ここからの道のりが長く険しかった。

デイモン「僕らは映画に出演できさえすればよかった」


入札で本作を勝ちとった会社と折があわず、いろいろともめた。

アフレックはこうふり返る。もう自分たちで監督もやると言うと、会議室が静まり返った。「アタマ大丈夫?」という感じの沈黙だった。入札してくれたが断ってしまった各スタジオへ、相談におもむいたが。全員、私たちに「くたばれ」と言うために会ってくれただけだった。😂

身の程知らずの小僧が、という感じだったか。

現に、その会社はまともな要求をしていたのだ。若者らが政府機関と対峙する話と、天才青年と精神科医が心を通わす話は、同時進行できないと。どちらを選択するかは本人たちに任せると、権限をうばいとったりもしていなかったし。

私には物語を生みだす才能など全くないため、言う立場にないが。『グッド・ウィル・ハンティング』に『ボーン・アイデンティティー』が混じっていたら、大ヒットはしなかったと思う。本当、私に言われたかないだろうけど。

見かけ上は、約半分のページが本からやぶり捨てられるわけだ。2人はどうしてもその事実に耐えられなかった。特にアフレックは、自分たちの作品がハリウッドに別物にされてしまう、という感覚を抱いた。

こういう流れになった。

これではらちがあかない。では、そのストーリー展開で映画化してくれるところを探してみなさい。無理だったらうちへ戻ってくればいい。と言うか、それしかないだろう。今までのことを水に流して、またうけおってもいいが。君らに出演はさせない。(これも意地悪をしたわけではなく。黒字を見こめる名の知れた俳優を使うという意味だろう)

デイモンの真の望みを思い出してほしい。本末転倒だ。

ケヴィン・スミス氏に、この作品と僕らを救ってほしい・この映画を監督してほしいと懇願した。

2人とも、彼が言ってくれた言葉と彼がとってくれた行動を忘れることはできないと言う。「私にこの映画の監督はできない。だって、こんなにも美しいキャラクターの出てくる作品だから」ミラマックス社へ出むいて、「今やっていることを全部放り出して、『グッド・ウィル・ハンティング』を製作すべき」

私たちからもありがとう!

デイモンとアフレックは、インタビュー中にこんな会話をした。

あの人がつないでくれたミラマックスの人は、採用するかどうか話しあってさえもらえなかった(完全にスルーされていた)フェラチオのギャグのシーンも、絶対に残した方がいいと言ってくれたんだよな。

そうそう。あの瞬間、いい人がさらにいい人をつれてきてくれてよかった〜と思ったよな。

笑。よかったね!

ハーヴェイ・ワインスタインのことだ。現在、多くの名作映画に、せまりくる亡霊のように影を落としている人物ではあるが。彼も立役者なのは間違いない。


まだまだワインディング・ロードの途中だ。

ガス・ヴァン・サント監督に決まるまで。メル・ギブソンを通過している。彼とは話がなかなか進捗せず(『ブレイブ・ハート』の後くらい。非常に忙しかったに決まっている)。このままでは、自分たちは役を演じられない年になってしまうと。実質、彼らからギブソンを切るかたちに。

超がつく大物なのに気を悪くせず、君らの言いたいことはよくわかる・力になれなくてすまないとまで言ってくれたと。さすがギブソン、人格者だ。「『ブレイブ・ハート』観ました!めっちゃよかったっす!」レベルの軽いことを言い、彼のご機嫌をとれていたつもりの自分らを恥じたそうだ。😂

この過去回より。

ガス・ヴァン・サント監督作品と言えば。『マイ・プライベート・アイダホ』だ。

同監督の『小説家を見つけたら』は、『グッド・ウィル・ハンティング』に似ている部分がある。

ギブソンが撮っていたら、なんと言うか、もっと重厚感?が出てしまっていただろう。気だるいような空気感は損なわれていただろう。

今は、これ系をチルいと呼ぶようになった。浜辺で焚き火をしてマシュマロを焼くだとか。ジャスティンがトロピカル・ハウスを広めたからだろうか。より都会的でオシャな何かになった気がする。ヤンキーとかもういないもんな。

作品名しか知らないのに雰囲気で出してごめん。

監督と他重要関係者が対立して、撮影開始までさらに1年かかった。

書いてるだけでもヤキモキしてくる。つら。


その間に、めげずにキャスティングをすすめておかねば。

弟のケイシー・アフレックも加わり、下町の4人組はそろった。

次はヒロインだ。

その日はひどい二日酔いだったが、オーディションに現れた彼女を見て、すっかり目が覚めた。彼女は「スカイラー」そのものだった。と回想するメンバー。

しっかり者のしずかちゃんみたいな感じかな。

残りは数学教授。

父と息子のような雰囲気で彼らがながめているのは
野球中継などではなく、これ。

「スピルバーグ監督と『アミスタッド』を撮影していた時に、脚本が送られてきた。絶対に受けようと思った」あーね。出てるね。奴隷廃止側で。


また奴隷制度の話しようとしてる?そう思った人はいつメン(いつも読んでくれている人)だ。ありがとう。するよ。

昔のこと?人類がすでに乗り越えた問題?

巧妙になっているだけ、むしろ昔よりタチが悪い。大っぴらに叩きづらい・改革しにくい。

あなたや私は奴隷などではないとも言えるし、あなたや私は完全に奴隷だとも言える。

年収がいくらだとかを数百万円単位の差で語りあうのは(語りあうのはかまわないが、ののしったりするのは)、奴隷の中で少しでも上だの下だの言っているにすぎず、非常にこっけいである。

本来は手をとりあうべき仲間が、互いにつぶしあいをしている。マスターズは数的に困るほど減らないのであれば、下界で殺しあいでもなんでも、お好きにどうぞと思っている。矛先が自分らに向きにくく、願ったり叶ったりだ。

私が悪人で強者だったら。いばりが効くアイテムをできるだけコストをおさえて、販売していただろう。競いあわせれば儲かりやすいわ・格差でいがみあいをさせれるかもしれないわで、ダブルおいしいからだ。

冒頭に貼った『ファイト・クラブ』の過去回より。

こぜりあい(はじめはこのレベルでいい。嫌な種まきさ)や危険性をクリエイトすれば、解決や防御のためと、政治的予算が獲得できる。陰謀論などではない。これが世界の真実だ。


余談でも、一切関係のない話はしない。

『グッド・ウィル・ハンティング』の衣装担当が選んだ4銃士の服は、ホームレスのそれのようだった。

アフレックは熱弁した。自分含め貧乏人というのは、無理をしてでもブランド品を買うことで魅力を足そうとするもので。この場合、ナイキやアディダスのスウェットを着ていないとリアリティーがないと。

どうしても早朝に撮る必要のあるシーンがせまっており。明け方にリーボックの社員に電話をかけ、スウェットの貸し出しを願った。女性スタッフがベッドからとび起きてかけつけてくれたことに、ありがとうありがとうありがとうと言った。

Reebok クラシック・トップスだって。この感じだ。

制作チームの中には、チェーン店を映し出してタイアップをねらいたがる者もいた。

アフレックはまた、地元の若者がリアルに行くバーやダイナーでないとダメだと、強く抵抗した。


『ハンニバル』× Gucci は、あっているからいいのであって。レクター博士の話し出すでしょ?そうだよ。(以下、冒頭に貼った過去回より)

これはクラリスの自宅のシーンね。
前もって靴だけ渡しているのが博士らしい。
みんな彼の掌の上で踊らされている。
このブラック・ドレスをあわせる予定だったんだもんね。もはや普通の男のように買ったんだろ。マイ・ガールにはこれが似合うなとか想像して。

彼の完璧な計算が狂ったのは。ユングで言うところの感情機能タイプの王である、グレアム捜査官にとらえられた時と。あとはこの時だけである。

彼のパーフェクションは、どのみち、クラリスと出逢ったあの日から崩れている。いいんだよそれで。恋におちて少しでもバカになれて、彼は幸せなのだから。狂人でなくバカにね。

『ファイト・クラブ』には、また別のイカれたエピソードがある。(以下、冒頭に貼った過去回より)


映画は人々の心の支えになり得る。一部の人にとって、映画は単なる映画以上のものになり得る。

それは観客のことだけを意味しない。

撮影初日、デイモンとアフレックは男泣きしてしまった。

自分が生んだ作品がベテラン俳優たちによって演じられるのを見て、この瞬間をずっと待ち望んでいたことを実感して。

ここまで号泣はしていないだろうが。
涙ぐむデイモンに、ついに夢がかなったな!とウィリアムズが言うだとか。そんなことはあったのかもね。

はじまってしまえば、拍子ぬけするほど早かった。1997年4月14日に開始した撮影は、わずか9週間で完了した。

最後のシーンを撮っている時、デイモンはカメラのすぐそばにいた。ウィリアムズは、全てのテイクで違うセリフを発した。つまり、彼のアドリブだったのだ。デイモンが最も気に入ったものが採用された。

60パターン!?(16の間違いではない。60と言っている)俳優さんって本当にすごいな。まさか、あれは60テイク目ってこと!?

まさに紆余曲折を経て、できあがったのは。シンプルで美しい作品だった。とても誠実な作品だった。

デイモン「2人で何百回も練習してきたシーンだ。1発撮りでバッチリだった。監督がもう1回やるかと聞いてきて、ベンがやりたがったから、あと2回やったけれど。正直、終わってしまうことがさみしかっただけで。2人とも、1回目で完璧だとわかっていた。他の多くのこと同様、イベント自体よりも準備期間の方がずっと長く、お祭りはあっという間に終わってしまうんだ」


「楽しんで。思っているよりも遅いよ」

ソクラテス以外にも、多くの人たちが同様のことを言ってきたわけだから、本当のことなのだろう。

仲のよい恋人たちが2人きりですごしている。まだ、つきあいたてかもしれない。一緒にいれるということが特別なイベント。特にどこへ出かけるでもなく、昼間からカーテンもしめきって。

今何時だと思う。
15時くらい?17時半だよ。
まじかよ!もうそんな時間!?

人生はこれの拡大版なのだろう。

珍しく自分の話をする。する気になったから。

私も元気感のある少女だった。真夏の校内で、裸足に南国風の造花がついたビーサンでいたら。教師が「ここはリゾートじゃないだよ!」(この少し変わった言い方までそのまま覚えている)と言った。

この教師のことを詳しく覚えているのには、理由がある。あの子は友だちがたくさんいるように見えるだけで、本当に自分がしたい話は誰にもしない子だと言った。ある日突然、私の母親に電話をかけてきて。彼女は、仕事ですべきこと以上のことをするワーカーだった。仕事の種類(教師だろうが何だろうが)は私にはどうでもいい。尊敬できる働き方だ。

母が「何だったんだろうね〜」と言い(母は楽観的な人間だ。すばらしい個性だ)、私が知った。「変なの〜」とだけ返し自室へ急ぎ、バレないように大泣きした。涙のもとはこれに尽きた。自分を「愛してくれる」人に、何もうちあけてくれないと思わせて、ごめん。誰も悪くない。唯一誰か悪いとしたら、それは私だ。

彼女は実の母親よりも私を知っていたが、まだ知っていた方という感じで。母にも、こんなふうに思っていてごめんと思う。ごめんばかりだな。これだけは言いそえたい。私の両親はとてもいい人だ。私は2人を愛している。


「カリフォルニアへ行って俺のことが嫌になったら?誘ったのは自分だからと追い返すこともできず、仕方なく一緒に暮らしていくのか」
「そんなことない」
「カリフォルニアなんて無理だ」
「どうして」
「俺はここに仕事があって、ここに住んでいる」
「何を怖がっているの。自分の小さな世界が安全だから?」
「俺の世界を知っているのか。君は、スラム育ちのボーイ・フレンドと火遊びして、育ちのいい金持ちの息子と結婚するだろう」
「自分の恐れを棚にあげて、私を責めないで」「俺が何を恐れていると」
「私に愛されなくなること」

スカイラーには実在するモデルがいる。デイモンの元恋人で医学生だった女性、スカイラー・サテンスタインさんだ。結果論にすぎないが。元カノが結婚したのは、まさに、育ちのいい金持ちの息子だった。

「君に親友はいるか」
「親友の定義は」
「刺激的な友達」
「チャック」
「魂に触れるのが親友だ」
「いる」
「誰だ」
「シェイクスピア、ニーチェ、フロイト」
「みんな死んでいる。話すには霊媒師が必要だ」
「あんたの心の友は」
「死んだ」
「死んだから人生をおりたんだろう」
「私は勝負はした」
「でも負けた」
「ああ言えばこう言う。なのに、簡単な質問に答えられない。答えを知らないんだ。君は何をしたい」

「親友だからハッキリ言う。20年経っておまえがここに住んでいたら、俺はおまえをぶっ殺す。おまえは俺たちとは違う。おまえは宝くじの当たり券をもっていて、それを現金化する勇気がないだけだ。お前以外のみんなはその券を欲しがっている。それを無駄にするなんて、俺は許せない。毎日、酒を飲んでバカ話。それも楽しいが。おまえの家の玄関をノックしても出てこない、あいさつもなくおまえは消えている。俺が味わいたいのはその瞬間だ」


私の一番好きなシーンはここだが。

彼がある種の職業につくことを嫌がるのは、よくわかる。その数が多いことも、よくわかる。

普通はもっと世界にヴェールがかかっていて、気づかずにすごせるものだ。だからこそ病まずにいれる。

彼はそうはいかない。俗世のあらゆる機構やカラクリが見えてしまうだけなら、問題ないが。そこで、影や闇のないものがなかなか見つからないのだ。

実際問題、やさぐれるななどと誰が彼に言えよう。彼が厨二病のレベルか?彼のイニシエーションが我々凡人のそれと同じか?

グッド・ウィル・ハンティング。この安直なタイトルは正しい。彼はいい人だ。It's not your fault. カウンセラーがかけた言葉も正しい。悪いのはまったくもって彼ではない。


数々の感動的なシーンに水をさして、申し訳ないが。私の文章だ。私の主観を書く。(ひろゆきさんさえ、ストレートにいい作品と言ったのに!笑)このために、アルノーの話などをさしこんでいたのだし。

友達も彼女も先生もわかっていない。

いや、違う。先生はわかっていてそれでも叱咤したのだ。友達も彼女もすごくいい人でじゅうぶんだ。

彼は、言うほど、当たりくじを手ににぎって生まれたわけではない。使えなければ意味がないからだ。彼がそれを使いたがらない理由がわかるだろ。彼にはこの世界がどう見えると思う。希望に満ちあふれて見えるわけがない。彼が就職したがらない裏の(?適切な形容がわからない)理由がわかるだろ。

十中八九、ウィルが能力を活かしたら、アッパーな人たちだけが幸福になる。彼は「ファミリー」を苦しめることになる。自分だけボストンから川を渡ってケンブリッジへ行く?切符をもっているから?

個々人に捨てられる云々よりも、彼が本当に恐れているのは、自分が世界に失望しきってしまうことだ。彼の頭脳が分析してこの世界をつんでいると思うのと、私たちがそうしてそう思うのとでは、絶望への確証が違う。

I gotta go see about a girl. 私には重い言葉に聞こえる。スカイラーの負担する責任が大きくなってしまう的な意味でも。

前を向いて生きろ。万人へのアドバイスやメッセージとしては妥当だ。前向きに生きた方がいいに決まっている。ウィルにとっては……。それでも「僕を許して」と泣いた。自分は嫌な奴だったと。

彼は『トランセンデンス』の主人公みたいになっていない。

このキャラクターの名前もウィルである。

1つ前に特定の映画作品について書いた時は、こちらのウィルを深堀りした。彼も、バッド・ウィル・キャスターとまでは言えない。


そんなことないんだ・世界は思うよりもずっとすばらしいんだ。そういう作品なのは重々わかっている。

映画公開時から30年弱、同じ話が通るわけだが。悪化していることを書き出していったら、とても長いリストになるが。それでも未来に希望はあるんでしょ。はいはい、わかったわかった。

彼に恋はあう。
完璧ではないことも美しいと思いようがある。

物語の終わり。彼が人生で大切なものとして選んだのは、恋愛だった。仕事でも、ウィル・ハンティングが幸せになれるような世界をつくりたい。みんなで。