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エッセイ第5話|心の声が小さくなったときは、立ち止まってみる

最近、気づいたことがある。
心の声が、以前より小さくなっている日がある。

何をしたいのか、何が嫌なのか、
どこに向かいたいのか、
その全部がぼんやりしてしまう日。

そういう日は、
無理やり元気を出そうとしたり、
答えを急いで探そうとしたりして、
余計に苦しくなってしまう。

心は、静かにしてほしいとき、
わざと小さな声になるのかもしれない。


立ち止まる時間を、
私は怖がっていた。

動かないと置いていかれる気がして、
がんばらなきゃいけない気がして、
心が疲れているサインに
ずっと気づかないふりをしていた。

でもある日、気づいた。
立ち止まることは、負けでも後退でもなくて、
自分に戻るための大切な時間なんだと。


心の声が小さくなるのは、
たぶん、心が何かを伝えたがっているからだ。

「休みたい」
「これ以上は無理だよ」
「少しだけ静かにしていたい」

そんな声が届かなくなるとき、
心は声を潜めて、
それでもなお、こちらへ信号を送り続けてくれている。

その声を拾えた日は、
呼吸が少しだけ楽になる。


立ち止まってみると、
見えなかったものがゆっくり見えてくる。

好きなもの、嫌いなもの、
安心する瞬間、ざわつく瞬間。

全部いきなり取り戻さなくていい。
少しずつ、少しずつでいい。

立ち止まるという動作は、
心の再起動みたいなものなのかもしれない。

急がなくてもいい。
間に合わなくてもいい。
歩けるときに、歩けばいい。


あとがき

心の声が小さくなるのは、弱さではありません。
見えないところで、
あなたが一生懸命生きてきた証です。

どうかその静かな声を、
無理に引きずり出そうとせず、
そっと待ってあげてください。

心が話し始めるまで、
ゆっくり、ゆっくりで。


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