見出し画像

DoorDash CEOトニー・シュー氏「我々はアトムの戦争を戦っている」― AI活用と経営哲学を語る

DoorDash創業者兼CEOのトニー・シュー氏がポッドキャストに出演し、企業のAI支出を巡る議論から、自社での具体的なAI活用事例、そして、13年間にわたる経営哲学まで、幅広いテーマについて語った。


1. 「AI支出の効果測定は難しい」― Uberの事例を入り口に


対談は、Uberが、年初数か月でAI予算を使い切ったものの、その効果(配車数や運転手数の増加、利益率改善など)が明確でなかったという逸話から始まった。司会者は、メトリクス重視で知られるシュー氏がこの問題をどう考えているか尋ねた。

シュー氏は、あらゆるテクノロジーの本来の目的は、コストを下げ問題を解決することにあるとしつつ、計算資源のような制約された資源を扱う場合、コストやタイミングが必ずしも顧客への価値提供と一致するとは限らないと指摘した。同氏は、新技術には常に「発見の期間」に伴う一定の非効率が生じるとし、天気を知るのにフロンティアモデルは不要だと分かっていても、その技術の限界がどこにあるかは実際に試してみなければ分からないと説明した。

同氏が重視するのは、この非効率な発見のプロセスをできるだけ「顧客成果」という枠内に絞り込むことだという。まず顧客への成果を出発点に据え、その成果に向けてチームに何度も挑戦の機会を与える、という順序を意識しているとし、「必ずしもそこに辿り着けるとは限らないが、少なくとも方向性は定まっている」と述べた。完全に無秩序な「とりあえずやってみる(YOLO)」ではなく、意図的な取り組みでありながら、消費者・加盟店・配達員という自社の対象に向けて展開することで、一定の成果が出ていると説明している。

2. DoorDashにおけるAI活用の具体例


司会者は、ソフトウェア企業が、AIによる生産性向上の「最終的な成果」を測定しにくい一方、DoorDashのような企業は、配達完了数や加盟店数、新規ユーザー数など、追跡可能な指標に直結できる強みがあるのではと指摘した。

シュー氏は、これに同意し、チームによって方針は異なるとした上で、プロダクトチームには顧客にとって重要な指標に向けて明確に方向付けができると説明した。具体例として、加盟店のオンボーディングがAIによる自動カタログ・メニュー作成支援によって35〜50%高速化していることを挙げた。写真の編集支援や、新規出店者向けの自己紹介文の作成支援なども、即座に測定可能で、顧客にとって明確な便益をもたらしているという。

配達員(ダッシャー)向けにも、AIが不正行為や安全上の事案の兆候を「発生する前に」検知し、予防的な対応を可能にしていると説明した。一方で、ソフトウェアエンジニアリングチームについては、コード生成は、エンジニアの業務時間のうち25〜50%程度を占めるに過ぎず、プロダクトレビューやデザインミーティング、ビジネスチームとの調整といったコードに付随する業務プロセス全体が変わらなければ、期待するほどの生産性向上は得られないと指摘した。同社は、コード開発だけでなく、業務運営全体を「AIネイティブ」にする方法を模索しているという。

同社では、社内の異なるエンジニアリング・プロダクトチーム間でAI活用度合いによる生産性の違いを追跡しているといい、平均で約50%生産性が向上する一方、35倍も生産性が上がるエンジニアが存在するというばらつきのある分布が見られるという。シュー氏は、これを「クレイジーだ」としつつ、こうした分布からの学びの価値は、「可能性の芸術(アート・オブ・ザ・ポッシブル)」を理解できる点にあると説明した。同氏の役割は、この分布を単なる「観察」で終わらせるのではなく、そこに再現可能な学びがあると信じ、スポーツや学業と同様に、優れたコーチや講師の指導によってクラス全体を高い水準に引き上げられると考えることだと述べている。

3. 「アトム(物理世界)の戦争」― DoorDashのポジショニング


司会者は、多くの企業にとってAIの登場が、「非常に恐ろしい新技術」か「待望の追い風」のどちらかだった一方、レストラン・配達員・消費者からなる三者間マーケットプレイスを運営し、都市という物理的な制約と密接に関わるDoorDashにとっては、そのどちらでもなかったのではと指摘した。

シュー氏は、これにおおむね同意し、ChatGPT登場前の2021年頃、GPT-2程度のモデルで実験していた当時から、世界を「注意(ビット)を巡る戦い」と「物理世界(アトム)を巡る戦い」の2つに分けて捉えてきたと明かした。同社は、一貫して後者、すなわち「アトムの戦争」に軸足を置いてきたといい、都市の中に存在するあらゆる商品や駐車スペースの情報を「カタログ化」できれば、ビットの世界を巡る戦いが成熟してきた企業とも生産的な形で連携できると考えていたという。同氏は、「パーソナルアシスタントが実際に現実のことをできなければ、その存在意義とは何なのか」という問いを、4〜5年前から抱いていたと振り返った。

司会者は、これに関連して、テクノロジー業界の多くが画面上での作業に終始する中、実際に生活を豊かにするには、教育・医療・不動産開発など、最終的に物理世界で起こる事柄への関与が必要だと指摘し、シュー氏もこれに強く同意した。同氏は、この立ち位置について、単に自社事業にとって有利であるだけでなく、今後AI企業が本格的なスーパーインテリジェンスやエージェントを構築する段階になった際、両者が互いを必要とし合う関係が築けるという点でも重要だと説明している。

司会者はまた、AI人材の獲得競争が過熱する中、この「アトム重視」の立ち位置が採用活動に影響しているか尋ねた。シュー氏は、DoorDashは創業以来「応用AI企業」であり続けており、それを数学・機械学習・LLMのいずれの呼び方をしようとも、実世界の問題を解く応用技術企業であり続けてきたと説明した上で、AI応用研究の人材獲得競争が非常に激しい現在、確かに苦戦する場面もあると認めている。

4. LLMを超えたAI活用 ― 自動運転への取り組み


司会者は、AIの次のフロンティアとしてロボティクスや自動運転が重要になるのではと問いかけた。シュー氏は、まず、LLM自体についても、コーディング支援という最も普及した用途を超えて、能力・性能の面で著しく向上していると評価した上で、DoorDashが2019年から自動運転車の取り組みを進めてきたことに言及した。

従来は地図システムやヒューリスティック・ルールベースの手法を用いて、レコメンデーションシステムのような仕組みを構築するのが中心だったが、LLMがこうした従来手法を全く必要とせずに新たな可能性を切り開いたのと同様の転換が、物理世界でも起きつつあるという。かつて市場内での自動運転を実現しようとすれば、マッピングシステムやルールベースのエンジンを構築し、リアルタイムで意思決定を重み付けする必要があったが、これをニューラルネットに落とし込み、LLM企業が用いるのと同様の手法でより高速・高精度な意思決定を行えるようになりつつあるとし、これが同社の自律配送の取り組みを加速させていると説明した。

同氏はまた、DoorDashアプリ自体が、「パーソナルエージェント」になるべきだとの構想も語った。同社は過去5年間で、レストランという単一カテゴリー・米国という単一市場から、食料品・日用品・酒類を含む事実上あらゆる小売カテゴリー、40か国という規模にまで拡大してきたが、その反面、レストラン・食料品・小売・予約機能などが混在し、アプリの利用が複雑化しているという課題も抱えている。LLMを活用すれば、数百億件に及ぶ注文履歴に基づくレコメンデーションや、より簡単な商品検索を実現でき、「今すぐ届けてもらう」だけでなく、外出中や翌日の方が都合が良い場合の選択肢も含め、ほぼ何でも自宅に届けられるようにできるとの構想を語っている。

5. 「35ドルのブリトー」への懐疑 ― 2015年のTaco Bell提携


司会者は、2013年の創業時点で、消費者がここまでアプリでの支出に積極的になると予想していたか尋ねた。シュー氏は、率直に「予想していなかった」と答え、2015年7月に初の大手ナショナルブランドとの提携としてTaco Bellと組んだ際のエピソードを紹介した。

当時、これまで一度も配達サービスを提供したことのない伝説的なブランドが初めて配達を行うという強気材料がある一方、店舗で4ドルで買える商品にわざわざ配送料を上乗せしてまで注文する人がいるのかという懸念もあり、自身もどちらに転ぶか分からず懐疑的だったという。しかし、実際には多くの人がTaco Bellのデリバリーを愛用する結果となった。

司会者は、時間を節約できることの価値や、そうした「時間対効果」の計算に対する消費者の理解が今ではより一般的になっている点を指摘した。シュー氏は、これに加え、1950年代の米国では食費の70〜80%が食料品(自炊)に使われていたのに対し、DoorDash創業時の2013年には食料品55%・外食45%程度まで比率が変化し、現在では、これが逆転して外食・調理済み食品が55%を占めるようになったという75年超にわたる長期トレンドを紹介した。同氏は、このトレンドが「他人が作った食事」への支出意欲の高まりを、言葉ではなく実際の消費行動によって裏付けていると分析している。

6. 食料以外の消費トレンドへの目配り


司会者は、自炊した食事と外食の相対コストの変化について尋ねたが、シュー氏はこれを時間の価値の捉え方次第だとした上で、より興味深い事実として、共働き世帯の比率が1950年の約25%から現在は約70%まで増加している点を挙げた。また、米国のレストラン総数についても、過去60〜70年間でほぼ毎年、前年を上回るペースで増加し続けている(自身も母親の店で皿洗いをした経験から、レストラン経営自体は非常に厳しい商売だと知っているとしつつ)と指摘し、廃業するレストランがある一方で、それを補って余りある新規開業が常に発生していると説明した。

司会者は、住宅や自動車の取得がより困難になっているとの実感が広がる中、食への支出意欲の高まりは一見直感に反するのではと指摘した。シュー氏は、これに対し2つの説明を示した。第一に、食事は、週に20〜25回発生するものであり、住宅購入のような一度きりの意思決定とは性質が異なる点。どれほど料理好きな人でも、週20〜25回すべてで20分を確保するのは非常に難しいという。第二に、手頃さ(アフォーダビリティ)の課題は米国、おそらく世界的に深刻化する中で、人々は常に「気分良く過ごす方法」を求めており、食に関する支出は単なる贅沢ではなく、ボタン一つでピザが届くような「気分の良さ」を提供する手段になっているとの見方を示した。

司会者は、さらに、食以外の消費者トレンドをどこまで注視しているか尋ねた。シュー氏は、数億人規模の消費者を抱える企業として、食の枠を超えた消費動向への理解は不可欠だと答えた。中でも重要視しているのが、住宅・交通・食事・食料品・医療・教育・銀行など、あらゆるカテゴリーで消費者が感じている「手頃さ」への強いニーズだという。同社が注力しているのは、継続的にコストを下げること、そして継続的により多くの価値を提供することの両立だとし、ソフトウェア業界の人間が見落としがちな点として、物理世界(アトム)のゲームでは、交通渋滞や天候といった予測不可能な「エッジケース」が日常的に発生し、それをソフトウェアのように端から端まで完全に制御することはできないと説明した。

7. 事業拡大の順序 ― 「食料品より先に7年間レストランに集中」


司会者は、DoorDashが、物流・コスト・調整能力に磨きをかけてきたことは、食以外の分野にも応用可能ではないか、そしてサプライヤーとの直接連携など、隣接領域への進出を検討したことはあるか尋ねた。

シュー氏は、良い判断と優れた判断の違いは多くの場合「順序(シークエンシング)」にあると答えた。創業当初、パロアルトのアパートで一人で事業を始めた際、食のビジネスがどれほどの規模になり得るかは全く分からなかったと振り返り、Y Combinatorの応募フォームにあった「このビジネスは将来いくらの収益を生むと思うか」という質問に対し、パロアルトのような都市がいくつ存在しうるかを数え上げて算出した結果が「1億ドル程度」だったというエピソードを明かした。実際にはそれよりも桁違いに大きな規模になったといい、これは驚くべきことだったと振り返っている。

同社は、レストラン配達事業に7年間集中した後、ようやく食料品カテゴリーへと拡大したという。シュー氏は、これを、起業家は「勝ち筋にある間は貪欲アルゴリズムのように進み続けるべきだ」という考え方で説明し、新規事業に手を広げるかどうかを検討する際は常に「今のことに対する機会費用は何か」を問うようにしていると述べた。現在の同社は、レストラン配達に加え、レストラン以外の配達、米国外での事業、広告事業、そして、自社で培ったノウハウを加盟店に提供するB2B事業まで、多岐にわたる事業を展開しているが、いずれも「今がその適切なタイミングか、それとも悪い/良いアイデアか」を常に慎重に見極めた結果だとしている。

8. 広告事業 ― 「史上最速で年商10億ドル」の裏側


DoorDashの広告事業について、司会者は構築の難しさを尋ねた。シュー氏は、広告そのものを構築することは難しくないとしつつ、「広告主にとって最高水準のリターンを実現しながら、同時に消費者体験にとっても最高水準のリターンを維持すること」こそが本質的な難しさだと説明した。関連性の低い広告が表示されれば消費者にとって何らかのトレードオフを強いることになり、「今回は許容範囲だ」と判断を重ねているうちに、数年、あるいは10年後には消費者にとってじわじわとした「税金」のようになりかねないと述べた。特に広告事業が持つ魅力的な経済性を踏まえると、こうした状態を後から解消するのは非常に困難だという。

シュー氏は、自身が最も誇りに思うのは、同社の広告チームが、史上最速で年間広告収益10億ドルに到達したという実績そのものよりも、「広告主と消費者の双方にとって最高水準のリターンを達成する」という制約を常に守りながらそれを成し遂げたという「やり方」だと述べた。司会者はこれを、Meta(自身が取締役を務める)の初期の広告チームの文化になぞらえ、指標重視で、テストと検証を重ねる姿勢が共通しているのではと指摘した。

シュー氏は、これに同意し、GoogleやMetaのような大手テック企業の広告チームは、20年以上の歴史を持つ製品・企業でありながら、直近の業績を見ても驚異的な事業成長を続けている、業界屈指の優秀な人材の集まりだと評価した。同氏は、自社の状況とこれらの広告チームには共通点があるとしつつ、DoorDashの場合はデジタルの世界(ビットや注目)を完全にコントロールできるわけではなく、物理世界からの制約を多く受け入れながら、そこに素早く反応していく必要がある点が異なると説明している。それでも、顧客にとって何が最善かを客観的かつ感情を排して考え、日々1%ずつ改善を積み重ねる姿勢は共通していると述べた。

9. 数学と人間性の両立という経営哲学


シュー氏は、低利益率かつ多くの変数を抱える事業を運営する上で、指標重視の「数学」的な側面と、配達に関わる人々への配慮という「人間性」の両方が不可欠だと語った。多変量の問題に対して最適なトレードオフを見出す「数学」の部分だけでは不十分であり、その根底には、1件の注文ごとに少なくとも配達員・加盟店・消費者という3人の人間が関わっているという認識が必要だと説明した。

同氏は、自身の母親がレストランで働いていた経験に触れ、加盟店にとってレストラン経営は単なる仕事ではなく、「生活そのもの」「アイデンティティ」であり、9時5時の仕事でも転職を検討するようなキャリアでもないと語った。配達員についても、これまで数千万人が同社を通じて配達を行ってきたが、その大部分は週に数時間程度の稼働にとどまり、医師・看護師・不動産業者・教師といった将来の夢に向かうための「ステッピングストーン」として利用しているという。シュー氏は、こうした人間性への理解と数字への厳格さの両方を欠いては、この事業を持続させることは難しく、「そもそも自分に合ったゲームを選んでいない」ことになると述べている。

司会者は、この2つの資質(人間性への理解と、冷徹なまでの数字への厳格さ)を併せ持つ人材は稀ではないかと指摘し、採用時にどう見極めるのか尋ねた。シュー氏は、スキルや問題解決能力、指標志向を評価することは比較的容易だが、価値観の見極めはより難しいとし、その人を動機づけるもの・やる気を削ぐものについて話を聞くことが重要だと説明した。同氏は、レストラン経営者や小売業者になりたいと考える対象を「素晴らしい」と感じる人もいれば、「煩雑で自分には向かない」と感じる人もいるとし、これは「自己選択」の問題であり、優劣の判断ではないと述べた。数字が逆行しているように見えても正しいことをする人、逆境を経験してきた人、都市の中の情熱的な事業者たちの成功を心から願う人こそが、この事業に合った人材であり、そうした自己選択ができるかどうかが見極めのポイントだと説明している。

10. 大規模成長の原動力 ― コアの深化と新領域の開拓


事業成長のレバーについて問われたシュー氏は、まず「自分たちはまだそれほど成熟した企業ではない」と述べ、米国最大の事業であるレストラン配達においても、レストラン業界全体の中ではまだ一桁台のパーセンテージのシェアに過ぎないと説明した。

その上で同氏は、成長し続ける企業に共通するのは、「コア」を磨き続けることと「新しい問題」を見つけることの両立だと述べた。DoorDashにとってのコアは常に食であり、品揃え・品質・価格・サービスの改善を絶え間なく続けている。一方で、新しい領域の開拓は全く異なるスキルセットを要し、異なるマネジメント体制、異なる人材、異なるインセンティブ設計が必要であり、効率化に至るまでにより多くの非効率を伴うものだと説明した。

配送スピードについても言及があり、シュー氏は、消費者は常により速い配送を望むものであり、「配送が遅くなってもいい」と考える人はいないと明言した。

11. ドローン・自動配送の位置づけ ― 「調理時間」が主なボトルネック


配送スピードを巡っては、ドローンや自動運転車による配送は今後実現していくとシュー氏は断言した。ただし、同氏は、配送そのものにかかる時間は、注文全体にかかる時間のごく一部に過ぎない点を強調した。空を飛んで渋滞を回避できたとしても、人手不足の忙しい厨房での調理時間や、店舗内での在庫確認・複数のステーションで並行して調理される料理の工程を飛ばすことはできないと説明した。

司会者はこれについて、デジタル体験の設計では画面上の細部(ピクセル単位)に注意が注がれる一方、物理世界でも同様に多くのステップが存在し、その調整・オーケストレーションこそが本質だと指摘した。シュー氏は、正しい在庫を取得できたか、正確な調理時間はどれくらいか、自動運転車か人間のドライバーかどちらを配車すべきか、適切な価格設定は何か、代替品や返金・クレジットの処理をどう扱うか、といったあらゆる要素を調整し、消費者から見える表面上はシンプルな体験として提供する必要があると説明している。司会者はこれを、「AからBまでの単純な目標(できるだけ早く安く商品を届ける)の裏に、途方もない複雑さが存在する」と表現した。

12. 「全社員が今も配達をする」文化


シュー氏は、創業以来一貫して、社員全員が定期的に自ら配達業務(同社内で「Dash」と呼ばれる)を行う文化を維持していると明かした。同氏は創業当初、ブリトー1個を届けるだけの作業の中に約20個もの小さな工程・システムが存在することを分解して整理した経験を振り返り、これらのうちどれか一つでもうまくいかなければ、実際に修正が必要になると説明した。

エレベーターやロビーで迷ったり、間違った路地に駐車したり、実際にはレストラン内の複数のステーションで料理が作られていることに気づいたりといった経験は、実際に物理世界に身を置かなければ理解できないものであり、これこそが同社が創業日から現在に至るまでこの文化を続けている理由だと説明している。

13. 「エージェンシー(主体性)の感覚」を保つこと


対談の最後、シュー氏は今後1〜2年で最も期待していることとして、まだ起きていない未知の変化そのものを挙げた。トークン消費や実験を巡る非効率さについても、そこには多くの楽しさと創造的な発見があるはずだと前向きに捉えている。

創業13年目を迎えた今も、創業当初と同じ熱量を維持する秘訣について問われた同氏は、それは労働時間の長さの問題ではなく、「エージェンシー(自ら物事を動かしているという感覚)と生産性の実感」にあると説明した。スタートアップに人が惹かれる理由は、労働時間を最適化したいからではなく、大きなインパクトを与えたい、そして、その主体性を感じたいという欲求にあるとし、社員全員がこの感覚を持ち続けられるようにすることが自身の役割だと述べた。それによって、社員はDoorDashでのキャリアにおいて最高の仕事をするだけでなく、いずれ会社を離れて次の道(個人的にも職業的にも)に進む際にも、より大きな自信を持って踏み出せるようになるとし、対談を締めくくった。

オススメ記事


Next Big Wave——成長株・アイデアの種・トレンド深掘り



いいなと思ったら応援しよう!