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Bill Ackman氏、Pershing Square Holdingsで22年間に年率600~700bps超のアウトパフォーム ― 集中投資の内幕

著名投資家Bill Ackman氏が、Hargreaves LansdowneのポッドキャストでPershing Square Capital Managementの投資哲学を語った。同社が運用する上場投資信託「Pershing Square Holdings」は、市場価値70億ポンド規模で、8~12銘柄程度に絞った高コンビクション型の運用を行っている。2026年6月11日に収録された本対話では、永続資本という構造の意義から、AI市場の現状認識、Howard Hughesを軸とした新たな展開まで、幅広いテーマが語られた。


1. なぜ「永続資本」を重視するのか


Ackman氏は、まず、市場全体が短期化している現状を指摘する。資金の多くが「ポットショップ」と呼ばれる短期成果で評価される小規模チームに分散運用されており、加えて、インデックスファンドの拡大が浮動株を減少させ、結果としてボラティリティを高めているという見立てだ。

こうした環境下では、質の高い企業が一時的に大きく値を下げる場面が生まれる。Ackman氏は、「資本が短期的であれば、状況がわずかに悪化しただけでも売らざるを得なくなる」と述べ、自社の資本構造がほぼ100%永続的であることが、こうした局面での優位性につながっていると説明した。実際、Pershing Square Holdingsの22年間のパフォーマンスは、年率600~700ベーシスポイント程度の市場超過リターンに達しているという。

1-1. 「ステープル」ではなく「ライブラリー」

集中投資の運用については、独自の比喩を用いて説明している。常に同じ候補をすぐに使う「ステープル(束)」ではなく、「質の高い企業のライブラリー(蔵書)」を構築し、市場環境に応じて取り出すという発想だという。現在は、まさに、好みの企業群が比較的魅力的な価格で取得できる局面にあると述べた。

2. アクティビズムの変化 ― 「対話」へのシフト


Pershing Squareは、歴史的にアクティビスト投資家として知られてきたが、Ackman氏は、そのアプローチが変化していると語る。20年前は実績や評判がなく、CEOに電話をかけても取り合ってもらえないこともあったというが、「20年間この仕事を続けてきた結果、今では取締役会に直接声が届く」状態になったとする。今でも改善の余地がある企業に投資することはあるが、公開の場での対立ではなく、非公開の対話で済むケースが増えているという。

3. AIをめぐる市場の捉え方


3-1. 「バブルか否か」という議論への見解

AIインフラへの巨額投資について問われたAckman氏は、MicrosoftやGoogle、Metaなどは、「バランスシートを賭けているわけではない」とし、旺盛な需要と「超知能を最初に実現した企業が圧倒的な競争優位を握る」という構造が、現在の投資競争を駆動していると説明した。一方で、リターンの確度を測るのはまだ時期尚早とも述べ、「AI関連のあらゆる未公開企業が次のAnthropicになるわけではない」とリスクの存在も認めている。

3-2. モデルのコモディティ化とMicrosoftの位置づけ

言語モデルのコモディティ化については、ビジネスモデルによって影響が異なるとの見方を示した。高コストでニッチなソフトウェア企業はリスクが大きい一方、Microsoftのように「1ユーザーあたり20ドル程度という低コストで数億人規模の利用者を抱える企業」は、AIを企業利用へつなぐゲートウェイとして優位性を保てるとした。

4. Howard Hughesと保険会社Vantage ― バフェット流の応用


4-1. General Growthからの17年

Howard Hughesへの関与は、金融危機時に株価が99.5%下落したGeneral Growth Properties(当時)の破産再建に遡る。Pershing Squareは、同社株式の25%を取得し、再建計画の一環で市場が好まない資産を切り出して設立したのがHoward Hughesだという。Ackman氏は「これが私たちにとって最も成功した株式投資となった」と振り返る。

現在、Pershing Square Holdings経由で約30%、その他ファンド経由で約2%、さらに運用会社自身が15%を追加取得し、合計47%の株式を保有する体制になっているという。

4-2. 保険事業を核とした多角化

Howard Hughesは、現在、不動産事業を核とした会社から、専門保険・再保険会社「Vantage」を中心とする持株会社への転換を進めており、この統合は先週クローズしたという。Ackman氏は、この構造を、ウォーレン・バフェット氏がBerkshire Hathawayで保険事業のフロート(預り資金)を活用して資本を複利成長させた手法に重ね合わせる。「保険会社の資産は短期国債に投資してリスクを取らず、サープラス部分をPershing Squareの戦略に従って株式に投資する」という構図で、運用は無償でPershing Square側が担うため、Vantageにとってのコスト優位性になるとした。

5. Alphabet売却とMicrosoftへのシフト


ポートフォリオの動きについても言及があった。Alphabet株は3~4年の保有期間で「投資額の3.5~4倍程度」のリターンを生んだ成功投資だったが、PERが31~32倍まで上昇した段階で、資本をより有効に配分できると判断し、今四半期に売却。代わりにMicrosoft株を大きく取得したという。Alphabet自身が800億ドル規模の株式発行を行った点についても触れ、競合がAnthropicなど新規上場を控える中で「市場の過熱感を利用して資金調達した」可能性があるとの見方を示した。

6. 関税政策とトランプ政権への評価


政治・政策面では、Ackman氏は自身が大規模関税の「90日間の一時停止」案を提案し、政権がこれを採用した経緯を明らかにした。関税の方向性自体には一定の理解を示しつつ、「一夜にして巨額の関税を導入する手法は非常にリスクが高い」とし、実施プロセスへの懸念を述べている。

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