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中国Moonshotの新型AI「Kimi K3」が引き金に ― ハイテク株急落からNetflix決算、Greylockの新ファンドまで

2026年7月18日金曜日、米ハイテク株市場に衝撃が走った。中国のAIスタートアップMoonshotが発表した新モデル「Kimi K3」が、OpenAIやAnthropicの最新モデルに匹敵する性能を持つと主張したことで、投資家の間に「巨額のAI投資は本当に正当化できるのか」という疑問が再燃した。同日は、Netflixの決算発表やSpaceXのIPO後の試練、そして、Greylock Partnersの新ファンド組成など、AI業界を取り巻く動きが重なった一日でもあった。本稿ではBloomberg Techの報道内容をもとに、それぞれの動きを整理する。


1. Moonshotの「Kimi K3」ショックとNASDAQ急落


Moonshotは、2.8兆パラメータを持つモデルを発表し、OpenAIやAnthropicと競合できると主張した。さらに出力トークン100万件あたり15ドルという価格設定で、主要なAIモデルより大幅に安価だとしている。この発表を受け、投資家の間では、2025年に起きた「DeepSeekショック」との類似性が指摘され、AI業界の巨額投資が本当に見合うのかを問う声が強まった。

市場への影響は明確だった。NASDAQ100は、下落し、2025年4月以来最大となる週間下落率を記録する見通しとなった。半導体関連株で構成されるフィラデルフィア半導体指数も、同じく2025年4月以来の週間最大下落に向かっている状況が伝えられた。

2. 習近平国家主席、AI分野での中国の存在感を強調


同時期、中国の習近平国家主席は、上海で開催されたAIフォーラムに初めて出席し、中国のAI開発における主導権を印象づけた。中国政府は、すでに全国規模の相互接続された演算拠点網の構築に最大2,950億ドルを投じることで合意していると報じられており、Kimiのようなモデルを生み出すスタートアップを支える基盤づくりが進められている。

習氏はまた、AI技術をより公平に世界に行き渡らせるべきだと訴え、グローバルサウス諸国への配慮を示した発言も注目された。同時に、AI技術がもたらす安全保障上のリスクについて、米国との協力を呼びかける姿勢も見せている。

3. Netflix、成長鈍化への警戒感で株価急落


Netflixも同じ週に大きな注目を集めた。決算発表後、株価は一時過去4年で最大となる下落率を記録し、8%超下げる場面があった。背景にあるのは、第1四半期の16%成長から第2四半期は14%、そして、第3四半期は11.7%へと売上成長率が鈍化する見通しだ。

Phillip Securitiesのアナリスト、Helena Wang氏は、決算内容自体は「健全」と評価しつつも、コンテンツラインナップが前年と比べて見劣りする点を指摘した。同氏は、「昨年と比較すると、今年のコンテンツは物足りない」という趣旨の見解を示し、ただしエンゲージメント自体は悪化していないとも述べ、株価の調整局面は買い場になり得るとの見方を示した。

Netflix経営陣は、AIを「製品改善」「コスト削減」「利益率拡大」の3つの観点から活用する方針を説明しているが、市場が神経質になっている背景には、この会社への期待値の高さがあるとWang氏は分析した。

4. GoogleのGemini遅延とAppleの一時的首位浮上


AI開発競争の側面では、Googleが、Geminiの次期フラッグシップモデルのリリースで数ヶ月の遅れが生じているとの報道もあった。Bloomberg Intelligenceのアナリストは、特にコーディング領域でGoogleが後れを取っている可能性を指摘している。

一方、Appleは、一時的にNvidiaを上回り、世界最大の時価総額企業となる場面があった。皮肉にも、AI開発に積極的に踏み込んでこなかったことが、Appleにとって「リスク」から「安全資産」としての評価に転じたとの分析も出ている。折りたたみ式iPhoneの発売やAIアシスタント「Siri」のエージェント機能強化も、株価を支える材料として挙げられた。

5. SpaceX、IPO後1ヶ月で試練に直面


先月上場を果たしたばかりのSpaceXにも逆風が吹いた。スターシップの13回目の試験飛行が発射直前に失敗し、株価は時間外取引で約4%下落。さらにIPO価格を下回る水準まで売られる場面もあった。アナリストのAnthony Hughes氏は、AI相場の失速とモメンタム投資の巻き戻しが重なったタイミングだったと説明し、IPO市場全体の勢いが失われつつあると指摘している。

6. Greylock Partners、18号ファンドで15億ドル調達


こうした市場の動揺とは対照的に、老舗ベンチャーキャピタルのGreylock Partnersは、AI、サイバーセキュリティ、フィンテック分野の創業初期段階を対象に、18号ファンドとして15億ドルを調達したと発表した。同社ゼネラルパートナーのSaam Motamedi氏は、Bloomberg Techのインタビューで、AI領域への投資を「データ層」「インフラ層」「アプリケーション層」の3層構造で捉えていると説明した。

Kimi K3の話題については、Motamedi氏は冷静な見方を示した。同氏は、「昨夜の発表は素晴らしいものだった」としつつも、直近24時間の市場反応については「時期尚早かもしれない」との見解を述べた。ベンチマークの限界や、トークン単価だけでなくタスク単位のコストで比較すべきという論点を挙げ、AnthropicやOpenAIが持つ製品エコシステムの強みにも言及した。

さらに同氏は、OpenAIの処理トークン数が2023年の日次3,000万件から2026年3月には日次1,500万(原文ママ、規模感として言及)へと、3年足らずで50倍に成長したとするデータを紹介し、2030年にはトークン経済全体がさらに2桁規模拡大するとの見通しを語った。

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