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発表済みAIデータセンターの「50%」しか実際には建設されず ― 米メディア3氏が指摘する乖離

AIブームを支えるデータセンター投資は本当にすべて実現しているのか。NVIDIAは、今後も市場での優位性を維持できるのか。台湾を巡る地政学リスクはどれほど現実的な脅威なのか。テクノロジー分野を専門とする記者アニッサ・ガルディジー氏、マックス・チャーニー氏、ローレン・グッド氏による座談会では、こうした投資家にとって切実なテーマが率直に議論された。


1. 「発表されたデータセンターの50%しか建設されていない」という現実


司会からの「発表されたAIデータセンターのうち実際に建設が進んでいるのは50%程度」という統計についての問いに、ガルディジー氏は、「その数字は十分に信じられる。発表ベースで見ればもっと高い可能性すらある」と応じた。人件費の高騰や労働力確保の難しさから、計画中のプロジェクトの多くが遅延する可能性が高いという。

同氏が特に注視しているのは、「発表されたプロジェクト」と「実際に建設されているプロジェクト」の差だという。OpenAIが打ち出した10ギガワットや6ギガワット規模の計画を例に挙げ、「もし本当に特定の期限までに10ギガワットを目指すなら、現時点でどれだけ確保できているのか、その約束はどれほど確かなものなのか、逆算して検証する必要がある」と指摘した。

1-1. 株価はまだ「発表」に依存している

司会は、公開株式市場の値動きの多くが、こうした発表が実現することを前提に成り立っている点に懸念を示した。チャーニー氏は、半導体担当記者としての立場から、「メモリー各社を中心に大量の工場建設が進んでおり、業界特有の循環的な性質を考えると、反動は相当大きくなる可能性がある」と述べた。マイクロソフトやアマゾンなどの大手企業がすでに社債発行による資金調達に動いている点も、株主にとって注視すべき材料だとした。

2. NVIDIAは優位性を維持できるのか


2-1. 推論(インファレンス)市場が試金石に

NVIDIAの強みは、主に学習(トレーニング)用途で培われてきたが、モデルの運用段階である推論処理は、必ずしも同社のチップでなくても対応可能だとされる。グッド氏は、NVIDIAとジェンスン・ファン氏について、「まさに必要なタイミングで会社の舵を切ってきた実績がある」と評価しつつ、推論市場でどれだけのシェアを確保できるかが今後の焦点になるとの見方を示した。

ガルディジー氏も、「NVIDIAへの攻撃があるとすれば、それは推論の領域から来るだろう」と同意し、GoogleやAmazon、そして、OpenAIやAnthropicまでもが自社製の推論チップ開発を進めている現状を説明した。ただし、自社チップが処理全体の1割程度を担うだけでも、コスト削減や価格交渉力の強化につながるため、各社にとって投資する価値は十分にあるという。

2-2. OpenAIは本当にNVIDIA離れを進めているのか

司会が「NVIDIA・OpenAI連合」と「Anthropic・Google・Amazon連合」という二極化が起きているのではと問うと、ガルディジー氏は、「OpenAIは、非NVIDIA系ハードウェアに多く投資しており、実際にNVIDIA以外への移行を進めている」と回答した。Cerebrasのチップ活用や自社シリコン開発を進める一方で、Vera Rubin向けに今後数年で5ギガワット規模を導入する契約も抱えており、この規模の大きさ自体が同社のさらなる多角化を制約する可能性があるとも指摘した。

3. 台湾・TSMCという「見えているブラックスワン」


半導体製造の大部分が、地政学的に不安定な地域に集中している点について、チャーニー氏は率直に懸念を示した。「なぜ世界がチップ製造の大半を、あの地域の近くに集中させることにしたのか正直理解できない」としながらも、米国のチップ設計企業側に有事に備えた実質的な計画がほとんど存在しない現状を指摘した。同氏は、想定されるリスクは軍事侵攻そのものよりも、香港で見られたような「ソフトパワーによる浸透」の形の方が現実的だとの見方を示しつつ、軍事的な選択肢も排除できないとした。

3-1. TSMCの工場見学は「お土産店止まり」

半導体業界の取材の難しさを象徴するエピソードとして、チャーニー氏は、TSMCへの取材依頼について「台北のお土産店に案内されるのがせいぜいだった」と明かした。一方で、グッド氏は、Intelのアリゾナ州チャンドラーにある最新鋭工場「Fab 52」を実際に見学した経験を共有した。同工場は2ナノメートル対応でTSMCと同水準の技術力を持つとされるが、「TSMCの規模と比べればごく一部に過ぎない」という。見学時には、ASMLのEUV(極端紫外線)露光装置が並ぶ様子も確認できたといい、装置の充足状況などから製造能力を推測する手がかりになったという。

4. 対中輸出規制とNVIDIAの本音


ジェンスン・ファン氏が、「中国にチップを供給しなければ、中国は独自チップで独自モデルを開発し、いずれ世界標準となって米国に対する輸出規制を仕掛けてくる可能性がある」と主張している点について、司会は、「これは正当な懸念なのか、それとも単に中国市場でチップを売りたいだけなのか」と各氏に問いかけた。

チャーニー氏は明確に「NVIDIAは、もはや成長できる市場を使い果たしつつある」との見方を示した。ハイパースケーラーへの販売はすでに行き渡り、利益率が低く難易度の高いエンタープライズ市場への進出を余儀なくされている中で、中国市場は事実上NVIDIA製品へのアクセスがほぼない巨大市場であり、「あれほどの粗利益率を得られるなら、当然狙いたくなる市場だ」と述べた。実際、NVIDIAは、対中輸出が禁止されたH20チップについて、匿名の買い手に対し約6億ドル相当を売却したことも明らかになっているという。

ガルディジー氏も、国家安全保障の観点から見れば、米国が輸出を許可してもしなくても、中国企業は独自のAIチップ開発を進めるだろうとの見解を示した。ただし、中国のSMIC製チップなどはEUV露光装置を購入できない制約から、微細化には限界があるとも付け加えた。

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