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【小説】後編:底辺Vtuberのあすかさんは、僕の部屋で甘えたい

ついに目標の登録者10万人が見えてきた。
大手の壁だ。

記念の耐久配信を提案した。
あすかは緊張で震えていた。

「大丈夫、僕が裏でずっと支えている」

彼女の手を握る。
あすかは拒絶しなかった。
強く握り返してきた。

配信が始まった。
同接数は過去最高を記録している。

僕がリアルタイムでコメントをモデレートし、
指示を出す。

あすかのトークが冴え渡る。
リスナーとの絆が形になる。

そして、
画面の数字が「100,000」に達した。

コメント欄がお祝いの嵐で埋め尽くされる。
画面が光る。

「みんな、本当にありがとう!」

あすかは感極まって泣いた。
配信終了のボタンを押す。

部屋に静寂が戻った。

あすかは泣きながら、
僕の胸に飛び込んできた。

「やったよ……やったよ!」

彼女の涙が僕のシャツを濡らす。
今回は寝た振りではない。

僕は彼女の体をしっかりと抱きしめた。

「君の努力の成果だ。おめでとう、あすか」

名前で呼んだ。

彼女は驚いたように顔を上げ、
僕を見つめる。

至近距離で視線が交差する。
もうゴミを見るような目ではない。

熱を帯びた、
恋する乙女の瞳だった。

彼女の唇が震えている。

「知ってたよ」
僕は囁いた。

「あの夜、キスしてくれたこと」
あすかの顔が一気に真っ赤になった。

「な、なんで……っ!」

「僕も、君が好きだ。配信者としてじゃなく、神代あすかが」

彼女の目から再び涙が溢れた。
今度は嬉し涙だった。

「意地悪で、鈍感なバカ」

彼女は小さく悪態をついた。

そして、
自分から背伸びをして、
僕の唇に重ねてきた。

今度は起きている僕への、
本当のキス。

甘くて、
少し泣き虫な。

彼女の夢は叶った。

そして僕たちの物語は、
ここから始まる。

もう冷たい瞳の彼女はいない。

僕だけの、
最愛のヒロインだ。

翌日からの学校生活は、
目に見えて変わっていった。

廊下ですれ違う時、
あすかは僕を見て小さく微笑む。

周りの奴らは驚いていた。

あの高嶺の花がなぜ、と。

優越感がないと言えば嘘になる。
だけどそれ以上に幸せだった。

放課後の部屋は、
もう作戦本部だけのための場所じゃない。

「ねえ、今日の動画、ここをもっと可愛くして」

あすかは僕の膝の上に座り、
画面を指差して甘えてくる。

彼女の体温がダイレクトに伝わり、
僕は編集に集中できない。

「あすか、近いよ。作業が進まない」

僕が苦笑する。

「いいの。こうしてないと、寂しいでしょ?」

彼女は悪戯っぽく笑って、
僕の首に腕を回した。

かつての冷徹な態度はどこへやら、
今の彼女は甘々だった。

有名Vtuberとしての道は、
まだまだ続いていく。

これからもっと忙しくなり、
壁にぶつかることもあるだろう。

だけど、
僕たちならどんな困難も乗り越えられる。

彼女の夢を叶えることが、
僕の生きがいで、
僕の幸せだから。

夕暮れの光が、
部屋の中で寄り添う二人を優しく照らす。

「これからも、ずっと私の隣にいてね。プロデューサーさん」

「ああ、約束するよ。僕の可愛いトップアイドル」

僕たちはもう一度、
今度はゆっくりと唇を重ね合わせた。


おしまい


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