日本人らしく生きる美学〜4章〜変わることを受け入れると楽になる「諸行無常」
変わらないものがあると、どこかで信じていました。
うまくいっている環境も、築いてきた人間関係も、自分の実力さえも、このまま続いていくんじゃないかと思ったことがあります。
でも現実は違いました。
良い時も、悪い時も、すべては変わっていきます。
これが「諸行無常」という考え方です。
すべてのものは移ろい、同じ状態であり続けることはありません。
こうした感覚は、日本人が古くから大切にしてきた美意識のひとつでもあります。
変わっていくことを否定するのではなく、その移ろいの中に価値を見出してきたのかもしれません。
最初はこの言葉を、どこか冷たいもののように感じていました。
でもそれは間違っていました。
変わることを受け入れた時、人は楽になります。
なぜなら、苦しみの正体は「変わってほしくない」という執着だからです。
この考え方は仕事でも人間関係でも、全てにおいて同じです。
例えば、人間関係では昔は仲が良かった友達も、時間や環境の変化とともに、関係性は少しずつ薄れ、気づけば距離ができていることもあります。
でもそれは当たり前のことです。
人の価値観も優先順位も、時間と共に変わっていきます。
それでも人は、期待してしまいます。
「あの頃は良かった」
「あの頃に戻りたい」
「あの頃のままでいてほしい」
それは自分の執着でしかありません。
その期待が裏切られた時、人は簡単に傷つきます。
これは友達だけではなく、元カノや元カレなど、過去の人間関係すべてに当てはまります。
このズレは、仕事においても同じように起きます。
過去にうまくいったやり方、評価されたやり方は、いつの間にか通用しなくなることがあります。
それでも「前はこれでうまくいっていた」と固執すると、ズレが生まれます。
そのズレが、じわじわとストレスや不安になるのです。
では、永遠に続くものや、変わらない愛、変わらない絆は存在しないのでしょうか。
これは自分なりの結論ですが、変わらない愛と絆は無いのだと思います。
ですが、それは古くからの友人関係や結婚生活が続かない、という意味ではありません。
愛の形や絆の形は日々変わっていくものです。
最初は、
「好き」
「会いたい」
だった感情も時間が経てば、
「一緒に居て安心する」
「気を使わない」
「リラックスできる」
といったように、形を変えていきます。
絆も同じです。
学生時代の友人が社会人になって関係性が変わったり、新しい出会いの中で関係が築かれていったりと、形は移り変わっていきます。
ここまで読んで、変わっていくことが寂しいことと感じるかもしれません。
でも、本当に変わっていくことが寂しいことなのでしょうか。
例えば、子どもの成長。
昨日できなかったことが、今日できるようになる。
少しずつ言葉を覚え、できることが増えていく。
それを「変わってしまった」と悲しむ人はいないはずです。
むしろ、その変化を喜ぶはずです。
季節も同じです。
ずっと同じ気温、同じ景色だったら、人はきっと飽きてしまいます。
春が来るから暖かさを感じ、秋が来るから涼しさを心地よく思える。
変わるからこそ、感じられるものがあります。
そしてそれは、自分自身にも言えることです。
過去の自分と今の自分は違う。
経験や失敗を重ねる中で、少しずつ考え方も変わってきたはずです。
もし何も変わっていなかったとしたら、それは成長していないということになります。
悲しい感情も辛い感情も時間と共に少しずつ薄れていきます。
あれほど強かった気持ちでさえ、やがて形を変えていきます。
変わるからこそ、人は救われることもあります。
だからこそ、変わることを前提にした方がいいのだと思います。
変わらないことを期待するのではなく、変わっていくことを受け入れる。
その方が、人はずっと楽に生きられます。
そしてその中でももし、変わらずに残り続けるものがあるのだとすれば、
それこそが、本当に自分にとって大切なものなのかもしれません。
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